十一
カーズと呼ばれたその男は玉座から立ち上がるとゆっくりとルーギアスさんの元へ歩みを進めて行く
…何だ…この感じ…
今まで闘ってきて感じた感覚とはまるで別の異質な感覚
肺や心臓を握り潰されていくかのような…皮膚を針で刺されているかのような鋭い殺気
「お前がここに来たって事は足止めもゴブリンも役に立たなかったか。まあいいや」
ふっと笑い、〝カーズ〟は一気にルーギアスさんへ肉薄し、剣を振るう。ルーギアスさんはその剣を瞬時に抜刀した剣で弾くーーーーその瞬間、弾いた筈のルーギアスの肩や頬が裂け、血が噴き出した
そのルーギアスさんの周囲に下で見たあの痕が出来ている……何なんだあれは…!?
「この剣は血吸っつってな。今みてーに衝撃与えると周囲に斬撃を放つんだ。おもしれー剣だろ」
「そんな事はどうでもいい。答えろ。何故街を、城を……ここに住む人達を襲った」
「別に理由なんかねぇよ。強いて言うならスキルの試しに使っただけ」
スキルだって…!?試しって…そんな理由で沢山の人達を殺し、傷付けたってのか…!?
睨み付ける俺と視線が合うとカーズは口角を上げながら地面に剣を叩き付ける
ヤバい!!斬撃が来る!!
真横に倒れ込むと、俺がいた所には深々と一本の亀裂が入っている。避けていなかったら身体が真っ二つにされていた
「気に食わねぇ顔で睨んでんじゃねぇよ雑魚が」
「カーズ!!」
反撃に出るルーギアスさんの一太刀をにやけながら剣で防ぐ。攻撃したのはルーギアスさんの方なのに、あの剣の所為でルーギアスさんはまた傷を負ってしまう
しかしルーギアスさんは連撃を重ねる。速い…!唯の剣技に負けないくらいの速さで攻撃を重ねている…!!
「はっはぁ!やっぱお前は邪魔だったわ!大人しく足止めされてれば良かったのによぉ!」
そのルーギアスさんの連撃を全て防ぎ、カーズは言葉とは裏腹に楽しそうに笑う
強い…!!あの連撃を全て防いで笑うだけの余裕があるなんて…!!
ルーギアスさんの身体からはあらゆる所から出血が見られ、滴る血が絨毯を赤黒く染めている
しかし、ルーギアスさんはそれを全く意に介さない。更に攻撃の速さを上げ、カーズを追い詰めて行く
「!」
ルーギアスさんの一撃をカーズは防ぐ事が出来なかった。脇腹を深く斬られたカーズは顔を歪めながらその場に剣を突き立てる
それを中心に波動が飛ばされる。あらゆる方向に斬撃が飛び、闘いを静観していた街の人達へも向かって行くーーーしかしオルガが身を挺しその斬撃を受けたお陰でその斬撃を受けずに済んだ
「あ、ありがとう…助かった…」
「…ぼけっとするな馬鹿共が!」
「オルガ!大丈夫か!」
「問題無い。問題があるのは私よりもルーギアスだろう」
一番間近でその波動を受けたルーギアスさんはその場に片膝を付きながらも剣を杖の代わりにして何とか倒れずにいるといった状態だ
酷い怪我だ…早く治療しないと…!
「糞が…!遊び過ぎた…!」
斬られた脇腹を押さえながらカーズは剣を抜き、俺達と対峙する。その顔からは笑みは消えていた




