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第81話 決戦の朝

 夜が明け、目が覚めると、俺の傍らにいつものメイド服とは違う、ヘストロアの黒い軍服を着たマリアがいた。軍服の胸には、騎士見習いを現すバッジが付けてある。


「おはようございます、フィンゼル様。よく眠れましたか?」

「ああ」


 周りを見るとどうやら俺が最後らしい。ルーナもエマも見当たらない。

 結局昨日はエマの事もあり、他の女にちょっかいを掛ける雰囲気ではなく、そのまま何もすることなく寝てしまった。


 時間を確認すると魔道時計は朝の6時を回っている。

 昨日ヒルダに貰った赤い軍服に着替える為、俺はベッドから起き上がるとマリアがそれを待っていたかのように俺のパジャマのボタンを一つ一つ外していく。


 この世界の貴族は自分一人では着替えせず、メイドが着せるのが一般的である。ベルフィア城に住んでいた頃から、これはマリアの仕事だ。


 いつもの仕事のはずだが、今日戦争が始まるからなのか、マリアは緊張したように顔をこわばらせている。


「フィンゼル様は何も心配する必要はありません。絶対に私がお守りしますから」


 と思ったらいつも道理のマリアだ。マリアはとにかく俺優先だ。ベルフィアより俺、ベンセレム王国より俺、ヘストロアより俺。この考えは素直に嬉しい。しかし、俺はマリアの思いにどれだけ答えられているだろうか。


 この戦いもベルフィアに帰ることで参加しないことも出来た。それは貴族として領民や土地を守る貴族としては失格ではあるが、大切な者を戦場という危険にさらさない判断はできたはずだ。しかし俺はそれをしなかった為に彼女たちは俺に巻き込まれた形でこの危険な場所に身を置くことになってしまった。


「マリア。それは俺のセリフだ。君は俺が守る」


 マリアだけじゃない。ルーナとエマもそうだ。カトレアは……心配ないだろう。ともかく彼女達は絶対に俺が守って生きて帰る。それが巻き込んでしまった俺の責任だ。


 そう考えていたら、マリアは顔を赤くしてぼーっと俺を見ていた。


「どうした?」

「い、いえ。また一段と魅力的になられましたね、フィンゼル様」


 マリアは軍服の最後のボタンを留める。


 そのタイミングで、部屋の扉が開かれ、これまた軍服を着たルーナが俺の胸に飛び込んでくる。


「ご主人様! おはようございます!」

「ああ。ル―ナ、おはよう」

「全く。遅いわよ。いつまで待たせるの?」


 部屋の出口には、腕を組んで開いたドアにもたれかかっているエマ。

 エマも珍しいことに、いつもの真っ白なドレスではなく、黒薔薇のエンブレムが入った軍服を着ている。まぁ、戦場にドレスで赴くやつはいないか。


「フィンゼル様、他の者たちはみな出陣の用意が出来ています。さぁ、参りましょう」


 エマの隣にはカトレアもいた。カトレアの服装は……うんいつもの胸元が開いたローブだ。


「よし!行くぞ!」


 俺は戦場に向かうため、気合を入れて部屋を出た。



評価、ブックマークお願い致します!

なかなかユニークが増えないなぁ。もう一回タイトル変えてみようかな


明日も投稿します!

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