絶望に沈む夢
私はランドとか言う人と喋っている。
どうせ私の方に来るのは物好きくらいか、そんな奴が居ないだろ。という油断から。
喋る人も、相対する事も無い戦場は静かだから。
「俺は、持ち場に行く。どうせ、何があっても死ぬんだ」
「そうですね、私だってこんな世界滅んでも構わないと思ってます」
生きるのは人の自由だが、確実に幸せをつかめる人なんて居るわけが無い。
ランドは、機体を動かし去っていった。
そして何も無い戦場は、寂しさだけが残り……。
私は呟いた。
「あっちは大変そう、私は特に関係無いけど」
するとこっちに部隊が投入されてきた。数は100を超えるだろうか、私を相手するなら。1対1の方が良いと言うのに……。
それでも勝てる算段はあるけどね。
「絶望、機体に化ける事が出来る機体だ。全員かかれ!」
「「「「おおぉぉぉ!!」」」」
またゴミが増えるのか、私は鏡とマントを取り出した。
鏡は……手鏡と言ってもいい程小さかった。映るのは戦場ではなく、機体。
マントは……機体おも飲み込みそうな大きな布。しかし、その布が遮った場所は物が変わっていた。砂であれば石に。機体は砂に。
「ごめんなさい……」
私はそう言った、なんで言うのか。それは……相手に対しての最大限の謝罪だ。
どんな事にも謝らなければならない。見せられた悪夢は相対する機体の乗っている人を見せる。
それは夢であって、夢じゃない。フィードバックの様に見せられるのは家族の事や過去。
動きも含めて私の機体が、認識して動かしてくれる。
ただ、精神の負担がかなり酷く。死にたくなったり、首を締めたりしていた。
「撃てぇ~!」
杭のある機体はこちらに一斉射撃してくる。
それをマントでひらりとすると撃ったはずの、杭は石となって地面に落ちた。
ブーストを掛けて突っ込む、ただ翻弄するだけの突進。
ただすれ違い様の1体にマントひらりとするだけ。された相手は……私の機体になっていた。
私の機体は、変えられた機体になっていて。武器もそのまま持っている。
「ここか!」
「待ってくれ、それは俺だ! やめてくれ!」
そんな言い訳も聞こえない。私の機体は声を通らせる機能は、ほぼない。
ならなんで、ランドと会話をしていた? それはあいつの機体のせいだ。それで私の声は通る。
変えられた機体は味方に撃ち抜かれ、倒れ込む。
倒したと思っていた敵がそれを見に、集まってくる。それを私は射出型の杭を構え。
誰かが気づくが遅い。
「おぃ! 離れろ!」
「死んで」
集まっていた機体は、私の出した杭によって一直線に貫かれていた。
どうせ死なないんだから、絶望くらい与えといたほうが良いよね?
「精神諸共死んじゃえ」
そうして私は、彼らを全滅に導く。




