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神様と作ろう新世界 〜ケモミミ世界で純愛ラブコメ異世界リアルサバイバル〜  作者: 河合 翔太
第1章 改訂前作品(改訂終わったら消します)
55/244

第54話 小麦畑と新しい仲間、そして帰路に着く

【異世界生活 27日目 8:00】


 朝食に昨日倒したイノシシ肉焼いて食べ、早々に帰路に着く俺達。

 まあ、途中、麦畑とトウモロコシ畑に寄り道して帰る感じだが。


「小麦もトウモロコシも季節的に夏収穫だからまだちょっと早いかな?」

琉生るうが歩きながら呟く。


「まあ、今日は、場所の確認と状況の確認だな。夏になったら収穫にこよう」

俺は琉生るうにそう答える。


 とりあえず、サトウキビ畑から東にあるようなので臨時拠点から東に歩く。



「これは、渡れないな」

「そうだね」

俺の呟きに明日乃あすのが答える。


 東に15分ほど歩くと川にぶつかる。いつも魚や飲み水を手に入れていた川の下流だろう。


 見た感じ明らかに広くて深そうだ。

 そして、対岸には以前、見たことのある物があった。


「そこにも白い橋があるのか」

一角いずみがそう言う。


「あれは第六の島に続く橋ですね。一番強い魔物がいるので最後に渡ることになると思います。闇の精霊が橋を守っております」

秘書子さんがそう教えてくれる。


「キーーーン」

突然、耳鳴りのようなものがする。

 俺がみんなの顔を振り向くと、一角いずみ琉生るうが不思議そうな顔をする。

 そして、明日乃あすのだけ目が合い、深刻そうな顔をする。


「呼ばれてるよね?」

明日乃あすのが俺にそう言う。


「そうなのか? 確かにそんな気がするが」

俺は明日乃あすのの言葉に違和感がありつつも納得する自分もいる。


「闇の精霊に呼ばれている、気がするの」

明日乃あすのがそう言って、その場に荷物を置くと、服を脱ぎ、靴を脱ぎ、水着兼下着のビキニ姿になって川に入っていく。


明日乃あすの!!」

俺はそう叫び明日乃あすのの後を追う。

 荷物を置き、靴を脱ぎ、一角いずみ琉生るうに待っていてもらう様にお願いし川に入る。

 服はそのままだ。服が濡れてしまうが仕方ない。俺は水着を持っていないし、ハダカになるわけにもいかないしな。


 途中までは足がつくので歩くが、途中から足がつかなくなり泳ぎだす俺と明日乃あすの

 川の流れはそこまで強くないので、流されつつもなんとか対岸につく。


明日乃あすの、大丈夫か? どうしたんだ?」

俺は明日乃あすのに近づくとそう問いただす。

 それと同時にまた、さっきの耳鳴りがする。


「闇の精霊が呼んでるよ」

明日乃あすのはうわ言のようにそう言い橋に向かって歩く。

 明日乃あすのの信仰心が高すぎるせいか? スキルの効果かわからないが精霊の言葉が聞こえるのか? 

 俺には耳鳴りにしか聞こえない何かが明日乃あすのには言葉に聞こえるのだろうか?

 確かに橋の方から聞こえる気がするし、呼んでいるような気もするが。


 そしてそのまま対岸、川の三角州のような小島を歩くと、白い橋。神様が作ったと言われる、魔物の住む島とつながる橋が見えてくる。

 橋の手前に立つと、明日乃あすのの足が止まる。

 そして、目の前に異様な気配がし、その気配が一か所に集まり、黒い闇が出来上がる。

 見かけは異様だが、別に悪い存在のような気はしない。逆に俺にとってはなぜか親近感のようなものまで感じる。


「キーーーーン、キーーーーーン」

また大きな耳鳴りがする。


「りゅう君、闇の精霊さんがマナを捧げよ、って言ってるよ。私のレベル下がっちゃうけど、いいかな?」

明日乃あすのが俺の方を振り向きそう言う。


「どういうことだ? というか、ダメだ、明日乃あすののレベルが下がったら結界魔法が使えなくなる。必要ならば俺がマナをくれてやる。その前に説明をしてくれ」

俺は明日乃あすのに少し怒鳴るようにそう言ってしまう。


「キーーーーン、キーーーーーン」

大きな耳鳴りが何度か続く。


「闇の眷属、レオが不自然な存在の仕方をしているから正したいんだって。でもそれは私が嫌だっていったら、別の方法を考えてくれたの。レオが消えずに正しい存在に戻る方法を」

明日乃あすのがそう言って橋の上に浮かぶ闇の塊。闇の精霊の方を向く。

 

「だめだ、明日乃あすののレベルが下がるくらいなら俺のマナを使え」

俺は慌てて明日乃あすのと闇の精霊に向かってそう言う。


「じゃあ、半分こだね」

明日乃あすのはそう笑って、精霊に祈りをささげる。


 それと同時に俺の持っていた変幻自在の武器、神から借りたダンジョン攻略の景品と呼ばれる武器が光り出す。

 そして、レオが生まれた時のように、光が一点に集まり強く光ると、徐々に光が弱くなっていき、光が収まるとレオのような2足歩行の動物が立っていた。レオより少し小さめな80センチくらいの獣人だ。


 俺は慌てて、明日乃あすののステータスを見ると、レベルは11のまま。ただし、経験値として貯まっていた320ほどのマナが無くなり、俺も同じように経験値が320ほど減り、足りない分はレベルが11に下がり経験値がマイナスされる。


「ふう、なんとか、明日乃あすののレベルは下がらなかったな」

俺はそう安堵し、大きく息を吐く。


「りゅう君、なんか、ごめんね、勝手なことしちゃって」

明日乃あすのが俺に謝る。


「いいよ。レオが消えそうだったんだろ? 明日乃あすのが悲しむくらいだったら俺のレベルがいくら下がったって問題ない」

俺は明日乃あすのに笑いかける。


 そして、思い出したように二人は、現れた新しい眷属に注目する。

 真っ白なウサギだ。あの有名な女児の玩具をそのまま80センチくらいの大きさにしたような2足歩行のウサギだ。しかもこいつら定番なのかちゃんと服を着ている。なんか中世の村娘っぽい、スカート姿だ。


「初めまして、ご主人さま。あ、でも二人のマナで私を作ってくれたし、パパとママかな? 明日乃あすのママの魂を借りて、流司りゅうじパパのマナを貰って生まれたからパパとママってよんでいい?」

その白いウサギがそう言い笑う。なんか明日乃あすのにしぐさが似ているが、ちょっとレオっぽい憎らしさも混ざっている。

 俺はそんな違和感から言葉を失うが。


「うわ~、可愛い。しかもふわふわのモフモフだよ。肉球もぷにぷにだよ」

明日乃あすのが興奮してその兎を触りまくり、抱きしめまくる。


「痛いよ。明日乃あすのママ」

うさぎが少し困惑して逃げようとする。


「そうだよ、私がママだよ。りゅう君と私の子供。りゅう君もそれでいいよね?」

明日乃あすのが嬉しそうにウサギを抱きしめてそう言う。


「まあ、おままごとみたいなものかな? いいんじゃないか?」

俺は少しドン引きしてそう言う。さすがにウサギは生まれないだろ?


 そして、変幻自在の武器を見ると、今まで真っ白だった筒が白と黒のマーブル模様、大理石のような柄になっている。


「光の属性を持った剣でしたが、光と闇の属性を共有した剣となったようですね」

秘書子さんがそう言う。


「それって問題あるんじゃないか?」

俺は気になって秘書子さんに聞き返すと、


「今のところ問題はありません。ただし、貸与期間1年が闇の剣にもかかるようになりましたので、1年以内にすべての魔物の島に渡り、すべてのダンジョンを攻略しレベルを上げ、最後に最難関といわれる闇の精霊のダンジョンを攻略する必要がでました。1年以内に攻略できなかった場合、その武器は返却、闇の眷属はもちろん、光の眷属も消滅します」

秘書子さんがしれっとそんなことを言う。


明日乃あすの、マズいぞ。今回の件で、闇のダンジョンも1年以内に攻略しなくちゃいけなくなった。全部のダンジョンを攻略してレベルを上げて、最難関の闇のダンジョンを最後に攻略しなくちゃいけないらしい。そうしないとレオもそのウサギも消えるぞ」

俺はあわてて、ウサギをモフモフしている明日乃あすのにそう言う。


「そうなの? それじゃあ、頑張らないといけないね」

明日乃あすのがケロッとした顔でそう言う。

 

「分かっているのか? 最難関のダンジョンだぞ? 1年だぞ」

俺はもう一度聞く。


「分かってるよ。やらなきゃ、この子が消えちゃうんでしょ? 全力でやるしかないよね?」

明日乃あすのはやるのが当たり前のようにそう言う。


 俺は明日乃あすののその顔を見て、笑うしかなかった。確かにやるしかないもんな。二人が消えて明日乃あすのが悲しむんだったら俺もやるしかない。


「それじゃあ、みんなも待ってるし、帰ろうか?」

明日乃あすのはそう言って、ウサギの手を引き、一角いずみ琉生るうの待つ対岸に向かって歩く。

 白い橋は気になりはしたが、最強の魔物の島とか聞くと近づくのも嫌だしな。少なくとも今のレベルでは。


「というか、そのウサギ、名前は付けなくていいのか?」

俺はそう聞く。


「え? 名前はもう決めてるよ。真っ白いから、シロちゃん。可愛い名前でしょ?」

明日乃あすのは当たり前のことを言う様にそう答える。

 明日乃あすのはたまにこういうところがあるんだよな。ちょっと自分の世界に入っちゃうみたいな? まあ、俺は慣れっこだが。


「お前はそれでいいのか? 名前はシロで?」

俺はそうウサギに聞く。


「うん、いいよ。ママがつけてくれた名前だもん。それと、これからよろしくね。流司りゅうじパパ!」

シロはそう言って空いた手で俺の手もつなぐ。


「ふふっ、なんかほんとの親子みたいでいいね」

明日乃あすのが笑う。

 俺はこのよく分からない空気に流されるしかなかった。



 シロを背中に乗せて川を渡り、一角いずみ琉生るうと合流する。シロは泳げるらしいが服が濡れるのが嫌だそうだ。 


「なんだ、それ?」

一角いずみがシロを指さして俺に聞く。


「シロだ。まあ、レオみたいなもんだ」

俺は簡潔にそう答える。


「うわー、なんか可愛い。ふわふわで真っ白だね」

琉生るうがシロをみて嬉しそうにそう言う。


「ちなみに食べるなよ。ウサギくらいなら食べそうだしな。琉生るうは」

オラは琉生るうをそう冷やかす。


「さすがに食べないよ。普通のウサギじゃないんだから」

琉生るうがそう言ってちょっと怒る。

 普通のウサギは食べる気なんだな。こいつは。まあ、腹が減ったら俺も食べるかもしれないが。あくまでも普通のウサギならだ。


 シロも少し怯えて明日乃あすのの陰に隠れる。シロにとって琉生るうは危険人物と認定されたようだ。


「ああ、それと、シロが俺の事をパパ、明日乃あすのの事をママと呼ぶがおままごとだと思ってスルーしてやってくれ」

俺は一角いずみ琉生るうにそう説明する。


「ひどいよパパ」

「そうだよ、ひどいパパだね、シロちゃん」

シロと明日乃あすのがそう声を合わせる。


流司りゅうじ、ちゃんと認知してやれよ」

一角いずみが笑いをこらえながらそう言う。

 琉生るうもあきれ顔で俺を見る。


 そんな感じで、シロという仲間が増えて、ダンジョン攻略がさらに厳しい物となった。



【異世界生活 27日目 9:30】


 とりあえず、俺はびしょ濡れのまま、置いていった荷物を背負い、川を歩いて渡れるところまで南に向かって川沿いに歩く。

 歩きながら、シロの説明と、1年以内に全部のダンジョンを攻略しなくてはならなくなったことを説明する。


「そういえば、1年って365日でいいのか?」

一角いずみが素朴な疑問をもらす。


「この世界の1年は360日で1か月が30日、12カ月で1年となります」

秘書子さんがそう言う。


「1か月30日で、12カ月で1年、360日だってさ」

俺はみんなにそう説明する。


「なんか適当な数字だな」

一角いずみがそう呆れる。


「神が面倒臭がってそうしました。ちなみにうるう年などもありません」

秘書子さんがそう付け足す。

 本当に適当だなこの世界の神様は。


「ちなみに、今って何月なんだろ?」

明日乃あすのが不思議そうにそう言う。


「秘書子さんの話だと、今日は4月27日だ。俺と明日乃あすのがこの世界に降臨したのが4月1日らしい」

俺は秘書子さんの答えをそのまま伝える。


「なんか適当だな」

一角いずみがもう一度呆れる。


「ああ、本当にな」

俺も呆れる。


 そんな感じで雑談をしながら川岸を上り、三角州ができる分岐点を越え、さらに進むと歩いて渡れそうな石だらけの河原になる。というか、ほぼ、いつもの竹林のあたりまで歩いてきた。


 最初に来た時のように川を歩いて渡り、対岸に着く。

 とりあえず、飲み水を汲んでから、今度は北に川を下り始める。小麦畑はこの川を挟んでサトウキビ畑の反対あたりにあるらしいからな。



【異世界生活 27日目 12:00】


「あれがそうかな?」

琉生るうがそう言い、川沿いに北に1時間半ほど歩くと確かに目の前に緑色の草原とはちょっと違った雰囲気の小麦畑が見えてくる。


「結構広いな。そしてまだ、緑色って事は食べられないって事か?」

一角いずみがそれを見てそう感想を漏らす。


「だね。もう少し成長して茶色くなるまで待たないとダメかな?」

琉生るうはそう言って少し歩くスピードが上がる。かなり楽しみだったらしい。



「すごいよ、小麦以外にも野菜があるよ」

琉生るうがそう言って小麦畑の手前の草原で足を止める。

 確かによく見ると、雑草の間になんか見たことあるような葉っぱや茎が見える。


「りゅう君、キュウリだよ。キュウリがある。トマトもあるよ」

明日乃あすのも興奮して野菜の生えた草原に飛び込む。トマトはまだ青いな。


「これはナスっぽいが、まだ時期じゃないみたいだな。一角いずみがそう言って足元にある野菜の苗っぽいものを見ている。   


「虫に食べられてるけど、キャベツもあるよ。虫に食べられてないところを洗ったら食べられるかな?」

琉生るうが自生の野菜を見て興奮している。


「人参も育ったものを選べば食べられるかな?」

明日乃あすのも必死に野菜を選別している。


 そして、シロはニンジンを掘ると泥を落としてを食いだしている。やっぱりこいつは半分ウサギなのか。


琉生るう明日乃あすの、今日は茶葉や猪肉、荷物が沢山あるからほどほどにな。拠点に荷物を置いたらまた採りにくればいいだろ?」

俺はそう言って増えそうな荷物を抑制する。さすがにこれ以上持てないしな。


 なんか、琉生るう明日乃あすのが相談を始める。何を持ち帰るか検討しているようだ。


一角いずみはあんまり興味ないのか?」

俺は気になって一角いずみに聞く。


「ああ、嫌いではないが、別になければないで困らない感じだな」

一角いずみはそう答える。こいつは将来太る。俺にはわかる。


一角いずみ、歳をとっても運動だけは続けろよな」

俺は同情するようにそう言う。

一角いずみは小麦と米と肉は好き。そして調味料にうるさい。ちょっと将来が心配になったからな。


「何が言いたい?」

一角いずみににらまれる。


 俺は誤魔化すように、野菜を見て回る。

 確かに数は多くないが色々な種類の野菜が生えている。


「よし、流司りゅうじお兄ちゃん、今日持ち帰る野菜はこれにしたよ」

琉生るうがそう言って野菜を一抱え持ってくる。


 とりあえず、明日乃あすのと相談してキュウリとレタス、キャベツとニンジンも持ち帰るらしい。

 なんかすごい荷物が増えた。

 俺が、マントにくるんだ大量の茶葉と土器に入ったイノシシの肉、明日乃あすの一角いずみが土器と茶葉、そして、オオカミやイノシシの毛皮も。今採った野菜を琉生るうのマントにくるんで琉生るうが持つ。予備の槍はシロが持つことになった。

 明日乃あすのがちょっと体力的に心配だな。


 そんな大荷物で、さらに北に進み小麦畑に到着。

 とりあえず、荷物を置き、俺と一角いずみが荷物番、琉生るうが小麦の生育状況などを調べている。明日乃あすのも相談役として琉生るうと話をしている。

 

「もう少しだね。なんか発育もばらばらだし、雑草も多いし、虫もついているけど、自然に生えているものだから仕方ないね。様子見ながら食べられそうな小麦を収穫する感じかな?」

琉生るうが満足したようにそう言って畑から出てくる。


「生活が落ち着いたら本格的に農業とかもやりたいよね」

そして琉生るうがそう付け足す。


「来年にはそうなるといいんだけどな」

俺はそう言って笑う。まあ、シロの件もあるから、1年で何とかしないといけないんだけどな。


 そんな感じで、小麦畑の確認は終了。来月くらいにもう一度見に来る感じで落ち着く。

 

 すでにお昼の時間だが、さっきの綺麗な水が汲める場所まで戻って昼食にすることにした。

 


【異世界生活 27日目 14:00】


 いつも竹をとったり、飲み水を汲んだりしている河原まで戻ってきた俺達。

 たき火をして昼食にする。

 明日乃あすの琉生るうとシロは野菜を川で洗っている。

 一角いずみはまた魚を獲っている。麗美れいみさんや真望まもすずさんへのお土産にするらしい。

 いやいや、荷物は増やすなよ、一角いずみ

 俺は、イノシシ肉の脂身の多い部分を切り出し、串に刺して焼く係だ。


 そして、昼食が出来上がる。ちょっと豪勢にサラダ付きだ。


「なんか久しぶりの野菜らしい野菜だな」

俺は久しぶりに見るキュウリとレタスに感動する。


「マヨネーズがあれば最高なんだが」

塩味だけのサラダに一角いずみが少し残念そうな顔をする


「マヨネーズはちょっと難しいかな? 塩にお酢に卵に油、あとコショウも欲しいね」

明日乃あすのがそう言って笑う。


「塩味でもこのキュウリは感動ものだぞ。懐かしすぎる」

俺はフォローするようにそう褒める。


「そうだね、懐かしすぎる味だよ」

琉生るうが味わう様にキュウリやレタスを食べる。

 

 シロも美味しそうに野菜を食べている。


「そういえば、シロって肉食べられるのか?」

俺は野菜ばかり食べるシロが気になって聞いてみる。レオは逆に野菜嫌いだもんな。


「ん? 食べられるけど、好きじゃないかな? 肉食べるくらいならそこら辺の草でも食べた方がましかも?」

うーん、こいつは予想以上にウサギだ。


「だめだよ、シロちゃん。ちゃんと料理したもの食べないと。なるべく、みんなと同じもの食べようね。ママが山菜とか人もシロちゃんも食べられそうなもの採ってきてあげるから、ね?」

明日乃あすのがそう言ってフォローする。


「うん、明日乃あすのママ。ママの料理楽しみにしてるね」

シロが嬉しそうにそう言う。

 俺だけ、おままごとのノリについていけてない感? 草を食べたり野菜を丸かじりしたりする娘はちょっと違うだろ感が捨てられない。

 まあ、娘といっても、半分精霊の眷属には性別がないらしいけどな。オスっぽいレオとメスっぽいシロ?


「シロちゃんもレオ君みたいに戦えるなら定期的に野菜を取りに行く? 明日乃あすのお姉ちゃんと私と一緒に?」

琉生るうがそう言う。

 琉生るうは農業メンバーを増やしたいようだ。必死に勧誘している。


 まあ、ウサギっぽいし、ニンジンを大量に採り貯めておくか? お約束っぽく。



「そういえば、時間が厳しいんだが、どうする? トウモロコシ畑まで見に行ったら丘の手前で野宿することになりそうなんだが」

俺は遅い昼食をとりながら話題を変えるように、思い出したようにそう相談話を始める。


「そうだね、今からまっすぐ急いで丘を越えて拠点に帰るとしてもギリギリ暗くなるころだろうね」

明日乃あすのがステータスウインドウの時計を見ながらそう言う。


「来るときのクマの件もあるし、あまり丘の手前とかで野宿とかはしたくないよね」

琉生るうが来るときに襲われたクマを思い出す。


「今、クマ狩ったとしても、もう肉も毛皮も持てないしな」

一角いずみがピントのズレた事を言い、みんなが呆れるように笑う。

 というか、お前、さっき魚獲って荷物増やしたばかりだろ?


「じゃあ、トウモロコシ畑は一度拠点に帰ってからかな?」

琉生るうが少し残念そうな顔でそう答える。

 そしてみんなも頷く。


 昼食を終え、急いで南の拠点への帰路に着く。明日乃あすののリュックをシロが持って丘の坂道を越える。

 シロは俺のマナも混ざっているせいか明日乃あすのに比べると体力はあるようだ。明日乃あすのと俺のステータスを足して2で割ってさらに半分にした感じだ。


 秘書子さん曰く、シロを召喚するときにマナが足りなかったみたいで、普通の眷属が主の7割のステータスに対し、シロは5割。ただし、今後、俺と明日乃あすのが経験値を分け与えることで7割まで成長するらしい。


 まあシロもレオに似て、明日乃あすのに健気に尽くす感じが好感は持てるな。それにシロはレオと違って俺に反抗的じゃないしな。

 俺はシロを観察しながらそんなことを考え、坂道を登っていく。

 

 途中、明日乃あすのが辛そうだったので、丘の頂上で少しだけ休憩して、先を急ぐ。


 丘を下りる頃には日が暮れてしまい暗くなったので明日乃あすのに光魔法をお願いする。


 そんな感じで、トウモロコシ畑は見に行くことができなかったが、無事砂糖を作ることもでき、おまけで茶葉も入手、イノシシ肉や野菜も手に入れることができ、大収穫の探索となった。


 そして、予定外の仲間、シロも加わり、さらに行動の選択肢が増えた気がする。そして、魔物退治のタイムリミットもできてしまった。


 次話に続く。

 昨日は仕事が多忙の為、更新できませんでした。申し訳ありません。

 今週はちょっと忙しくなりそうで更新できない日があるかもしれません。

 事前にお詫びさせていただきます。

 更新をお待ちいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最初まだ7人目が召喚されていなかったっけ!?とタイトルを見て焦りましたが、可愛い眷属の事だったのですね。自分の記憶力がおかしくなったのかと思ったので安心しました。(そういえばレオも眷属だった…
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