親友と書いて強敵と読む
今回で亡霊の章が終わりです。
俺らは無数の杭によって荒れた戦場を、大きな砂埃が舞っている方に走る。
辛うじて平面を保っている戦場に抜け出すと、第1、第2部隊よりも少ない人数であるが。精鋭が全員こっちに来ていた。
そして、真ん中にいる人物を見て。俺は……。
『やっと出てきたか、高橋』
『タカハシね、私は性格が嫌いじゃないのだけど。大人の玩具にされてるから、ダメね』
気づいている奴もいるかも知れない、俺はこの世界の人間ではない。今相対そうとしてる相手……高橋純、彼もだ。
そして俺の前世界での親友でいて、俺同等……下手すればそれ以上の性能を持つ人間だ。
『しかもそっちも新機体か……』
『確かにあの機体は見たことないわ』
彼だと思われる機体は、白と黒で出来た機体だった。俺達の様に二足歩行型だが……変形型なのかもしれない。まだ未知数の機体だ……何をしてきてもおかしくは無いだろう。
「亡霊! ……いや、成田! お前は何でここで戦う。お前は自由が欲しいと言ったじゃないか!」
「ふっ、そうだ。俺はここに自身の目的で来ている。そうでないお前に言われたく無いな」
高橋は、ブーストをかけて突っ込んでくる。手に持っている物は無く、他の人から見れば丸腰だろう。
だが、知っている俺はこいつの戦い方を。何処かに隠している武器をすぐに出せるようにして、突っ込む。
『下がれ! このままじゃやられる』
『分かった』
俺の指示によって、ブーストをかけて下がる。俺は、腰の脇に手を当ててるあいつは危険だと判断し。奴は振り抜く。
すると衝撃波で地面がエグれた。距離を取った分地面が一閃の様に切れていた。
「これを避けるのはお前くらいだよ、隊員は全員これで死んでいた」
「お前の動きは異常過ぎんだよ!」
「酷いな、お前はその腕を自由に動かしているじゃないか」
奴は刀と呼ばれる物を持っていた。そう刀、剣のモドキではなく。
オタクでありながら、ゲーマーな奴はどう動けばいいのかを最初から操縦した瞬間身につけた。
『どうする?』
『周りの奴が銃を構えたりして、武器を構えている以上。どうでるか分からない』
周りの奴は構えたまま動かなかった。
あいつが指示しているのか分からないが、どうにも面倒な事が起きそうだな。
「試し切りはここまでだ。成田本気でやろうか……戦争を」
「相変わらずだな、お前は」
高橋が言った瞬間に一斉に俺に向かってきた。
今までの部隊と明らかに違う動きにエルダは困惑している。だが、じっとしてばやられるだけだ。
『走れ! 周りは俺がやる、回避と奴の戦闘に専念しろ!』
『任せたぞ、私では避けるのが精一杯だ』
そう言って、俺は左側のアサルトライフルを撃ちながら来る機体を掴むために腕を伸ばすが。横から来た機体に腕を弾き飛ばされる。
それを予想済みだったので、別な腕で最初の奴の頭を掴み。また、別な腕で横から来た機体を貫く。掴んだやつを高橋にぶん投げて。
右側から来る、高速で突っ込んでくる。剣を持った機体は、振り下ろしてくる剣を片手で受け止めながら、別な手で貫く。また、後ろからやってくる槍の機体に剣を投げて牽制する。
「なんだ! この化け物は!?」
「怯えるな! 例え人、1人じゃ限界がある筈だ!」
高橋は飛ばされた機体を横に避け、怯え気味な兵士を怒鳴ると共に俺らに向かって突っ込んでくる。俺は1人で弱かった……だけど、今は2人だ。エルダ共に居るんだ……!
エルダが剣で刀を受け止め、周りの兵士が援護射撃に来るのを。避け、俺が処理をする図になっている。
兵士の数が減る一方だが、元々こいつは1人で戦うタイプだ。それこそ、軍隊相手に1人で勝つくらいに。
俺らの戦闘はまだまだ続く。
まだ途中となりますが、戦場は進んでいます。
次は魔城の章。
時系列的には最初の全員が走り出した時です。