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告白ゲーム  作者: 水溜まり
第一章『腹黒姫と腹黒王子』
9/23

9. 腹黒姫と久家くん

いつも学校には早くもなく遅くもなく割りとクラスの半分くらいがいる時間に着いている。

だけど今日は朝早く起きたこともあり、家も早めにでた。


8時半から朝礼なのにあたしが着いた時刻は7時半。一時間も時間があるのは入学して3年の2学期なのに初めてのこと。


こんなに朝早くから学校にいる事はとても新鮮で、通いなれた学校なのに心が弾む。

朝早いのに学校に来てる人はいるみたいで何人か生徒とすれ違う。

きっと朝レンに来ているのだろう。

現に遠くから吹奏楽部の奏でる音が聞こえてくる。


一番早く来る人は一体何時から来ているのだろうか、と疑問に思いつつ自分の教室に向かった。

ひょっとしたら一番乗りではないか、と期待しつつ教室のドアを開く。




-ガラッ





「…」



結論から言うと一番乗りではなかった。

もう既に教室には先着がいて、今あたしと目がバッチリあっている。


目が合っているのは同じクラスの男子である久家(くげ)くんだ。



「おはよう」



一応社交辞令として挨拶はする。

すると相手も「おはよう」と一言返してくれた。が、すぐに視線をそらされ、彼は今まで読んでいた本に再び手をつけている。


あたしは元々こちらから積極的に話しかけるタイプではないので久家くんと話したことはこれまで一度たりともない。


でも実は1年の頃も同じクラスになったことがある。


なのに一度も話したことないのは、この久家くん自ら話しかけるタイプではないと言うこと。



でも話したことはなくても久家くんがどういう人物であるかは若干知っている。

何故ならそう久家くんと言う人物は…



(とにかくモテルんだよね)


ちなみに安藤さんのグループの大本命がこの彼である。

つまり久家くんの所為で告白ゲームが誕生したと言っても過言じゃない。



久家くんと言う人物はクラスで人気のある「盛り上げ役」とはかけ離れている。

どちらかと言うとおとなしい人だし、自ら行事には積極的に参加するタイプではない。


だけどクラス行事はちゃんと参加してくれるし、手伝いも参加してくれるし、安藤さん達から言えば頼もしいらしいのだ。


これがまた偉く女子のツボみたいで、クールで頼もしくてかっこいいの三拍子揃った彼を女子はほっとく筈がなかった。


しかも寡黙な人だから浮気もしなさそう!!と安藤さんのグループはキャッキャッと騒いでいる。




あたしとしてはクールで頼もしくてかっこいいとかは別にどうでもいいけど、彼の清潔感はとても自分の中で高評価だ。


間違ってもどっかの馬鹿みたいに断りもなしにキスするタイプではないだろう。




(そういえば、)



久家くんと三浦くんは仲が良い。よく二人で一緒にいるのを見かける。

果たして久家くんは三浦くんの本性を知っているのだろうか。




聞くなら今が絶好のチャンスなんだろうが、何しろ話しかけていい雰囲気をこれっぽっちも曝け出していない彼に声をかけるのはすごく勇気がいる。


どうしようか悩んでいるとふと、彼が今読んでいる本に目が入った。

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