第49話 合格パーティー
目が覚めると俺は屋敷にある自室のベッドの上にいた。
あれ…?俺はたしか…
C級昇格試験で試験官を倒したところで記憶が途切れている。
周りには誰もいなく、状況を確認ができない。
ぐぅー、と俺の腹から音がする。
窓を見ると綺麗な月が見えていて、あたりはすっかり暗くなっていた。
試験が午前10時の開始だったから、結構な時間何も食べていない。お腹がすいたな…
幸い自分で歩けるくらいには回復している。
俺はベッドを出て食堂に向かった。
食堂では明かりが付いていて、中から話し声が聞こえる。
「もたもたしていると、彼が起きてしまうわよ」
「そう思っているのなら少しは手伝ったらどうですか?」
「……?なぜヘストロア公爵令嬢である私がメイドの手伝いをしないといけないのかしら?」
話しているのはエマとマリアだろうか。
相変わらず仲が悪いことだ。この2年で分かったことは二人の相性はあまり良くない。
というよりエマの行動にいちいちマリアが口を出して口論になってしまうのだ。
エマは一応、公爵の令嬢であるからあまり粗相はしないようにマリアには言っているのだが……。
「はいはい。二人とも仲良くね。よし出来た!じゃあ、私はフィンを呼んでくるから」
そう言ったフリーダの声が聞こえた。
まずい!
俺は急ぎ自室に戻り、寝たふりをした。
――
「「C級昇格おめでとーー!」ございます!」」
俺がフリーダに起こされ、食堂に連れていかれると、豪華な食事がずらりと並べられ、この屋敷にいる執事やメイド全員が駆けつけてくれていた。
「フィンゼル様! おめでとうございます!かっこよかったです!」
「ま、あなたにしては上出来だったんじゃない? これからも期待しているわ」
「ご、ご主人様の戦いぶりすごく感動しました!」
「おめでとうございます。 次は魔法系の資格に挑戦してみましょう」
「さっすが!私の息子だわ! もっともっと高みを目指すのよ!」
「ああ。ありがとう」
そう口々に賞賛されて、誰がなんと言っているか分からないが、魔法系の資格は絶対に取れないことが確定している。
なぜなら、魔法系はまずは筆記試験が通らないと実技試験にいけないからだ。
「本当に凄いですね。フィンゼル様。僕がC級に昇格したのは13の時、それを10歳で合格を掴むとは。あの試験官は容赦がなく大変だったでしょう。御見それ致しました」
そう話しかけてきたのはユージンだった。
そういえばこいつも国防につくと言ってアバディンに残っていたな。来ていたのか。
「C級ライセンスは一流の剣術使いの証。本当にお見事です」
「ああ。ありがとう。ユージンのライセンスは何等級なんだ?」
「僕は一応Bです。前に王都に行く機会があり、その時ついでに受けたら受かっちゃいまして……そのおかげで騎士の位も3級から2級に昇進することができました」
そう照れくさそうに言うユージン。 B級はC級までの試験とは違い、これまでの実技だけでなく筆記や面接の試験がある。まぁ、B級ともなるとその流派の上位層になるわけだから、素性の知らない危険な人物に与えるわけにはいかないし、当然だろうけど。
それにしても2級か。これはそうとう早いペースではなかろうか。たしかユージンは17歳とかだったはず。ギュンターからも聞いてはいたが、そうとう優秀な人物らしい。
「あっ! フィンゼル様! 本日のメインイベントが来ましたよ!」
ユージンと話している途中だったが、マリアが俺の右腕に腕を絡みつけてきた。
「坊ちゃま。 おめでとうございます! このギュンター。ヘストロアに来て、これほど……うっぐ、えっぐ、これほど嬉しかったことはありません」
奥からギュンターがやってきて、泣きながら俺に賛辞を述べてくるが、俺の目はギュンターが持っていたその剣に釘付けだった。
その剣は鞘に収まっているがそれでも分かるほどの神々しい光を放っているように見える。
間違えない光剣ライトセイバーだ。
「では、坊ちゃま。お約束通り、この剣は坊ちゃまに……」
ギュンターからライトセイバーを受け取る。
「坊ちゃま。天剣には強力な力が込められていますが、一つ注意事項があります」
「注意事項?」
「はい。天剣は、自分の魔力が枯渇している時に無理やり使おうとすると、力を使うためのエネルギーを確保するために使用者の肉体を食らうことがあります。ですから、使用する時は十分に注意をして―――」
ギュンターの話は続いていたが、俺は適当に返事をしてライトセイバーを抜く。そこには3年前と同じく眩い光を放つ剣が現れた。
やはりいいな……これは
使用者の体を食らう剣。要は魔力が枯渇している時は使えないという話だ。
俺は剣を確認するとそれをしまい、ギュンターにお礼を言ってパーティーを再開した。
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