十
「ゴブリンを従えているのが人間だと?」
「この子が見たのがそうらしいんだ。そんな事って出来るのか?」
「おい娘。それは本当なのか?」
「ほ、本当です!本当に人間…だったのかは自信ありませんけど…私達と同じような見た目をしていました!ゴブリンと全く異なっていたのは確かです!」
「前にも言ったが魔物というのは私達にとっての敵でしかない。それは彼方も同じだ」
「可能性は無いって事?」
それに対しての返答は無かった。腕を組みながら考えを纏めるように目を閉じる
「従える、では無く……操る。これが一番可能性として考えられる」
「操る…?」
「人間がそんな芸当出来るのかは知らんがなーーーールーギアスが来たぞ」
オルガは顎でしゃくり指す。先のオルガ同様に後ろに街の人達を連れてルーギアスさんが走ってこっちへ向かっているのが見えた
ルーギアスさんと合流し、その事を話すとルーギアスさんは指を顎に当てながら思考する
この前もだけど、ルーギアスさんって何かを考える時にこの仕草をするの癖なんだな…
「……そうか。それだと色々と合点がいく。が…やるべき事は変わらない。皆、後に続いてくれ」
城へと続く道を見据えルーギアスさんは歩き出す。城門は無理矢理こじ開けられたらしく、ぐしゃりと曲がり壊れていた
城の中へ入ると目の前に飛び込んで来たのは無惨に殺されている城の兵士達だった。鋭い太刀の痕が壁や床、そこら中に刻まれていて兵士達はそれに巻き込まれたように絶命している
何だこの痕……剣の痕…なのか?だとしたら何でこんなにたくさん付いてんだ…?
「ダイオン様!」
この光景を異質と感じ、ルーギアスさんは一気に階段を駆け上がり玉座へと向かう。
俺達も続いて玉座に走る。ダイオン王は無事なんだろうか…このあまりに異様な光景を見た後なだけに嫌な感情が拭えない
玉座の間には血だらけになり片膝をつくダイオン王がいた。手に持っている剣は折れ、その呼吸は荒い
そしてそのダイオン王の前に立つのは…女の子の言った通りだった
肩に剣を担ぎ、ダイオン王を見下すように玉座に座る男ーーーそのいで立ちは人間の形していた
僅かに波のある長い黒髪、切れ長の三白眼…その目の下には隈があり人相の悪さを際立たせている
そいつはダイオン王からやって来た俺達へと視線を移すと先頭のルーギアスさんを見てにやりと笑う
「遅かったなぁルーギアス」
「…カーズ…!!貴様が元凶か…!!!」




