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ハードシップメークス  作者: 小走煌
4 [練習試合]香椎東対天神商業
44/227

香椎東対天神商業17

20160505

内容に誤りがあったため修正しました。申し訳ありません。

・香椎東の攻撃イニング:六回裏→五回裏、六回裏

・天神商業の攻撃イニング:七回表→六回表、七回表

 一人、また一人とホームベースを踏んでいくその気配を背中で感じる。

 稲妻のように過ぎ去って行った時間。天神商業の五番、六番打者に立て続けに長打を浴びた。いずれもボール球を見極められ、ストライクゾーンに来た球を痛打――左中間を、右中間を真っ二つにされたものだ。

 痛打されたボールは決して簡単なものではない。現に、二巡目まではそれで抑えることが出来ていたのだ。しかし、それがもはや誰にも通用しない。その事実が失点となり、ボディーブローのように豊にダメージを与えた。それでも豊はどうにかサインを出し、梓に投球させた。

「……!」

 刹那、またしても快音がグラウンドに鳴り響く。七番打者の打球が梓の脇を通過していく。豊は思わず目をつぶる。

 外野へ抜ける。また一点が追加される――。

 しかしその直後、獣のようにボールに襲いかかる影が現れた。その正体たる捺は、恐ろしい力を持つ打球をあっさりと受け止め、そのまま流れるように一塁へ転送する。華凛がそれをしっかりと捕球し、ようやく三つ目のアウトが成立した。

「……助かったっす」

 軽い足取りでベンチへ引き上げる捺を遠目に見て、豊は知らず感謝の言葉を呟いていた。


 一挙四点を失ったという現実は香椎東に重くのしかかった。続く五回、六回と、反撃に意気込む香椎東打線はあえなく抑え込まれてしまう。

 一方、六回、七回と続く天神商業の攻撃を香椎東はどうにか切り抜けたものの、主力打者に対しては勝負を避け、凡退はいずれも芯で捉えられた当たりが野手の正面を突く、というものだった。

 重苦しい空気のまま、七回裏、香椎東の攻撃を迎える。

 この回先頭となる慧は溜め息をついた。相変わらず、手足が震えて話にならない。それでも打席に立たねばならない。この状況は慧にとって、憂鬱以外の何物でもなかった。

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