この世界の息吹
サアランドは正面にいる、ハエンドを睨んでいた。
両者は動かない、周りは静かで風が吹き荒れると。砂漠は砂埃を上げて……嵐の前振れの様。
そして次の瞬間……。
ハエンドはこちらに突進してくる。サアランドはショットガン2丁構えて、同じく突進する。
「あら、ショットガン2丁も持って踊れるの?」
「特別製なんだ、エスコートしてやるよ」
魔城に受け取った銃は、反動が馬鹿でかいかわり……一撃で機体が屑鉄になっている。
ハエンドが銃を撃つのを、小さな方向転換して移動を繰り返す……銃弾を全て避けてはショットガンを構える。
だが、反動を魔城の様に軽減する機能が無いため……一撃で片腕が吹き飛びかねない。
「あらら~、どうしたの? 手加減してくれてるのかしら?」
「くそっ、相性が悪い銃だな」
そして、姫の歌声がまた……響いていく。
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あなたの光を 届けよう
小さな 小さな 灯火でもいい
近くで闇に包まれてる人に 届けよう
その温もりを 届けよう
あなたが光を求めたように 闇を払ったように
それは 必ず その人の光になるのだから
諦めないように 悲しくならないように
温かな光を 届けよう
あなたの 持っている 小さな光を
みんなで 持っている 小さな希望を
届けよう
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砂漠の戦場が緑の大地に包まれていく、どんなに小さな光でも。何も見えない闇の中では、強い光を放つ。
あおい空からは、奥が先に見える程の透き通った空を覗かせていた。
サアランドは銃撃を避けながらも、小さく笑って。
「もう少しだ……もう少し」
「お互い戻れないんだから、今は楽しみましょう?」
「残念だが……もう、遊ぶ必要はなくなったようだ」
ハエンドは銃撃の手を休めない、リロードを忘れるような連射量。サアランドは、左手のショットガンを投げて背中に背負っている。一度も触れていない無骨とも言える長い剣を掴んだ。
「それじゃあ……な!」
銃撃を今度は避けずに、ただ突進する。普通の様に避けられ、装甲は剥がれる……。
ただ左手の剣を取り出して、一瞬で構わず……ハエンドの距離を詰めて……剣を振り下ろす。
「こいつをくらってみな!」
全てを……斬り裂いた、それは言葉の通り。無骨な剣から斬れない様な範囲まで、銃弾を含む空間を機体を斬った。
斜めに斬られた機体は、何の抵抗も許さず……下に崩れ落ちた。
次は、魔城の方




