1.異世界転移に巻き込まれる
作品を見つけていただき、ありがとうございます。
ニ十万文字あたりで、主人公の容姿が厨ニ全開となります。
(注)主人公の一人称が途中から僕→俺に変わります。
この世界が大いなる存在の支配から離れ、何十万年の時が経過しただろうか。
それから今までの間、この星では様々な実験がおこなわれ、数多の人類が誕生しては滅んでいった。
最後に残った人類は、様々な高次元の存在による管理のもと繁栄と衰退を繰り返してきたが。今では再び、次のステージに移行する寸前まで文明を発展させるに至っていた。
僕の名前は涼風翔。これといった特徴もない、何処にでもいるような普通の高校二年生である。
ただ一つ他人と違う点があるとすれば、漠然とではあるが様々な前世の記憶を持っているという事だ。
西洋の騎士やアラブの錬金術師。大陸を横断し、莫大な利益を生み出した交易商人。そんな華々しい職業だった事もあるが、その殆どは今世のような一般人で終わる人生だった。
今日も、いつもと変わらない日常は繰り返される。
普段どおりの時間に家を出た僕だったが。この日はどういうわけか電車に乗るタイミングが良かった事で、早めに学校に着いてしまった。
「おはよう」
「おはよう涼風くん! 今日は珍しく早いんだね」
そう挨拶を返してくれたのはクラスの優等生、清川彩花である。
黒髪ストレートロングに抜群のスタイル。顔立ちも非常に整っており、間違いなく学校一の美少女だ。
さっぱりした性格の持ち主で、僕みたいなモブキャラにも気さくに話しかけてくれる。
そんな彼女は男女問わず、校内にファンクラブが有るとか無いとか。
教室内には僕の他に十五人くらいが来ており、其々が仲の良い者同士で会話を弾ませていた。
清川さんの周りにも、いつもの仲良しグループが集まっていたが、挨拶を返してくれたのは彼女だけである。
「うん、今日はたまたま早く駅についたから、一本早い電車に乗れたんだよね」
僕は、苦笑いを浮かべながら、やっとのことでそう答える。しかし、残念ながらそれ以上の会話が続く、という事にはならず。
何となく、微妙な空気になっているのを感じる僕。彼女の取り巻き達からは、冷たい視線を一斉に向けられていた。
気の利いた返しができなかった僕も確かに悪いのだが。清川さんも清川さんで、挨拶だけ返してくれれば良いのに余計な事を言ってくれたもんだ。
「ふーん、そうなんだね……」
清川さんがそう微妙な反応を示すなり、彼女の恋人だと噂されている天近大地が遮るように話し始める。
「彩花、一限目の古文の課題はちゃんとやってきたのか?」
「そんなの当たり前でしょ。バッチリやってきたわよ」
「流石は優等生の彩花だな」
そんなどうでもいい話を切り口に、再び雑談を始める仲良しグループの面々。普段あまり関わりのない僕の事は、当然のごとく置き去りである。
まぁ、別に何かを期待していたわけでもないんだけどね。て言うかヤバい。古文の課題が出ていたなんて、すっかり忘れていた。
たまたまとはいえ、早めに学校に来れたのは少しだけ幸運だったと言える。
僕は、何事もなかったかのように席に着く。
特に話し相手もいないため、今さらだけど課題を片付けようと教科書を開いたその時だった。クラスで一番イキってる感じの川口興記が突然叫びだす。
「おい! 天近の足元! なんか変な光の輪っか出てるぞ!」
川口の叫びに反応して天近の方に目を向けると、指摘どおり彼の足元には赤紫に輝く光の輪が出現していた。
ペトログラフに刻まれている文字のような模様が散りばめられた光の輪は、どんどん教室中に広がっていく。
教室内が眩いばかりの光に包まれた瞬間、僕の目の前は一気に暗転した。




