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第59話 ピエロ修道士


「あなた、本当に怖いもの知らずね……。天井が崩れたらどうするのよ……。」

「いつもはお優しいのに、時として豪快に、そして大胆に行動ができるフィンゼル様。素 

敵です……」

「さすがはご主人様! 普通じゃできないことを平然とやってのけられる!憧れてしまいます!」

「ダンジョンの入口の時も思いましたが、この威力の魔法、とてもそのお歳で出せる物とは思えません……。あなたは一体……」


 口々に俺を評価する声が聞こえるが、俺はそれよりもぶち壊した扉の奥にある台座に乗せられた紫色の玉が気になった。


「おい、みんな。あれって……」

「あれは魔制石でしょうか?どうしてこんな場所に……?魔物もいないようですし、どういうことでしょう?」


 俺たちはその玉を調べに扉の中に入ると、そこはベルフィア城の広間ぐらいの大きさの部屋があり、その奥に玉がある台座があった。


「ほほほ~。あなた達は随分乱暴な方々ですね~。扉を魔法で破壊するなど下品極まりないですよ~」


 俺たちが台座を調べようと近づくと、部屋の奥から能天気な声と共に、修道服を着て、顔にピエロのメイクをしている不気味な姿の男が現れた。地味な修道服と不釣り合いなほどの派手なピエロメイクと、緑色の長い髪が不気味さをより引き立てた。

 その人物は首から月の形をした首飾りを下げており、腰には剣を携えている。


「うわー。変なお顔ですね。エルフでも人間でもなさそうですけど。もしかしてネーデルランドにいるとされる悪魔族とかですか?」

「失敬な! この服装でこのワタシが聖職者だとわかるでしょ! それなのに悪魔呼ばわりとは不敬極まりないですね!エルフの分際で!」


 いやいや、そのピエロ顔で聖職者はないだろ……。

 あとルーナ、あの白い顔は素じゃなくてメイクだぞ……


「その月の首飾り、貴様トスカナ教会の者だな。ここで何をしている?」


 ユージンがあからさまに怪しいピエロに問いかける。しかし教会だと?てことは本当に聖職者?そのピエロの顔で?


「ほほほ~。ワタシはあなた方と同じくクエストを受けてここにやって来たのですよ~」

「あら。それはとても可笑しな話ね。私たちはクエストを受けて来たわけではないわよ? 私たちがここに来たのは、たまたまギルド支部長から個人的に頼まれたから。 第一この海が氷漬けになっているなんて一番近くの都市であるアバディンにも情報が行っていないのよ?」


 エマがピエロ聖職者にツッコミを入れる。

 うん。こいつはあからさまに怪しいな。いや、その格好で分かってはいたけど。

 このダンジョンと何かしらの関りがあるはずだ。


「ほほほ~。随分と早く嗅ぎつけられたと思ったらその支部長と近くのクソド田舎村に接点があったんですね~。は~、やだやだ。仮にも組織を運営する者ならちゃんと手順を踏んでからダンジョンに入って欲しいですね~。申し訳ありませんが、このダンジョンはまだ出来立てホヤホヤ。正式オープンはまだ少し先なのでお引き取りして貰えませんかね~」


 このダンジョンと関りがあるとかじゃなく、こいつが元凶か。

 にしてもあっさり喋ったな。


「悪いが、お前のような怪しい奴を放っておく訳にはいかないな。お前は何者だ?このダンジョンは何なんだ?答えろ!」


 ユージンが一歩前に出て吠える。

 こういう時に大人がいると助かるな。俺みたいな子供がやってもどうしても迫力にかけるし。


「そうですね~。ワタシはこの見た目通り紳士ですので、その質問にも真摯に答えましょう。まずは自己紹介ですね、ワタシはペドリーノ・デル・ピエーロ。しがない修道士でございます。ここに来たのは他でもありません、ある方よりダンジョンを作るように命ぜられたからです」


 さっきから情報をポンポンしゃべるな。意外といいやつ……なのか?


「ある方とは誰だ?」

「お~。ノンノン。ワタシはあなた方のお願いを受け入れ願いを叶えました。今度はこちらのお願いを聞くのが筋ではないですか~? どうぞこのダンジョンから立ち去って下さい」


「それは無理な願いだな。お前のように怪しい者を放っておく訳にはいかないだろう。第一、俺たちの目的はこのダンジョンを破壊することだ」

「ほほほ~。何ですかこの生意気なクソガキは?大人同士の会話に口を挟むなですよ~」


 俺が侮辱されたためか、歯ぎしりをしてペドリーノを凄い形相で睨むマリアは俺に小さく耳打ちする。


「フィンゼル様。こいつと話し合うのは時間の無駄でしょう。命令してください。すぐに処理します」

「んー」


 たしかにこのペドリーノとかいうやつは怪しい。しかし、ここで殺してしまったら情報が取れなくなる。それにこいつの戦闘能力は未知数だ。なんとなく只者ではない気がすし、戦うのは最終手段だろう。


「駄目だ。まだ手を出すな、すぐ動けるように準備だけしとけ」

「ほほほ~。何をさっきからひそひそ話しているのですか~? あなた方の選択は二つ!このダンジョンを立ち去るか、それとも……今ここで死ぬか!」


 ペドリーノは腰に差してあった剣を抜くと同時に、部屋に吹雪が吹き荒れる。


「うお!」

「きゃあ!」

「こ、これは! フィンゼル様! エマ様! おさがり下さい!この力……まさか!氷帝剣アロンダイト!」

「そう!天剣ナンバー6!氷帝剣アロンダイト……の模倣剣(レプリカ)ですがね! だとしてもこの魔力! 本物はもっと凄いですよ~」


 ただでさえ氷で作られたダンジョンで気温が低いのに、この吹雪。寒いじゃ済まされない。

 俺は体に魔力を溜め一気に放出する。


「ぷぎゃ!」


 炎の波動がほとばしり、吹雪をかき消しながらペドリーノは間抜けな声を上げながら吹き飛ばされる。それと同時に部屋が温まって行く。


「ちょっと!範囲魔法使うならもっとエリア絞りなさいよ!こっちにも被害でるでしょ!あと一声かけて!」

「あ、悪い」


 エマにお叱りを受けていると、吹き飛ばされたペドリーノはむくりと立ち上がる。



「……。どうやらただのガキではないですね。一体何者ですか?」

「よし。決めた。こいつは生け捕りにしよう。マリア」

「はっ!」


 マリアに指示をだすと、マリアは魔力駆動(ドライブ)を使い、ペドリーノに向かっていった。


 


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