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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す! 第一部 続き分  作者: Zassouyorifumetsu
第9章 天魔躍動す、北海を巡る謀略
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第127話 リゾート開発区画

同行を申し出た私達に、

苦い顔を浮かべながら足平さんは許可を出した。


本来なら如月さんの判断を仰ぐところだが、

当の隊長は私達への指揮権が無いと断言している。


こうなると実際に隊員たちを率いる足平さんの現場判断になる。


詳細を知らない彼らにとって、

素人に見える私達は足手纏いになる可能性がある。


いくらこの調査隊の隊長が認めていても、

現場指揮官としては私達、

そして、部下である隊員たちの安全を考える必要がある。


しかし、足平さんは私達のような人材に少なからず縁があるようだ。


また、どうやらアテナさんが見せた実力とやらが効いているらしい。


何をしたのかは知らないが、

それが私達に対する印象に影響しているようだ。


神奈川や道内本部から出たときは、

柱葉さん達ほどではないが、私達にも疑いの目が向けられていた。


一般人が何の役に立つのか?と。


だが、今は少し違う目が私達に向けられている。


それは私達が少なからず役に立つと考えを改めた証だ。


だがらこそ、危険が予想されるエリアへの同行を許可したのだろう。



漁港市場前に集められた私達は島の内部、

リゾート開発が進む現場へ行く隊員と、

この拠点の防衛を担当する隊員に分けられた。


如月さんは引き続き、船に残り、

木内さん達は設置した通信機器の調整をすることに。


足平さんと5名の隊員さん、そして私達は集落へと進出。


そのまま、豪華な家屋が並ぶ別荘エリアと思われる場所を進む。


足平さんとしては、安全の確認のため、

家屋のクリアリングもしたかったようだが、アテナさんがそれを止めた。


「この辺りに私達以外の人はいないぞ。

 時間が無いから、先へ進むべきだ。」


彼女の強い主張に、彼は島の奥へと進むことを部下に指示した。


本当にアテナさんは何をしたのか?


疑問が募るが、先に進むことを優先する私達。


ただ足平さんは状況確認のためと、家屋の一つに立ち寄った。


「はあ、なるほどな。

 この家、ちゃんと施錠されている。

 あと、どうやらこの島では電気自動車が使われているようだ。」


ほらっ、と私達に示した先には何かの設備があった。


「これは充電用の設備だ。

 ここが駐車スペースだとすると、

 それほど大きくはない車を利用している感じだな。」


彼の言うように、家屋の前にはちょっとしたスペースがある。


そこには雨などを避けるための屋根があり、

どうやら、ルーフ車庫のようだ。


家屋の内部を見ようとしたが、

カーテンが閉められていて様子は分からない。


「そんでもって、周りの家屋も見てみろ。

 屋根に薄型のソーラーパネルが設置されてる。

 一応道路沿いには電線のようなケーブルが張り巡らされてるが。

 基本的な電源としては一戸一戸で自給自足するようになってるのかもな。」


「まあ今分かるのは、結構な都市計画が立てられた上での開発だということだ。」


そんなことを言って、彼は私達を先導して管理の行き届いた舗装道路を進む。


大型車向きではないが、小型の電気自動車なら十分すれ違いも出来る道。


この区域に進出前の島民への聞き取りで分かったことは、

島の土地関連でいくつかの事案が発生していたという事実。


それは紙絵法教が関わっていると思われる地上げだ。


当初、島民は100人前後ということだったが、

今避難した人を数えれば60人ほどと減っている。


島は過疎化の波を受け、人口は減少し空いた土地も多くあった。


しかし、それでもなお、

これだけのリゾート開発には周辺住民の存在は邪魔だったらしい。


執拗な土地の明け渡し要求や嫌がらせを島民の皆が受けていた。


頻繁に道警の駐在所へ苦情が寄せられたが、

警察の動きは鈍かった。


駐在員の警察官は島民の顔見知りで、

苦情に対して幾度となく対応しようとしたらしいが、

島へ出入りする業者には得体の知れない人員が混じっていた。


その駐在員は一人では対処できず、

何度となく道内へ応援要請を送っていたらしい。


しかし、応援が来ることはなかった。


島の生活に不穏な空気が流れ込む。


複数の建設業者が島を出入りし、

まずは紙絵法教の持つ地域の整備が始まった。


紙絵法教は島の奥の山間部と

隣接する裾野にある土地に、ちょっとした宗教施設を持っていた。


最初はその部分の開発を進めたらしい。


その後も土地買収は続き、

平穏な暮らしを求めた人は島を去って行った。


今ある別荘区域は島を去った人たちの家を撤去して、

新たに作られたそうだ。


別荘地区を抜けると、少し大きな幹線道路に入った。


過疎化した島では想像できない光景が目に入る。


一応、この道の端を避難所のお寺に行くときに通ったはずだが、

ここまでのモノとは思っていなかった。


これは漁港からは確認できるわけがない。


というか、確認されては困るから、

古い家とかを漁港側に残しているのだろう。


漁港から島の奥側に入る道路だが、漁港側に近いヘリポートに繋がり、

更に奥には物資を保管するためなのか倉庫が立ち並んでいる。


全体的に高い建物はないのだが、

島の電力を賄うためのソーラー発電所があり、山側には何かの塔がある。


足平さんが双眼鏡で確認すると、通信設備のようだ。


彼がアテナさんに顔を向けると、


「まだこの辺りには人はいないぞ。

 ただ、何かの力をこの道の先、島の奥、恐らく地下から感じる。

 さっきからこの場を不安定にしている何かは恐らくそれだろう。


彼女のその言葉に、足平さんは再び前進することを選んだ。


一応、船との通信も試みたが、まだ繋がる気配はない。


道なりに進む私達、途中で倉庫の方へ分岐しているが、

この比較的大きな道路をひたすら進む。


すると、舗装された道路の先が地下と思われる場所へと、

潜り込んでいることが分かった。


その道を見て、


「おかしいな?

 山側の建設は途中なのに、地下に施設を伸ばしたのか?」


足平さんの言葉に反応したのか、それまで無言だった天明さんも口を開く。


「この事態で避難したのでしょうかぁ?

 建設に携わっていた人達がいません。

 別荘は完成して、発電施設も揃っています。

 通信用の塔もありますが、

 他にも山側には施設を建てる予定があったみたいなのに、

 工事が中断しているようです。」


その発言に、


「そうだよな。

 確かに山の中だから、建設には人手がかかる。

 だが、見たところ建物の2、3階部分は出来ているところもあるし、

 スポーツ施設かゴルフ場か、

 分からんがそんな場所も中途半端に放置されている。

 本来ならお客さんをもてなす施設だし、

 基礎工事から何から終わってるみたいなのに、

 建設自体が大分前から放置されてるみたいだ。」


と足平さんも言い出した。


その言葉に、山側の建物を観察してみると、

確かに建設途中に見えるのに、足場である鉄管が崩れていたり、

建設時に使われていたと思われるネットが引きはがされ、宙になびいている。


見た限りでは、建設自体が途中で止められたようだ。


そして、足平さんの言葉が続く。


「山の開発は中止されたのに、こっちの施設は完成したってか?

 そんでもって、こんな道路を引き込んでいる割には上に大きな施設はない。

 リゾート開発で山やらに観光用のホテルを建てるのは普通だが、

 どうやらここは、大きな地下施設を作ったらしいな。

 建設途中の山側だが、あの山そんなに高くない。

 作業するにもあそこまで作ったなら、そう手間はかからんはずだ。

 少なくとも新たにかどうかはしらんが、

 地下をそれなりの規模で掘削するよりは資金も労力もかからんだろう。」


「ああ、くそ!

 嫌な予感がする、

 まったく関場の回してくる仕事は碌なのが無いな!」


そう言って、隊員を見回し、


「ここからは警戒を怠るな。

 銃器の使用はまだ無しだ。

 お客さんがいるかもだしな。」


そう指示すると、今度は私達に向かって


「あと、あんたらは俺の後ろに。

 いくらあんたらでもトラップまでは感知できないだろう?」


と言ってきた。


確かにそれはそうかも。


私達が足平さんの後ろに付くと、


「総員、展開!

 これより現場へ突入する!

 気を引き締めろ!」


そんな掛け声を皆に放った。


足平さんと隊員の人達の雰囲気が変わり、

辺りに緊張感が張り詰める。


はあ、地下かあ、、


一体何があるんだ?

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