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破滅世界のデスロード  作者: 秋雨そのは
剛腕の動城壁
13/54

国軍の兵と元戦友

 ……撃ち抜いた機体は電撃を発して、動かなくなった。


 積み上げた機体を見上げて儂は思った……。

 一部にしか知られてない真実があるのじゃが。こいつら全員、無人機なんじゃよ。


「お前も俺も何でこんな所に立っているんだろうな……」


 儂は声の方向に振り向きざま、手に持ったライフルを構える。そこには至近距離で剣を……儂の機体の首辺りに構えている。


「喋れなくなった、お前とは語り合う事も出来ないだろうがな」


 灰色の機体……儂の元戦友、戦歴から見れば儂と同等の成果を上げている。サアランド・ハーネスト。

 奴は後ろに下がり、距離を少し空けるが……止まる。儂もすぐには戦う気は無いのでな。


「お前が出ていって10年、科学の方向は生命の大樹に向かい……無人機を人の意思で動かすことが可能になった」


 その結果、戦場に出るのは無人機だけになり。壊れる度に……生命の大樹から栄養を使い量産されていった。儂ら5人はそれを知っている。亡霊も使ったことあるらしいが、つまらんとか言ってたの。


「人が死ぬことは無くなった……しかし、大樹が無くなれば世界は消える」


 大樹がこんな状況になった原因は人間全員だ。誰かでは無い全人類、罪を償うのは当然じゃな。

 無人機の生成によって。いままで需要と供給が釣り合っていた栄養はバランスを崩し……栄養の供給が足りなくなった。


 儂らの機体は合法(・・)の手段で作られた機体じゃ、研究者の血と涙の結晶とも言える。5機の機体。

 栄養は人の身に余り、機体に加工したとしても。避けられないデメリット(・・・・・)が発生する。それが最初に言った、各機体に影響と共に操縦者に与える。


 無人機はそのデメリットが無い、それは何故か……儂らの機体は、姫が大樹に語りかけて許しを得た上で授かった栄養。無人機は、大樹を傷つけ無理やり栄養を取った機体だからじゃ。


「そして、俺らがここに生身でこさせられてるのは……あいつらにとって用無しだからだ」


 奴は生身そして、ただ変哲も無いただの鉄などで作られた。機体だ。


 もし……戦う場所が一緒じゃったら、気持ちよく死ねたかもしれんの。お互いにな。

 でも、ここに立っている以上敵か、味方かの違いでしかない。


「今の俺じゃ、お前には到底敵わないからな……部隊が来るまで待たせてもらう」


 儂は頷いた。どうせなら花々しく散れる様に戦って死ぬのが良い……。

 こんな喋れもしない老いぼれと1人喋るおっさんじゃ、同考えても不気味でしかないがの。



 待っている間に少し昔話をしようかの。


 儂ガーロンドとサアランドは犬猿の中と言われるほど、相性が悪かったが……度々任務を言い渡されていた。

 何故なら、この2人が居ると敵なし。と言われるほどに武功を上げていたからだ。

 戦場は荒れ、血溜まりとなっていた……。


 その場にもう1人の女性がおった。

 儂らの緩和剤みたいなもので。


「ちょっと! うるさいわよ! 早く戻りましょう!」


「「……はい」」


 と2人はげんこつで殴られては、引きずられたのがいい思い出じゃ。

 今は……じゃと? それはこの場に居ないのじゃから、分かるじゃろ……戦場で殺されたんじゃよ。



 思い出は寂しいの、消えてしまう。今居ない者や、やったことを振り返る事は良いが……進まない事が多い。

 そう思っているとふと、喋りかけてきた。


「ガーロンド、この世界はどうなると思う?」


 儂は答えは知っている。頷いた時に察したのか呟いた。


「滅ぶだろうな……」


 どうせ結果は変わらん、どう転んでもな。

 奥から来る砂埃は段々と近づき複数の機体がこちらを見てきた。

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