9.悪夢の行進 Ⅱ
「必殺技考えました」
「次はなんだ……」
「約束された――」
「却下」
▽????▽
遊ぶと言った手前、すぐに終わらせてしまうのは可哀想だと思い、しばらく相手をすることにしました。まぁ、そんな余計な余計なことをしたのが裏目に出て、大きな一撃を貰ったのですが……
抑えても腹から熱い鮮血が溢れだす。
「ふふっ、たまには悪くありませんね……」
狼男が再び攻撃を仕掛けてくる。私はそれを受け止め、いつも通り、切り払う。
「今宵はここまでにしましょう」
狼男が霧散し、また静けさだけが残る。
私が化物退治なんて……
「惚れでもしましたかね……」
あるいは――
△ △
▽ケイ▽
今度はそう上手く割り込める訳でも無く、狼男の鋭い一撃を、ただ見つめる事しか出来ない。もっと自分に力があれば……
狼男が彼女に触れようとしたその時、何故かその動きが一瞬だけ止まる。その一瞬は彼女にとっては十分過ぎた。
「……ッ!!」
攻撃を躱すと立場は逆転。無防備な狼男の背中に居合斬りを放つ。狼男は腰のあたりから分かれて落ちる。
しかし、彼女はそれだけでは止まらなかった。落ちた足を掴むと、それを狼男の上半身に叩きつけ、刀で二つを地面に縫い付ける。そして、次々に武器を作り出しては突き刺していく。
滅多刺しにされた狼男の体は血が出ることはなく、代わりに存在そのものが薄れていく。やがて完全に消滅し、地面に突き刺さった数々の凶器と膝から崩れ落ちる少女だけが残った。
「ハ、アハハ……私、ワタシ……あぁ」
「ラーラット!!」
急いで駆け寄る。
「ケイ……」
「大丈夫?」
「アハハ、ワタシ、はい、大丈夫でス。私。ケイ、ワタシ、あぁ、オカしくなりそうで、フふっ、おニイちゃん。はい、ダイジョうぶでスヨ、ケイ」
どこからどう見ても大丈夫じゃない。テンションもそうだし、片方の瞳の色が深緑から薄い赤に変わっている。コメットさんから預かったアレの出番か。
俺は懐から注射器を取り出し、彼女の首に打ち込む。
「イッ!あぁア、ハハ」
彼女に腕を掴まれ、そのままどんどん締め付けられる。
「ぐっ……」
ここで離したら彼女は戻って来ないかもしれない。そうなるなら腕ぐらい折られても構わない。
打ち終わるのに5秒もかからないはずだが、その5秒がとてつもなく長い。
更に締め付ける力が強くなる。もう骨は粉々に砕けただろう。
だが、注射は打ち終わった。これで何とかなるはず……
「うぅ……ケイ、私……」
「もう大丈夫。早く帰ろう」
「はい。でも、ごめんなさい。お願いします」
気を失ってしまったようだ。仕方ない、頑張っておぶって帰るか……
彼女を背負い、買い物袋を拾って歩き出す。
「卵、割れちゃったな……」
△ △
読者の皆様!読んで頂きありがとうございます!
カワウソです。ラーラットさんにはありとあらゆる設定を詰め込んでいます。強く生きて欲しいですね。
次回は来週!たぶん……




