懐かしい顔ぶれは後輩
儂は70機程の積み上げられた機体の山の横に立っていた。
もう少し骨のある部隊が来て欲しいものじゃ……。この機体を使うのは7年くらいかの……亡霊は最初だからの9年くらいかの。
砂埃はここに迷わず到達していた。
「……この積み上げ方、見たこと無いか?」
「お前もか? 俺もだ」
「……まさか、師匠?」
なんじゃ、意外と見てた者も居たんじゃな。この積み上げは、昔……戦場でこの機体を使い初めた時じゃ。2つ名とは合わないがの……一部もそうプログラムとしてされてるとか言われてるらしい。
まぁ情報源は亡霊じゃがの。
そして、儂は10年前……亡霊と共に去った時に戦場で死んだことになっていた。
師匠と呼ばれていたのは、もう引退と言われて後輩に教えておったからの。
「師匠何ですか!? 返事をしてください!」
「喋らないなんて師匠じゃない、プログラムと思うしか無い」
「いや……人としか思えない、動きがあったし。乗ってるのは確かだ」
戦場で余裕に喋っているとは、舐めてるしか無いの~。ましてや時間が無いというのに……声があったら高笑いと共に怒鳴りつけてやるのにの。
儂は、黙って2つの銃剣を取り出す。
そろそろ、お喋りを聞くのも飽きてきたの。儂が喋れる訳じゃないからの……もう過去に戻る事など出来んのじゃ。お主らは、過去に囚われるもの……未来を見るものどちらじゃ?
「! 来るぞ散開と共に畳かける! 師匠なら一瞬の隙が俺らの最後だぞ!」
「だが、俺らに勝てるのか?」
「今この際、そんな事を気にしている場合じゃない!」
そうじゃ、来い過去の鎖を断ち切って見せよ!
機体は3体、それぞれ儂を囲む様に散った。斧を持った機体……ユジ、短剣と片手剣を持った……カゼル、アサルトライフルを持った……ワール。
斧を持ったユジが突っ込んでくる……それを儂は片手で受けると、素早くワールに向かって銃を放つ。その間に、カゼルが突っ込んでくるので儂はブーストで避ける。
距離を取った瞬間に2人に向かって銃を放つが、武器で受け止められる……その間に空いた片手で武器を変えるショットガンに。
「くっ!」
「大丈夫かユジ!」
「カゼル、ユジ! なんて動きだ、昔の修行がどれだけ手加減していたのか分かるぜ」
これでも加減してるのじゃがな……。リミッターもつけたままじゃしの。
お喋りしている暇があったら、さっさと来い! 戦場の屑隣りたくなければな!
ブーストをかけ、ユジ近づく。ショットガンを構えぶちかますが、既の所でカゼルに邪魔される。それも予想済み……銃剣で薙ぎ払い。機体の中心部の時に銃を放ち……吹き飛ばす。
ワールは撃ってくるが、遅い……ブーストをかけ、銃弾を避け至近距離でショットガンをぶっ放す。
吹き飛んだ2人はもう動けない程機体を損傷していた。
「ガーランドさん……何故貴方は、私達を捨てたのですか!?」
「……」
「何故、何も言ってくれないのですか!? ここまで頑張ってきた貴方が!?」
儂は声を出せない、だが……どっちにしろ儂は何も言わなかったじゃろ。
この世界は汚れてしまった、人が欲を持ちすぎて。生命の大樹が悲鳴を上げてしまったのじゃ……それは、この世界の終わりを早めた。
どんなに頑張っても、人は人。遅かれ早かれ……この世界は滅亡していたじゃろう。
2人の機体は無理やり立ち上がっていた。儂は、何も感じず……武器を変え、ライフルを取り出しそのまま……2人のコックピットを的確に撃ち抜いた。
儂はそのままユジの元に銃口を向け、撃ち抜いた。
儂らは使命で動いている訳じゃない……この場に、居て。やりたいことがあるからおるのじゃ。




