十層のボス、ブラックタガーハウンド
その後十層までは特に魔物に苦戦する事なく到着する。
「そういえば、ボクが入った事のあるダンジョンと同じなら十層ごとにボスがいるはずだけど、レイナとソルは戦った事があるの?」
確かに俺はあんまりダンジョンの事は知らないし、レイナとソルからはその事は聞いた事なかったな。
そう話していると十層に出ると聞いていた、犬っぽい魔物のグレーハウンドの集団がこちらを襲おうとしているみたいだ。
それを見たルージュは背中の両手剣を抜いた後、ある事を喋る。
「少しは面白そうな相手が出てきたぜ。こいつら俺様が倒してもいいか?」
「別にいいぞ。でもお前の相手になるのか?」
そう言った直後ルージュが両手剣を叩きつけてぶった斬ってどんどん倒していく。
「もうさ、ルージュ一人でよくないか?」
レイナがそう言い俺達は頷く。
その後、結局グレーハウンドはルージュが瞬殺して、俺達は魔石や素材などを回収する。
「なんか俺達、素材回収係になっているのは気のせいか?」
「それは否定は出来ないけど、一応ボク達にはハルヤ君を護衛しないといけないから、いつでも戦えるようにしているよ」
「それなら、俺がダンジョンに入らなかったら、別に護衛はなくていいと思うぞ」
多分これを言ったら終わりのような気がするが、言わせてもらうぞ。
そうやって話すと答えてきたのはルージュだ。
「ダンナがいないとダンジョンに行く意味が半減するぜ。それに俺様やレイナ達が守るから安心してくれていいぞ」
あの、ここに俺がいる事がおかしいと言うつもりで言ったのだけど、伝わっていないようだな。
ならストレートに言おう。
そう話そうとした時、素材回収も終わり話しているだけだと思い周りを見る。
他のメンバーもそれに気づいたみたいでソルが口を開く。
「そろそろ目的地に向かって行きましょう。それにハルヤは回復魔法が使えるから戦力になるし頭の回転が早いから作戦も考えられるからついてきてくれると安心感があるの」
そう言い俺以外のが頷いたので納得があまりいかないが、とりあえずこの話は終わりにする。
「まぁ、その件は一応今は置いておく。でも、もう一つ言いたい事があるが、ここはダンジョンだから後で話すな」
そう言った後、俺達は十一層に続く階段の方に向かう。
そして、階段の近くにあるボスの部屋に行く事になる。
一回倒されたボス部屋は常時開きっぱなしで、次の階層にボスを無視して行く事もできるらしい。
ただその場合、一回倒されたボスが時間経過で復活していないか、他にはボスがいても横をスルーしなければいけないので、かなり難しいとさっきソルから言われる。
ただ、その事を聞いたルージュは口を開く。
「そんなに強いボスなのか。前戦った大きな騎士像とどっちが強いか楽しみだぜ」
うん、戦う気満々じゃねー!? まぁこのままだと、ルージュが無双して終わりそうな気がする。
そう考えているとレイナ、ソル、エルが三人が何かを話し合っているので俺はルージュと話す。
「多分お前が速攻で倒して終わると思うぞ」
「そうなのか、それならレイナ達に一回戦って貰った方がいいかもしれないな。俺様はなんだかんだで三人が戦っている所を殆ど見た事がないからな」
いや、前の赤オーガとかの事を思い出して、三人だとキツくないかと思う。
すると三人の相談が終わったらしく、こちらに話しかけて来る。
「さっき、ルージュが言っていた事なんだけど、今回のボスは私達三人で戦いたいけどいいか?」
「いや待て、前の赤オーガみたいなボスが出てきたら大変な事にならないか?」
その事を伝えるがソルがある事を話す。
「今回ルージュばかり戦っていて、わたし達の出番は殆どなかったし、後今までの経験がどこまで通じるか試してみたくなったのでお願いするわ」
あの、それなら俺も素材拾いとご飯を作っている以外殆どなんもしてないぞ……。
そう考えているとさらにエルがつけ加えてくる。
「それに、ミスリル装備に新調したし、色々訓練もしていたから前よりも戦闘力も上がっていると思うから、ピンチになるまではボク達三人で戦わせて」
真剣にそう言われたので、どうするか考える。
少しして、ピンチになるまでなら大丈夫かと思い伝える事にする。
「わかった。でもあんまり無茶をするなよ」
「それはわかっている。キツかった言わせてもらう」
それなら大丈夫か。
その後、十層のボス部屋に到着したので中に入る。
「ここがボス部屋なんだね。扉が開いていて、前には大きな魔物がいるからあれがボスかな?」
「そうね。ちなみに名前はブラックタガーハウンドよ。刃物のように尖った爪と牙が特徴の魔物で遠距離攻撃は殆どないけど、近接攻撃は強いから注意しないといけないわね」
ソルがそう言った後、三人は自分の武器を手に持ち戦闘態勢になる。
そうすると、向こうも気づいたみたいで威嚇を始める。
「向こうも威嚇してきたな。後ルージュはハルヤを守っておいてくれよ」
「もちろんだ。ダンナには指一本触れさせないぜ」
ルージュ、マジで頼むぞ。俺にはアイテムを使わない限り、威力が強すぎて使えない竜魔法しか攻撃方法がないからほとんど詰むぞ。
すると、ブラックタガーハウンドがこちらに襲いかかってきたので、俺とルージュは急いで壁の方に避難する。
三人は横に避けた後、まずはソルとエルが強化魔法を使って自分を強化して、レイナが強化魔法の指輪を使って発動する。
「なる程な。まずはああやって強化するのか。でもあれだけだと、まだ戦力にが足りなくに見えるぞ」
「いや、お前は多分強化魔法を使わなくても圧倒出来ると思うが、普通はああやって戦うらしいぞ。ただ俺もよく知らないから、よくわからないけどな」
俺とルージュはそうやって話しながら見学を始める。
すると、まずは丸盾を構えたソルが後ろから素早く近づいて、ボスの後ろ足を狙って剣で斬りつけようとする。
だが、ボスの尻尾が鞭のように振るわれなんとかガードするがソルは吹き飛ばされる。
「「ソル」」
レイナとエルがそう叫び、少ししてソルはなんとか起き上がって〈ポーション〉を使ってなんとか戦線復帰をする。
「かなり攻撃力があるね。でもボク達もただで負けるわけにはいかないよ」
今度はエルが高そうな剣を使い、前足を狙う。
強化魔法で能力が上がったエルだったが、その攻撃はボスが反応して、左前足を掠った程度で後ろにバックステップされる。
「やっぱりかなり手強いね。ボクの攻撃も殆ど当たらないし少しキツイ」
そうやって三人は連携して、ボスに攻撃しているが、決定打は与えられない。
逆にボスの攻撃だレイナ達はどんどんダメージを受けているので形勢は不利に見える。
「ダンナ、これは少しキツイと思うぜ。そろそろ俺様も行ったほうがいいか?」
「いや、あいつらはまだ諦めていないと思うから、まだ待った方がいいぞ」
そう簡単に諦めていたら既にギブアップしているから、まだ見ているだけにする。
すると、状況が良い方に好転していく。
きっかけはソルがポーチから閃光が出る魔結晶を取り出して、ボスの目の前に上手く投げたからだ。
その光で怯んだボスに、エルの攻撃が上手く右後ろ足にヒットして切断出来たからボスの動きが鈍る。
「今よ、一気に攻撃するわよ」
ソルがそう言い、レイナとエルと一緒に畳み掛ける。
ただ、ボスもタダではやられてないので、攻撃してきたレイナ達になんとか反撃している。
そして、レイナの攻撃が相手の急所に当たり大ダメージが入り、ボスの体制が崩れた時にソルとエルが止めをさす。
その後、ついにボスが黒い煙になって消えて、大きめの魔石が出現する。
俺はボロボロになっているレイナたちに回復魔法を使って回復させた後、ルージュに見張りを頼む。
少し休んだ後、魔石を回収してゆっくりする事にする。




