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 鼻から汗と泥の香りがする。

 耳から小鳥の歌声が聞こえている。

 瞼が重い。

 それを開けようとしたが、中々できるものではなかった。

 それでも、彼女は何とか、それをあげた。

 二年も閉ざされた空色の瞳から見える景色はぼんやりと、不鮮明なものだった。


 だが、彼女は視線をどこに移せばいいのかが分かっている。

 何故なら、彼女の右手はその道しるべとなっている。

 顔をなんとか動かせば、視野に黒色と紫色が見える。

 懐かしい色、一番見たい色でもある。


 そんな彼女を見て、彼は優しく微笑む。


「おはよう、セレス」


――悪女になりきれない君はもう、休んでもいいさ。


 セレスはその言葉に、優しく微笑む。

 そして、掠れた声で、あの大切な言葉を言う。


「おはようございます、ライネ様」


 そう。

 例え、次の「おやすみ」が真に最期の「おやすみ」になったとしても。

 二人は、互いに「おはよう」を言えるこの瞬間を忘れることはなかったのだろう。


 太陽が燦々と降り注ぎ、微笑み合う二人を暖かく包み込む。

 正午を知らせる鐘の音が鳴り響く。

 それは終わりの合図なのか、始まりの合図なのか。


 その答えは、二人だけが知っている。











―― 完 ——






 柵空です。ここまでセレスとライネリオの物語を読んでくださって、ありがとうございます。

 今回は全ての元凶がもうこの世になく、その後残された人達の葛藤について書いてみたいなーと思って考え始めたものとなります。

 「もうどうしようもない」というのはどういう状況なのかを考えたのですが、ちゃんとそれを表現できたらいいなと思っています。

 そして、セレスもライネリオもですが、一度決心しても、人はそう簡単に変われない、だけど少しずつ変わるという姿がちゃんと書けたらいいなと思っています。

 幼馴染で、そんな二人が幼い頃から互いを想っているのに、二人共立場をわきまえて、互いに手が伸ばせないというシチュエーションは個人的にはものすごく好物です。

 この一年間、頭を抱えながら(あくまでも私からすると)複雑な二人について考えながら物語を挑んでみました。そんな二人が最後に二人らしい決断を、私がうまく表現できたら幸いです。

 色んな表現方法も試しましたが、それが効果的に使えたらいいな~です。

 今回もまだまだ活かしきれない設定などが沢山ありますが、次回がもっとうまく書けるように、です!


 ブックマーク、ポイント、そして大切な時間を使い、最後までセレスとライネリオを見守ってくださった皆様に感謝です。

 心から、ありがとうございます。


 また縁があれば、次回作にまた会いたいと思っております。


 柵空いとま

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