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第5話 王様、ついに働く(?)
こうしてアルフォンス13世は、「夢遊病治療」という名目で、昼間も少しずつ国政に関わるようになった。
最初は1日15分から。
それが30分、1時間……と延びていき、気づけば半日働くように。
廷臣たちは驚いた。
「王様が働きだした!」
「夢遊病治療の効果です」
「でも、働き方が宰相代理とそっくりですね……」
ある日、重要な外交会議が開かれた。
隣国の王が来訪し、直接交渉に臨むという。
会議でアルフォンスは、かつて宰相代理として作成した条約案を完璧に説明した。
隣国の王は感心して言った。
「アルフォンス陛下、あなたは噂とは全く違う。
有能な君主ではありませんか」
その時、侍従長がこっそりアルフォンスに囁いた。
「陛下、もう宰相代理は必要ありませんね」
アルフォンスは苦笑した。
そう、もう夜中にこっそり働く必要はない。でも……
「いや、宰相代理はこれからも必要だ」
「え?ですが陛下はもう——」
「宰相代理は、オーバーワークを防ぐためのブレーキ役だ。王が働きすぎたら、『宰相代理が休めと言っている』と言えるだろう?」
侍従長は笑った。
「さすがです、陛下」




