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RG50E  作者: HARIMA
28/48

㉘ガールズトーク。

「………美葉。

ちょっといい?」


金曜日の夕方。

その日の全科目授業を終え、クラスで美葉が支度をしていると………

いつもは滅多に口を利かない、所謂"一軍女子”のうちの三人が、机へ寄って来た。


その日は、一軍女子のうちの数名が

「合同デート」

だと言って早々に出て行っていた。


「何?」


美葉がキョトンとしていると。

三人の女子のうち一人が、如何にも重い口を開くかのように深刻そうな顔で尋ね出した。


「………美葉って、カレシ出来たんだってね?」


一瞬、美葉の思考は"?”とフリーズしたが…………

ああ、先輩のことか!

と改めて思い出した。

美葉自身にとっての烈貴は、未だ「彼氏」というよりも「大好きな先輩」という方が、シックリとしていたのだった。


「まぁ、彼氏っていうか………先輩だけどね」


少し、照れ笑いになる。


"一軍女子”は、前のめりになって訊く。


「どっちからコクったの?」


「………へ?」


またしても、鳩が豆鉄砲を食らったような顔を見せる美葉。

それに対し、その女子は焦れったそうに質問を浴びせる。


「だ〜か〜ら〜!

美葉がコクったのか、カレシからコクられたのかって、きいてるのッ」


「………う〜ん」


美葉は思った。

人のそんなこと訊いて、どうすんだろ?

てか、そんなの、どっちだって良くない?


通常、こうした他人の恋愛成就エピソードや恋愛破局エピソードというのは、女の子同士で最も興味深く尚且つ盛り上がる話題らしいのであるが。

烈貴と出逢うまで、自分には恋愛になど一切縁も無く他人事に思っていた美葉にとって、何が面白いのか?疑問にすら感じる程であったのだ。


面倒くさくなった美葉は、大まかにだが烈貴とステディになった経緯を"説明”することにした。

美葉自身は、吹奏楽部へ入部してから烈貴の優しさに触れたのがきっかけで、仲良くなれたと語ったつもりであったのたが。

当の三人衆は、夕陽の海岸でのシーンの説明にフォーカスし叫声を上げる。

初キスのことだけは、伏せておいた。


「キャー!」


「エモ過ぎる〜ッ

ガチ羨まし過ぎ!」


「ダッコされてだよ!?

ウチだったら号泣だよ」


確かに、あの時のことは美葉にとっても、最高の烈貴との触れ合いに感じていた。

思い出すだけで、切なささえ覚える。


「ねえ、美葉。

ウチらにカレシの作り方、伝授してくれない?」


「ウチら、実は。

居ない歴そのまんまなんだ………」


なんだかシンミリとする三人を、美葉は意外に思った。

いつも教室で声高に、男子関係の話題で盛り上がっている"一軍”達。

まさか、自分と大して変わらない者まで混じって居るとは………


「私なんかも、男子と仲良くなれるなんて今まで無かったから。

伝授も何も………

いつも一緒の子達の方が、良く知ってるんじゃない?」


すると三人は顔を見合わせ、突然しかめっ面となる。


「あの界隈ではさ、リアの子達の自慢話とかばかり聞かされてるの。

一応ウチらも加わってるけど、たまにマウントして来られて、イラついたりしてるんだ」


「そうそう、ヤレどこどこの"推し男子”が間もなく陥落だだの、フカシかどうかもわかんない武勇伝とかもね。

正直ウンザリ」


美葉は、この子達の味方をしたい気持ちになって来た。

100%では無いが、恋に憧れるという思いも理解出来るような気がした。

自分自身、烈貴との関係で幸せを感じているからだ。


「………そうだね。

私の場合、最初は彼氏を作りたいなんて思っても無かった。

吹奏楽のことで頭いっぱいで………ここの部に入部した時に、たまたまそこで同じパートの男子の先輩と知り合って。

色んなこと、一緒に経験してくうちに、あ、この人良い人だなぁって思ってたら………

思いがけず、私のことも気に入ってもらえてたの」


美葉の話に、真剣な顔で聞き入る三人の女子。


「だから………というわけじゃないんだけど。

まずは自分の夢中になれることとか見つけて、一生懸命やってれば見てくれる人とか一緒にやろう、という人も出て来て。

その中から、恋愛も生まれて来るんじゃないかな?………って。

こんなの参考になんて、ならないと思うけど(笑)」


自嘲気味に笑う美葉に対し、一人が真顔で言う。


「ううん!

深いッ、美葉、深いよ!!」


他の二人も。


「ウンウン、深いよね〜!?」


「ウンウン、目からウロコってやつじゃね?

コレ」


三人の反応に美葉はホッとしながら、少し嬉しく思った。


「ウチらさ〜。

男子にウケるコスメとか、そんなのばっか研究してたけど。

なんか大事なこと、教えてもらった気するよ」


一人が、バッグの中から何か取り出し、美葉の机に差し出す。


「コレ、良かったら。

結構イケるよ」


それは、リンゴ・ピューレ入りのグミの一袋入りだった。


「え?

こんなにいっぱい!」


「いいよ、いつも予備で確保してるんで」


「………ありがとう」


三人も笑顔を見せる。


「………また、ウチらの相談、乗ってね」


美葉は。

ダイエット中止にして正解だったと、烈貴にも感謝したのであった。



続く



〈ガールズトーク・完〉

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