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閑話 カナデ(4)

 やっちゃんに紹介してもらった探偵社から連絡がきた。電話では「見つかった」とはいわなかったけで、何か進展があったのかもしれないと思って私は探偵社の戸を叩いた。警察と違ってちゃんと経過報告をしてくれるだけでもすごくうれしいのだ。


「お待ちしておりました。どうぞこちらに」


 テレビで見る探偵をイメージしていたから最初はすごく驚いた。薄暗いところと思っていたら中はすごくきれいに整理整頓されて普通のオフィスという感じで、担当している探偵さんもサラリーマンにしか見えない。席に案内されると、すぐに女性社員が緑茶とコーヒーを私と探偵さんの前にそれぞれ運んできた。


「ご気分はどうですか」

「ええ、少しずつですけど、落ち着いてきてるんですけど……」

「そうですか。先日一緒に来られたご友人は」

「やっちゃ――彼女は今日は仕事なので。あの、それで何かわかったんですか」


 私が聞くと、探偵さんはちょっとだけ顔を曇らせた。あまりいいニュースじゃないのだろうか。


「そうですね。現在までに分かっていることを説明させていただきますね。まず、順を追ってご主人の足取りを追いかけさせていただきました。

 2時20分ごろに取引先の会社を出たという話でしたので、そこからどのように行動したのかを確認しました。会社を出た後、ご主人はタクシーを利用して駅に向かったそうです。それはタクシー会社の運行記録で確認しました。支払いにはクレジットカードを使用していたので、間違いなくご主人だと確信しています。

 それから駅の構内に入ったことも監視カメラの映像で確認しています。こちらはご主人で間違いないでしょうか」


 すっとテーブルの上に差し出されたのは少し画像の荒い写真だけど、アキラ君の姿を間違えるはずがない。胸が熱くなる。


「はい。間違いないです」

「ありがとうございます。続けますね。このカメラの映像に移った後、改札口を抜けて中に入ったことも確認されています。その後は会社に向かうため上りのコンコースに向かったと思われるのですが、その手前のカメラにはご主人が確認できませんでした」

「えっと、それは……」

「ええ、ですので、念のため逆方向のカメラもチェックしたのですが、どこにも映っていないのです」


 どういうこと。上りも下りにも来なかった。そんなことってあるの。


「そ、それじゃあアキラ君は?」

「念のためかなりの時間のカメラ映像を確認しましたし、もう一度改札口を抜けた可能性も考慮したのですが、どこにも」


 探偵さんが静かに首を振った。


「で、でも、その、カメラの死角とか……」

「検討済みです。誰かに誘拐された。トイレで倒れて病院に運ばれた。人の陰に隠れていたなどと、あらゆる可能性を考慮して調べたのですが、正直申し上げまして駅から忽然と消えたとしか見えないのです」

「じゃ、じゃあ……」

「ここから先はご相談です。もっと範囲を広げて調べることは可能です。ほかの駅の監視カメラの映像のチェックや、駅周辺のコンビニなどの確認など、しかし調査には膨大な時間と……費用が掛かります。それから――」


 探偵さんの声が遠くなっていった。

 どういうことなのアキラ君。

 何があったの。

 ねえ、どうしたらいいの。

 お願いだから帰ってきて、アキラ君。

 

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