カンナ食堂
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「ちわ〜す!」
「こんにちわぁ〜」
「納品にきました〜」
「ーーは〜い!ちょっと待ってて〜!」
今日は野菜の納品日。記念すべき第一回目だ。
ここは、王都にある食事処「カンナ食堂」。
先週、総出でアポイント無しで飛び込み営業したんだ。
玉蜀黍と蕃茄と人蔘は、花丸もらったんだけど、案の定馬鈴薯は…。
だからキッチンを借りて、目の前でポテトとポテトチップスを披露したよ。
料理長ったら、口に入れた瞬間、目をカッと見開いて貪り食い始めて。
その姿を見るやいなや、奥さんと子供二人も加わって、奪い合いが始まり大騒ぎ。
取られまいとほっぺに詰め込んでたけど、人間に頬袋はないよ?
このお店は、ギルド併設だから売買が安心なんだ!
レシピも買い取ってくれるから、悩むことなく売ったよ!
ポテトとポテトチップスは、ジュースでもお酒でも相性バッチリ!爆売れすること間違いないもんね!
「あーしんど!疲れたー!」
「帰りもあるのに無理しすぎよ!」
ジンは、徒歩1時間あまりの距離を、おんぼろのリアカーを引いて走り、半分もの時間を巻いた。
リアカーに、ベル姉と私とクロを乗せて風を切るように走るジン兄の姿、かっこよかった〜!(ただし本人には言わない)
「今日さ、リアカー浮かせてみたけど、どうだった?揺れなかったか?」
「ほとんど揺れなかったわ!お尻がまったく痛くないもの。カンナさん来るまであっちの日陰で休みましょう?」
「そうだな。魔力回復させないとな。」
わたしは気の効く幼児。
さっとクロを抱き上げて、気配を消し、その場を離れる。
孤児院じゃみんなの目があってイチャイチャできないから、ここでラブラブの時間を作ってあげるのだ。
裏口の扉を一瞥すると、顔だけを出す人影が。
「んもー!じれったいわね!」
「奥手にもほどあるぞ!」
「「空気が甘酸っぱい!」」
「あ!あんた達!なに関係ないみたいな顔してんの!早くあたしに孫を抱かせな!」
「ま、孫はまだ早くないか?!父さん寂しい…。」
「「あと10年は無理ね」」
「10年?!バカ言ってないでーー」
「ねぇ!おやさい、どこにおいたらいい〜?」
ぎょっと目を剥く4人。
気配を消しすぎたようだ。
「あら〜!ミアちゃんも来てたのね!今日も可愛いわ〜!」
再会のハグかと思ったら、ぎゅーっと抱きしめられふがふがと匂いをかがれる。
抜け出そうとするも、恰幅のいいカンナさんの胸の谷間にすっぽりと体が埋まって、身動きが取れない。
「「次!次、わたしね!」」
「……。俺は最後でいいぞー。」
マスターは天を仰ぎ、クロのお腹を顔に乗せて、猫吸いを堪能している。
傍から見たら、筋肉隆々の強面が猫をお腹から食べているよう…。
『ミア、俺を見習え。こうゆうときは、チベットスナギツネの顔をするんだ。』
『なるほど!……こう?』
『もっとだ!もっと悟りを開け!感情の全てを放棄するんだ!』
はい!みんなそこまで!と、ジンが制止するまで、それは続いたのだった。
料理長とカンナさんの子どもは、双子です。
なので、会話が重なってます。
出番ありますよ!お楽しみに!




