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破滅世界のデスロード  作者: 秋雨そのは
黒青の双穿刃
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全ての始まりと終わり

 サアランの所に何も来ないの、卑怯だよ~。

 サアラン卑怯~。私達だって休みたい!


 私達は、グルグル周って次が来るまで待っていると。

 奥からまた新しいのが来たみたいで、砂埃はさっきの比では無かった。数は1000は超えてると言える。


 到達まで時間かかりそうだけど、こういうのって遠くから撃ってくるんだよね。


 そう思った瞬間こっちに高速で飛んでくる杭が10本程。それは確実に僕達を狙っていた。

 ブーストをかけつつ、横に避ける。機体を別けて突っ込んでいく。


「来るぞ!」


「「うおぉぉ~!」」


 声を上げているのが分かる程、大きな声だった。半数になっている敵は、個別に相手をしようと思っているのか。

 突っ込んでくる機体は数騎で相手しつつ、後ろから銃などを構えては撃ってくる。

 ワイヤーを繋いでは互いを引き寄せ、攻撃を避けては左右すり替えて戦う。


 ワイヤーはワイヤー同士繋がると長い距離も可能になる。

 また鉄の様に片方を硬化させ、柔らかい片方を鞭の様に投げる事が出来る。


 その軌道を読める物が居るかどうか。


 飛んでは、ブレードを斬りつけ飛んでいる間に、射出のバンカーを飛ばす。飛ばした反動はもう片方のワイヤーによって引き寄せる事で、軽減する。

 片方が無防備でも、片方が居る限りは絶対の隙にはならない。


「「あははは――、楽しいよ~。楽しいね~!」」


 戦場はたった1機だけで、次々と減っていった。1000を超える部隊は100を切っており、部隊長は慌てつつも怯え混乱する兵士を叱咤するが、減る早さに追いつくわけがない。


「部隊の追加などで奴らを倒せるのか?」


「!? この通信は、隊長!」


 何やらやり取りをしている人達がいる。それを、バンカーで貫く今のは隊長機だったようだが……。

 兵士は「ダメだ……もうおしまいだ……」と戦意を消失している。どうせなら、と遊びながら壊していく。


 奥から、また追加で来たようだが数は少ない。

 近づいてくる、機体に僕達は息を飲んだ。


 あいつら、本当に厄介な物を持ってくるね~。

 しょうがないよ、人の死骸見ながら食べる奴らだよ~。


 来た部隊自体は知らない……だが、先頭に居る機体が一番知っていた。

 僕達の後に生まれた、双子の弟達だ……。


「お兄ちゃん達が居る!」

「お姉ちゃんが居る!」


 そんな事を喋りながら来ているのが分かる。しかし、嬉しくもなんともない。

 親が、優秀な子と残念な子が居たらどっちを育てるだろうか? 手のかかる子と手のかからない子どっちが楽だと思うだろうか。

 答えは、優秀な子と手のかからない子だ。


 勿論それだけで、判断するものでは無いと信じたい……しかし、実際私達、僕達は捨てられたのだから。事実でしか無い。

 絶望はしたが生きてはいた。生活も出来ていた。だが、一番の問題は……2人の一緒で居る事が苦痛になってきた。


 それは生活の不自由さもあるだろう、互いに助け合う……なんて現実は、本当に見てから言って欲しい。

 戦争が激化し、食料ですら軍事に持っていかれる生活の中。助けてくれる人など居るわけがないだろう。


 そして彼ら2人は、そんな現状を知らないまま……裕福な家庭で育ったのだろう。

 玩具を与えられた子供は、はしゃぐように。無人機はその頃にはあった……。


 だからだろう、彼らは死という物を知らない。

 それが腹立たしくてしょうがなかった。

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