国軍の兵と元戦友
……撃ち抜いた機体は電撃を発して、動かなくなった。
積み上げた機体を見上げて儂は思った……。
一部にしか知られてない真実があるのじゃが。こいつら全員、無人機なんじゃよ。
「お前も俺も何でこんな所に立っているんだろうな……」
儂は声の方向に振り向きざま、手に持ったライフルを構える。そこには至近距離で剣を……儂の機体の首辺りに構えている。
「喋れなくなった、お前とは語り合う事も出来ないだろうがな」
灰色の機体……儂の元戦友、戦歴から見れば儂と同等の成果を上げている。サアランド・ハーネスト。
奴は後ろに下がり、距離を少し空けるが……止まる。儂もすぐには戦う気は無いのでな。
「お前が出ていって10年、科学の方向は生命の大樹に向かい……無人機を人の意思で動かすことが可能になった」
その結果、戦場に出るのは無人機だけになり。壊れる度に……生命の大樹から栄養を使い量産されていった。儂ら5人はそれを知っている。亡霊も使ったことあるらしいが、つまらんとか言ってたの。
「人が死ぬことは無くなった……しかし、大樹が無くなれば世界は消える」
大樹がこんな状況になった原因は人間全員だ。誰かでは無い全人類、罪を償うのは当然じゃな。
無人機の生成によって。いままで需要と供給が釣り合っていた栄養はバランスを崩し……栄養の供給が足りなくなった。
儂らの機体は合法の手段で作られた機体じゃ、研究者の血と涙の結晶とも言える。5機の機体。
栄養は人の身に余り、機体に加工したとしても。避けられないデメリットが発生する。それが最初に言った、各機体に影響と共に操縦者に与える。
無人機はそのデメリットが無い、それは何故か……儂らの機体は、姫が大樹に語りかけて許しを得た上で授かった栄養。無人機は、大樹を傷つけ無理やり栄養を取った機体だからじゃ。
「そして、俺らがここに生身でこさせられてるのは……あいつらにとって用無しだからだ」
奴は生身そして、ただ変哲も無いただの鉄などで作られた。機体だ。
もし……戦う場所が一緒じゃったら、気持ちよく死ねたかもしれんの。お互いにな。
でも、ここに立っている以上敵か、味方かの違いでしかない。
「今の俺じゃ、お前には到底敵わないからな……部隊が来るまで待たせてもらう」
儂は頷いた。どうせなら花々しく散れる様に戦って死ぬのが良い……。
こんな喋れもしない老いぼれと1人喋るおっさんじゃ、同考えても不気味でしかないがの。
待っている間に少し昔話をしようかの。
儂ガーロンドとサアランドは犬猿の中と言われるほど、相性が悪かったが……度々任務を言い渡されていた。
何故なら、この2人が居ると敵なし。と言われるほどに武功を上げていたからだ。
戦場は荒れ、血溜まりとなっていた……。
その場にもう1人の女性がおった。
儂らの緩和剤みたいなもので。
「ちょっと! うるさいわよ! 早く戻りましょう!」
「「……はい」」
と2人はげんこつで殴られては、引きずられたのがいい思い出じゃ。
今は……じゃと? それはこの場に居ないのじゃから、分かるじゃろ……戦場で殺されたんじゃよ。
思い出は寂しいの、消えてしまう。今居ない者や、やったことを振り返る事は良いが……進まない事が多い。
そう思っているとふと、喋りかけてきた。
「ガーロンド、この世界はどうなると思う?」
儂は答えは知っている。頷いた時に察したのか呟いた。
「滅ぶだろうな……」
どうせ結果は変わらん、どう転んでもな。
奥から来る砂埃は段々と近づき複数の機体がこちらを見てきた。




