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第50話 エマとマリア

「だから、熱量は魔力量に比例するって何度も言っているでしょう? だから魔法陣はこうなるわけ。分かる?」

「まぁ、なんとなくは……」

  

 今は午前9時、いつもならカトレアが俺たちに魔法の授業を行ってくれている時間だが、今日はアバディンの魔法研究所に顔を出すと言って不在だ。


 それで屋敷の一室で自習中なのだが、カトレアの代わりにエマが俺に魔法理論を教えてくれている。本来ならサディーがこの役目を担うはずだが、ヘストロアから帰って来てからは、授業という授業はしていない。フリーダに付きっ切りだ。まぁ俺たちがクエストやら何やらで、忙しいのもあるだろうが。

 

 エマの性格も2年一緒にいれば分かってくることが多い。

 初めはクールで高飛車かと思われたが、実際は中々面倒見がいい性格で、こうして俺の勉強を見て貰っている。メイドや執事に対しても特に横暴ということもなく、初めの印象とは大分違っていた。


「って、聞いてるの? カトレアの授業を受けていてなんでこれが出来ないのよ? 頭が悪いにも程があるわよ? こんなのも出来なに魔法を扱えるあなたが不思議でならないわ」


 たまに辛辣な言葉が出るが、それは許容範囲だ。ツンデレ系かと思えば可愛くも思える。

 デレてくれたことはあまりないが……。

 

「エマ様、今の言葉はフィンゼル様に対してあまりに失礼ではないですか? 訂正してください」


 俺の左隣で勉強していたマリアがエマに突っかかっていく。


「あら? なんで訂正しないといけないのかしら? 私は事実を言っただけよ? それに私たちはいずれ結婚するのだから、言いたいことは言っとかないと後々言えなくなるって本にも書いてあったもの」


「けっこ……だとしても言いすぎだと思います! 今の言葉でフィンゼル様が傷つくとは思わないんですか!?」

 

 二人の言い合いは大体こんな感じで始まる。

 エマが俺をからかい、マリアがエマに突っかかる。

 マリアはともかく、エマはなんとなくこのやり取りを楽しんでいる節があるので、エマが止めようと思わなければこれはずっと続くんだろうなぁ。


「別に思わないけど? 彼、意外とメンタル強いところがあるし」

「そんなの理由になりません! そんなことを繰り返していればいつフィンゼル様のお心が病んでしまってもおかしくないのですよ! エマ様、失礼ですがあなたはフィンゼル様のご婚約者という自覚があるのですか? ないのであれば今すぐに婚約を破棄してください!」


 結構凄いことを言うなぁ、マリアは。エマは一応公爵令嬢って知っているよな?

 こんな言い合いをしている所をルーナは、あわあわしながら見ている。可愛い。


「そんなの無理ね。 私の一存で決められるわけないじゃない。 そんなことも分からないなんて、あなたもご主人様に似て頭が悪くなってしまったのかしら?」


 どこまでも余裕なエマに対し、段々頭に血が上っていくマリア。

 俺はこっそり席を立ち、二人が言い争っていて気付かない内にルーナを連れて静かに部屋を出た。

 部屋からは、『フィンゼル様の事を愛していらっしゃらないならすぐに婚約破棄して!』というマリアの怒鳴り声が聞こえる。


 それに対し、『あら、別に愛していないなんて言っていないわよ? 彼、頭は良くはないけど、魔法や剣術は特出しているし、強さは貴族でも重要な要素だわ』とエマ。


 『そんな事は聞いていません!』とマリアのヒステリックな声が聞こえる。

 言い争いはまだまだ続きそうだなと思いながら俺とルーナは屋敷を後にした。



全然ブックマーク増えない……。

投稿は一旦止めます。PV見ながら投稿していきます。


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