7.彼女の贖罪 Ⅶ
▽ケイ▽
一階に降りると目の前の広場に特設ステージがあり、大勢のファンが押しかけていた。
「すごい人気だな」
「ここだけでなく、他所でも人気があるそうです」
「へぇ〜」
人だかりの最後列に並ぶと、丁度周りの照明が落ちた。観客が静かになるとステージの中央ににスポットライトが当てられる。そこには一人の少女。拍手喝采が飛び交い、広場の温度が上がる。
アイドルと聞いていたのだが、その衣装はなんと黒のジャージ姿だった。歳は同じくらいだろうか。の肌に赤い瞳、体型は平均的女子、といった感じだ。だが、一番の特徴はあのピンクの長髪。衣装があれなので余計に目立つのだろう。それにしても、いつの間にステージへ上がったのだろうか。
「みんな〜来てくれてありがと〜う。ちょっとだけだけど、リンナ、頑張るからよろしくね!」
彼女はリンナというらしい。ニコニコと観客に向けて手を振っている。普通なら目があってウインクされたりする場面だが実際そんなことはなかった。現実は甘くない。
「じゃあ!みんな!行くよー!」
一曲目が始まった。
「〜〜♪〜〜♪」
「ケイ、少しニヤついてませんか?」
「気のせい」
「いくよぉ!ドレスアーップ!!」
サビに入る直前、掛け声と共に大きく飛んだ彼女は光に包まれる。次の瞬間今日一番の歓声が上がった。
地味なジャージから華やかなピンクの衣装へ、無造作に下ろされていた髪はツインテールに。アイドルよりは魔法少女に見える。
「〜♪〜〜♪」
〜 〜
ミニライブも終わりブラブラと歩く、結局それらしいイベントは起こらなかった。端から期待などしていないが…………いや、ちょっとしてたかも。
「あれは驚いた、魔法少女みたいだったな」
「はい、実際に彼女は魔法少女アイドルとして活動していますよ」
「でも、魔法じゃなくて、あれも超能力だよな」
「どうでしょうか……能力を応用しているだけかも知れませんし、魔法を使えるようになる、という能力かもしれませんよ」
「なんだよそれ」
「それよりもケイ、ずっとニヤニヤしてましたが……ああいうのが好みなんですか?」
なんだか少し不機嫌そうだ、前は声にも顔にも感情が出さなかった事を考えると多少は心を開いてくれたのだろうか。いや、流石にポジティブ過ぎるか……
「聞いてますか?」
「ん?あぁ、ごめん。ちょっと考え事してて」
「またニヤニヤしてましたよ。変態さん」
「エッチな事は考えてないから!」
「では、何を考えてたんですか?」
「……ラーラットが色んな顔を見せてくれて嬉しいなぁ、って」
「え、その……変な顔してませんでしたか?」
「……??いや、全く。どんな顔してても可愛い。特に笑顔が可愛いな」
勢いでサラッと言ってしまったが今のはアウトではないだろうか。顔が超熱い。どうしてこんな事を言ったのだろう。
「か、か……何を言ってるんですか!?そんなこと言っても夕飯のメニューは変わりませんよ!」
そう言って、ぷい、と顔を背けてしまった。顔は見えないが耳が真っ赤なのでアウトではないらしい。
「私……笑えたんですね……」
「何か言った?」
「いえ!何も!さぁ、夕飯の買い物をして帰りましょう!」
〜 〜
買い物中、彼女は一切目を合わせてくれなかった。やっぱりあれはアウトだったのかもしれない。
読者の皆様!毎度ありがとうございます!カワウソです。
まず、遅れたことをお詫びします。これからも間隔が空いてしまうことがあると思いますが、遅くとも週一投稿を目指して頑張ります。
さて、長かったデート(?)もようやく終わりそうです。ここで2章の3分の1かな?ここからはイチャイチャ(?)ばっかりさせませんよ!!




