道はあとからできる!!
4話目です!
私は夜凪奏音。自由奔放がモットーの双子の姉だよ。
――朝の校門前。
私は空を見てた。なんか今日、歩く日らしい。歩くって、いいよね。たぶん、どこでも行ける気がするから。
「きりせーん!」
前の方で結構仲良くしてる男子sが全力で走ってくるのが見えた。あ、始まったなって思った。
こういうのって、だいたい最初の数分で何か起きるよね。
きりきりせんせーの顔が一瞬だけ固まった気がした。よし、たぶん当たった。
「なんだ」
「サンダルで来ちゃいました!!」
あー、それはちょっと面白い。
きりきりせんせーがため息ついてるのも見えた。
「履き慣れた靴で来てとは言ったけど……サンダルはないだろ!?」
「えぇ!?うそー!?履き慣れてるのにぃ!?」
ウォークラリーでクロックスは初めて見たなぁ、さすが。でも、きりきりせんせー、大変そう。
「先生の靴貸すから、それ履いとけ」
「いいんですか!?わぁ、ぴったりだ!」
なんか解決したっぽい。すごい世界だなって思う。
その横で、私たちは並んでた。
二年B組。
「よし、絶対楽しいやつじゃんこれ!」
遥菜ちゃん、もう全部楽しい方向に振り切ってる。いいよね、その感じ。
「歩くってどのくらい歩くんだろ……」
唯月ちゃんはちょっと心配そう。ちゃんと地面見てるタイプ。
「とりあえず、歩けばつくでしょ〜」
私は空見ながら言った。だって本当にそうじゃない?基本私は上しか見ない!
「その理屈は危ない」
琉生くん、即ツッコミ。本当なのに…
「奏音の言うとおり、歩けば、つくよねー」
音波が横で同じこと言ってる。
双子だから、いつものこと。
ん?琉生くんがなにか言おうとした?きのせいだよね。まぁ、いっか。
先生はなんか遠い目をしてた。たぶん気のせいじゃない。
そして出発。
最初は普通だった。
アスファルトから田んぼ道に変わるだけで、世界がちょっと広くなる感じ。すごーく爽やか!
「広い!」
遥菜ちゃんが走りかけてる。
「走るなよ」
琉生くんの声、速い。返事より先に飛んでくる。
「えー、でも楽しいじゃん!」
止まらないの、わかる。
その横で、私は見つけた。
田んぼの縁。
そこに、でっかい猫じゃらし。
なんか、呼ばれてる気がした。
「なんかこれ、振りたいね」
気づいたら拾ってた。
音波も同じものを持ってる。
「これさ、すごいよ」
「すごいね」
うん、すごい。たぶんすごい。結構すごい。
次の瞬間、世界が変わった。
ぶん。
ぶん、ぶん。
気づいたら走ってた。
猫じゃらし、めっちゃ楽しい。新しい相棒だ。名前は、、、、、猫じゃらしくん!!
「「わぁー!なにこれ!面白い!!」」
風が全部追いかけてくる感じ、好き。風になれそう!
「ちょっと待て」
琉生くんの声が聞こえたけど、止まらないよーん。
唯月ちゃんの声も小さく聞こえた。
「これ、授業じゃないよね…?」
うん、違うね!でも、気にしたら負けだよ!
山の中間の休憩所。
気づいたら、ちゃんとしたルート組より遅れてたっぽい。
でもいい感じに楽しかった。音波と猫じゃらしくんと道がない山通ったの。
草とか葉っぱとか、なんかいっぱいついてる。でも、気にしない。
「やっほー」
「着いたよー」
「え、どこ通ってきたの?」
まさかの遥菜ちゃんが困惑。
「こっち」
後ろ、通ってきたとこをに指さした。
道?そんなん存在しない!
「道ないぞ」
琉生くんはすぐ否定する。
正しいこと言うの、早い。
「道ってさ、歩いたあとにできるの。だから、歩ける場所は全部私たちの『らいふろーど』ってこと!」
言ってみたら、ちょっといい感じになった気がする。
唯月ちゃんってば、一歩下がってた。
「え、『らいふろーど』?いきなりどうしたの……?」
まぁ、いきなりだよね。
先生も来てた。固まってた。
あ、困ってる顔だ。
でも気にしない。
また山の中。
私は思った。
こっち行った方が早くない?急斜面だけどね。
「こっち行った方が早くない?急斜面だけどね。」
ア、口に出てた。
「きっとかまぼこもゴールなんだよ。」
うん、さすが我が妹の、音波。かまぼこってゴールっぽい。
唯月ちゃんがズズズって後退してる。
「……かまぼこはどこから来た。」
あれ、音波間違えたの?
「あと、地図を見ろ」
地図か。あったっけ。
その瞬間にはもう、私は違う方向に歩いてた。
「左行こうか!」
体は右に行ってた。
「今左って言っただろ」
「うん、右」
あ、そういうことか。体さん、頑張れ!
「奏音、右ってどっち?!」
うん、それ、方向音痴のお姉ちゃんに聞かないで?!わからないから!?
「迷子だ!迷子!」
遥菜ちゃん、楽しそう。
いいな、そのテンション。
「いや、最高に面白いじゃんこれ」
たぶん、そういう日なんだと思う。
先生、またいた。
顔がもう何かを諦めてた。
その前を、私は普通に通る。
ぶん、ぶん。
風、気持ちいい。
先生、なんか言ってた。
「すみません、気にしないでください」
琉生くんが謝ってる。
きりきりせんせー、返事が……
「ア、ハイ」
うん、だいたいそんな感じになるよね。
山抜けて、道戻って。
学校見えた瞬間、遥菜ちゃんが走る。
「ゴールだーー!!」
いやいや、休憩地点でしょう?
私も音波も走る。
「「一旦ここで休憩しよう!!」」
猫じゃらし、まだ持ってる。
なんでだろうね。
琉生くんは普通に歩いてる。
あ、学校がゴールなんだね。
唯月ちゃんは小さく息吐いてる。
「……終わった」
誰かがポツリと呟く。
何が終わったのかな?
きりきりせんせーが最後に言った。
「……全員、無事でよかった…ということにしておく。」
あ、たぶんこれ、すごい疲れてるやつ。
そのあと声がした。
「きりせーん!靴返すの忘れてたー!!」
うん、100点満点!
やっぱり奏音ちゃんは自由でいるべき!!
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