三十一
スキルは廻る。それを持つ者を斃した者へと受け継がれ、廻り続ける
スキルは廻る。例え受け継ぐ事無くそれが途切れても、輪廻を繰り返し永遠に廻り続ける
私が今この世にこうして再び生を受けているのはそのスキルの影響だ。〝魔皇〟を宿したまま生涯を終えた事が間違い無く影響している
……ラベジェンドは結託した五種族と闘い、敗れた。
……彼はこの世界の人間では無かった。
……偶然…では……無い。五種族の仲が引き裂かれた事も、彼がこの世界に来た事も偶然では無い
仕組まれていたんだ。私がこの世を去ったその時から…全て……
五種族が集う事を阻止し、魔皇を甦らせようとしたんだ。魔皇を再びこの世に顕現させようとしたんだ……虚という異世界の人間の身体を依代にして
「…シノノメ?どうしたんだ?おい、生きているか?」
「………………」
「…おい!?シノノメッ!!?返事をし「五月蝿い!!耳元で騒ぐな!!思考に耽っていただけだ!!」
心配してくれていたのは分かるがあまりに五月蝿い、こいつ本当に命を削ったのか?どれだけ命が有り余っているんだこの竜王は、それだけ騒ぐ元気が有るのならもっと彼に託せと言いたくなってしまった
…いや、そんな余裕は無いな。私を見る顔を見れば直ぐに分かる…こいつがこんな顔をしていた時はただの一度しか見た事が無い
……魔皇と闘い、打ち勝ったその時しか。
「……一体何を考えていたんだ?私に君の死後を話せと言ったきり黙り込んだから嫌な想像をしてしまったじゃないか」
「……ヴェルファウド。虚…いや、今はシロと呼んだ方が良いのか?シロと闘った時黒髪の男が居たろう」
「黒髪…カーズの事か?」
「名前は分からんが、恐らくそうだ。彼は自分の意思で魔物に与しているのか」
「…いや、違う。彼の様子を見れば自分の意思では無い事くらい分かるだろう、彼は魔物側の連中に操られている」
……やはりか。見えて来た……魔皇の居ない平穏な世界を歪めて行った奴が
平和な世界の裏で……人を操り、心を綾取り、人々を歪めて行ったんだ。真綿で首を絞めるようにゆっくりと、少しずつ……着実に、確実に
それをする奴は一人しか居ない。それを好む者はあの世界でただ一人しか居ない。魔皇の傍らで嗤っていた奴しか居ない
「そのカーズを操っているのが誰か分かるか」
「…皆はカープリートがカーズに魔法を掛けたのだと言っている。イザベラ君も以前その魔法を掛けられ、大切な人を手に掛けたと……」
「……そうか」
……カープリート。あの道化の格好をしていた奴の名だ
……そうか。お前は〝今〟そう名乗っていたのか
お前は未だこの世に居るのか。お前は未だ世界を壊そうと言うのか
名を、貌を、身体を……全てを欺いて
………お前か。お前がやったのか。全て、全て。
〝デセヴ〟。お前が全ての元凶か…!!




