第63話 依頼達成
「まさか…本当にダンジョンを攻略してくれるなんて……しかも一晩で……」
村に着くとイーナが出迎えてくれた。イーナだけではない。大半の村人が家を出て外にいた。
話を聞くに、さっきの地震で飛び起きてしまったらしい。夜遅くに申し訳ない……。
「ささ、今夜はもう遅いです。今は休んで疲れをとるのがよろしいでしょう。私の家が村で一番大きいのでそちらでお休みください」
村の代表っぽい老人に案内され、とりあえず俺たちはその家で休むことにした。
――翌朝
「誠に申し訳ございませんでした!」
俺たちが村長の家から外に出た時、外には雪が降っており、その雪の中、中央広場で俺やユージンにヤジを飛ばした男とその取り巻きが土下座をしていた。土下座をしている男たちの後ろには村の人々が事の顛末を見守るようにいる。
あの後、冷静になり、貴族である俺に無礼を働いたのを後悔して謝りに行こうとしたが、そのころには俺たちがダンジョン攻略に出かけた後で、その機会がなくなってしまったらしい。
挙句の果てに俺たちがダンジョン攻略に成功してしまい、貴族を愚弄したこの男は村で立場がないだろうな。
俺がもし冒険者として、ギルドから依頼を受けたのならまだしも、ユージンは俺の事を冒険者ではなく貴族の息子として紹介したのだから、それ相応の処置をしなければならない。
男はビクビクしながら俺の言葉を待っている。
「お前、名前は?」
俺は優しい口調で質問する。
「私はローガンと申します!」
「そうか、ではローガン。お前の無礼を許そう」
俺は軽い口調でそう口にすると、村人からは『おお!なんとお優しい!』といった声や『やはりフィンゼル様はそこらの貴族とは違う!私たちの苦しみを理解してくれているのだ!』といった歓喜の声が沸き上がる。本来なら俺の気分次第で首が飛んでいてもおかしくないことだからな。当然だろう。
しかし、ゲオルグがエルフ達を狩って来た時も思ったが、ちょっと優しい対応を見せるだけで俺の評価がうなぎ登りだ。俺にとって都合がいい分、他の貴族たちはどんな対応をしているのか怖くもある。
「誠に……誠に、申し訳ございませんでした!」
男たちは歓喜からなのか何なのか、大の大人が涙を流して俺に謝罪した。そんなになるなら初めからそれらしい対応をしておけよ……。まぁ、あの時は激しく言い合っていて冷静ではなかったのだろうが。
「フィンゼル様、僕からもお礼を言います。して、どうしましょうか?お帰りの馬車はあちらに用意をさせています。僕はまだ村に残りますが、お帰りになられますか?」
ユージンはこの一晩で馬車を用意してくれたようだ。こいつもできる男だな。
「ああ、そうしよう。やるべきことはやったしな。いいよな? みんな」
俺はエマたちに同意を得たところで、この村を後にした。
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