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破滅世界のデスロード  作者: 秋雨そのは
漆黒の不死鳥
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戦友……大事な人(side 敵)

 私は、この戦場に居ない彼の事を考えていた。


 大きな砂埃を上げ、新たな部隊が投入され……私ごと亡霊を撃ち抜くだろう。

 この戦い前に彼は姿を見せず……最後に顔でもいいから見たかった。


 亡霊に攻撃を仕掛けながら、叫ぶ。


「亡霊! 何故、私を狙わない! 答えろ!」


「教えるつもりはない、早くここから撤退するなりして欲しいんだが」


 私は後ろの部隊が配置に着き、全員の構えが整うまで時間を稼ぐ。攻撃を続けている時に、亡霊はそっちに気づいたようだ。

 部隊は、ほぼ壊滅状態でそれでも生き残りを亡霊は確実に殺していた。


『中尉、準備が完了した』


『了解です』


『中尉……大義であった』


 一斉射撃を避けられないように攻撃を続けるが、背中の腕で不意に掴まれる。

 私は伸びた腕によって、1箇所に固まっている部隊にぶん投げられた。その瞬間……。


ズガガガガガ……!


 という轟音と共に亡霊の機体が杭と銃撃によって、無残に当たっていた。

 そして飛ばされている間、私は……思った。


(また、助けられた)


 のだと。

 私は一斉射撃している部隊に確実に落下していた。部隊は上の事など見ていなかったのか、何の抵抗もせず勢いと共に私の機体で潰れていた。


 銃撃を止め、兵士全員は笑いながら。


「「「これならあの亡霊も行きていないだろう! はっはっは!」」」


 あるわけがない、私は知っている。あれだけでは死なないと講義しても多分笑い飛ばされるだけだろう。

 油断しすぎている部隊は、雑談しながら亡霊の残骸を確認しに走る。


 その瞬間、近づいてくる2つの腕に気づいた。


「お前ら! 逃げろ!!」


 私は叫んだ、しかし……間に合うわけもなかった。私の後ろにいた2つの機体は無残に引きずり込まれていた。

 引きずられるの見ているはずなのに、誰も動こうとはしていなかった。

 ある筈無いと、私に向かって笑うばかりだ。


 引きずり込まれた際に出来た砂埃は、亡霊の周囲を覆っていた。ただ、中から凄い音を立て。

 機体を貫く音、機体を引きちぎる様な音。繋ぐような電流の音が流れていた。


 その僅かに気づいた私は本当の意味で、彼は亡霊なのだという事を思い知らされる。


「全員、散開しろ早く! 死にたいのか!」


 またしても遅かった。

 今までの比でない速度で彼は砂埃の中から、出てきた。機体は怪しく赤紫に光り、背腕には4本の腕が生えていた。

 左腕と右足は先程の引きずり込んだ機体が着けられていた。不揃いであるが、機能する筈も無い腕は有に動かしている。


「「「うわぁぁぁぁ!!!?」」」


 という声が響き、兵士は腰を抜かしているのか尻もちを着く者。怯え逃げる者までいた……が。

 新たな腕の追加された、亡霊は4つを更に器用に動かし。逃げる者の頭を掴み引きずり回し部隊へぶつけ。

 亡霊の方に投げ、機体に貫く。など一方的な虐殺が始まっていた。


『貴様らは下がれ! ここは私が引き受ける』


 傍観していた、隊長……私には関係の無い部隊の隊長が無線で、兵士を逃げる様指示する。銃を射撃しながら亡霊に突っ込むが全てを避けられ、近づかれる。


 1つの腕を戻し、攻撃の合間を抜け隊長機の頭を戻した腕で捉え。上空へ持ち上げそのまま叩き落とした。

 追撃とばかりにコックピットを最後に貫いていた。


 その様子に更に、部隊は混乱し私だけが冷静だった。

 私は、ブーストし亡霊に突っ込む。特攻する様に剣を腹に構え、速度を上げ突っ込むが……隊長機を殺した腕を戻し、私の頭を掴み同じように叩き落とした。


 それだけでなく、動く私が邪魔なのか両足を切り落とされる。

 今まで貯めていた言葉を叫ぶ。


「貴様……! 貴様なんてあいつが入れば、倒してくれる。だけどあいつは何処にも居なかった!」


「……」


 私の叫びに亡霊は答えない。あの勇敢で敵部隊を翻弄し、味方を救い出す彼は何処にも居なかったのだ。

 始まるその時まで探した……何時も一緒で心を通じ合ったと言える程親しい仲の彼。


「お前……、もしかして……」


 そして1つの空想が私の中で浮かんだ……、ここまで何故私を生かすのか。ただ殺すだけならすぐに殺せばいい、もしに躊躇があったら……。

 私は呟こうとした時、亡霊は走っていった……生き残った私を残して。

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