戦闘科の授業
なんだかんだで、学園には初めて来たので少しワクワクするなと思っていると、ミラナさんから学園の説明が入る。
「まずは、ハルヤ君には関係が無いかも知れないが戦闘科の説明をしますね。戦闘科は一学年が四十クラスで一クラス四十人だ。もちろん、一組が優秀な生徒で四十組が落ちこぼれのクラスだ」
「それ、かなりの実力主義ですね」
俺は、ロートス街の小さな学校で学んだ事以外無いのでそう答える。
「それに、優秀な生徒ほど優遇があるから、大体の生徒は上を目指して頑張っているよ」
「でもそれじゃと、諦める生徒も出てくるじゃろ」
フラウがミラナさんに指摘すると
「確かに諦める生徒もいる。でも、そう簡単に諦めるような生徒はこの学園にはいないぞ」
なんか、根性論みたいだな。
まぁ、それはさておき
「着いたぞ、ここが戦闘科が午後から訓練している闘技場だぞ」
俺は、闘技場の入り口を見てある事を思う。
「かなり大きいな」
「そうじゃな。この大きさはこの都市に来た時に入った門くらいあるのじゃ」
俺とフラウは入り口の前で固まっていると
「ハルヤ君、フラウちゃん、そこで固まってないで着いて来てくれ」
とミラナさんに言われる。
そして、中に入り観客席で見ていると、ステージでは生徒同士の戦闘が行われていた。
「どうだ、これが我が学園の戦闘科の授業だ。今回は生徒同士の戦いだが、かなりの見ものだろ」
なんかテンションが上がってらっしゃるので、とりあえず頷いておく。
「家主、あそこに小さな女の子が複数の男女相手を圧倒しておるぞ」
フラウが指差す先に、黒髪の女の子が複数の相手をボコボコにしている光景が目に入る。
「あぁ、あの子はクラナ・ブレイブ。勇者の家系の娘の一人だよ。歳は今年で十四歳だけど、高等部一年のトップを相手にしても余裕で勝てるレベルで強いよ」
なんか、ルージュを見ている気がするけど、動き的にはローゼに近く感じるな。
そう思っていると
「しかし、この学園は弱肉強食の世界だなと思ってしまうな」
「ハルヤ君。この光景は戦闘科だけだから大丈夫だよ」
それ、何処も大丈夫では無いような気がするのは気のせいか?
そう思っていると、無双している女の子に吹き飛ばされた女子生徒が、俺の近くに飛んでくる。
「あの、もっと離れた方が良いような気がするのは気のせいかのう……」
「確かにそう思う。それに、結界を張ってなくて良いのかと感じるのは俺だけか?」
「まぁ、そこはコストの問題もあるんだよ」
ミラナさんがそう言って、さっき飛んで来た女子生徒をステージの方に運んで行く。
「家主、妾達ここにいたら大変な目に合うような気がするのじゃ」
俺はその言葉を聞いたあと、ステージで倒れている生徒達を見る。
「そういえば、倒れている生徒は治療はどうなっているのかを聞きたいよな」
「そうじゃな、でもこれだけ生徒がいると治療する人は大変だと思う思うのじゃ」
この学園に入学している生徒達は凄いなと思っていると
「午後の授業はみんな力を出しすぎるからな。ハルヤ君達は大丈夫だったか?」
ミラナさんが帰って来たので
「あの、生徒の治療とかはどうしているのですか?」
と質問してみる。
「それは、生産科が作った〈ポーション〉で回復しているな。もちろん性能が良いのは優秀な生徒に回されるけどね」
難しい顔をしながら喋って来たので
「かなり厳しいルールがあるのですね」
「本当は私が、このルールを変えたいけど力が足りないから無理なんだ」
ミラナさんが悔しそうに唇を噛んでいるので、俺はスルーする。
そして、少ししてチャイムが鳴って授業が終わったみたいなので
「ミラナさん、少し面白い事をしていいですか?」
「ハルヤ君、何をする気だい?」
「家主、もしや力を使うのか!?」
「力? ハルヤ君はこの状況を変える力があるのか?」
ミラナさんが俺の方をガン見して来たので
「違いますよ。自分は雑貨屋の店員なので商品の売り込みをしに行くだけですよ。なので、売りに行く許可を貰っても大丈夫ですか?」
「商品……。あの〈ポーション〉を売るのか!? それなら許可するよ」
よし、それなら売りに行きますか!
「フラウ、手伝って貰ってもいいか?」
「もちろんじゃ!」
フラウにアイテムバックを持って貰って、俺達は観客席から降りてステージの上に立つと、生徒と先生がこちらを見て来る。
そして、ゴリマッチョなオッサンがこちらに
「おい、お前! 何者だ!」
となんかこちらを悪役みたいに言って来たので
「学園長に許可を貰った雑貨屋の店員です。戦闘科の生徒さん達に是非試して欲しい〈ポーション〉があるのですが、いいですか?」
その言葉を聞いたオッサンは
「学園長、この青年が言っている事は本当ですか?」
「ゴドス先生、彼が言っている事は本当だ。それに商品を見たがかなりの腕利きだ。それならそこの生徒試してみろ」
ミラナさんが怪我をしている男子生徒を指差す。
そして、俺はアイテムバックから〈九等級回復ポーション〉を取り出して生徒に渡す。