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詩織さんの微笑みは天使のように冷たい。  作者: 綾峰 はる人
Mの遺言
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私には、同一人物に思います。

鬼お久しぶりーふです。まだ生きてます。

新しい小説も思い浮かんだので、そちらも地味に進行中です。

言われるがまま、私はタイムカードを没収されて洗濯された新しい服を渡される。

「…………はぁ、まあ休めということなら休みますが」

 正直、私を普段呼ぶことがない人が私を呼んだ時というのは、だいたい仕事をしているほうが楽なことが多いです。シルビアさんには申し訳ないですが、面倒な予感しかしません。

「でも、行くしかないようですね」

 なにより、呼んでいるのはシルビアさんなわけですから。放置というのは可哀想でしょう。




「――お待たせしました。シルビアさん」

「あっ、しおりさん遅いですよーっ」

 まるで遥か向こうに私はいるかのように、大きく手をブンブンと左右に振りながら笑顔で私を呼ぶシルビアさん。まぁ、笑顔といっても鼻から上は鳥のような仮面で隠れているのですが。

「シルビアさんが店内で(くつろ)いでいるのは、なんだか珍しいですね」

 私は微笑み、彼女の正面に腰を掛ける。相変わらず、その素顔は木製のお面で隠れている。

「えへへ、私もたまにはくつろぎたいと思って、せっかくくつろぐならば美味し紅茶が飲みたいなーと思ったんです」

「なるほど、それは店員として嬉しいお言葉です。後でバリスタにも伝えておきましょう」

 そんなことよりも、本題に入りたいところです。

 ええ、確かにシルビアさんのような可愛らしい女の子に用事があると呼ばれるのは苦痛ではないのですが、彼女は今まで私と深く会話をしたことはない。お互い、交わすとしても立ち話程度の数分間の会話。それのみだ。それが今、呼び出してまで伝えたいことがあるらしい。どういった内容なのか、すごく気になります。

「シルビアさん。店内で店員とお客様が馴れ親しく話していると、周りのお客様が不思議に思います。散歩ついでにどこか行きませんか?」

「おお、いいですね。散歩、行きましょう!」

 意気揚々と彼女は席を立ち、まっすぐ出入り口へと歩き出す。思い立ったが吉日、とはよく言ったものです。まさに今の彼女が、そういうことでしょう。まぁ、吉日なのかは不透明なところですが。

「美味しい紅茶を飲みたいと言っていただけあって、既に飲み干してありますね」

 飲食店の従業員として一番ショックであり一番面倒なのは、残飯処理のほかありません。私はつくづく思うのですが、食べ残しはどんな店でも別途料金を請求するべきです。たとえ、飾りつけのミントの葉一枚であっても。

「――なにしてるんですか? 散歩! 行きましょう!」

「あ、ええ。はい、ただいま支度します」

 流石に何も持たずに遊びに行くのは、行き場所に困るでしょう。財布くらいは持って行かなければ。

「………………………ん? 別に遊びに行く分けてはない。私はいったい何を考えているのでしょう」

 私は少しだけ身だしなみチェックを鏡の前でして、シルビアさんの元へ向かった。


「――それで、私に用があったのでは?」

「んん?」

 ホットドックを頬張る彼女は、なんのことかと、まるで分からないという様な瞳で私を見る。

「蒼井さんから、シルビアさんが私に用があると言っていたと聞いています。もう忘れてしまったのですか?」

「ん? 覚えてますよ?」

「……………………」

 これは私、もしかして煽られているのでしょうか。それとも、まだ話すタイミングではないということでしょうか。

「――小説【ロストブルー】について詩織さんに聞いてほしいことがありまして」

「ふむ、やはり、シルビアさんは誰かの下で働いている人間だったのですね」

「あれ? 言ってませんでしたっけ? 私、探偵事務所で働いているんです」

「……探偵事務?」

 妙に、喫茶店での出入りを許可されていることや、蒼井さんとの距離感の近さが普通のお客様とは違うなと常々思っていましたし、今回、私に用があると言ってきたのも嫌な予感はしていましたが、探偵事務とは。てっきり内の喫茶店のオーナーのもとで働いている人間かと思いましたが。どういう繋がりがあるのでしょう。

「はい! 私含めた三人で経営してます。……って、そんなとこはさておき」

 彼女は、ノートパソコンを取り出すと今までずっとつけていた仮面を外す。何の躊躇いもなく、その奥の表情が私の視界に映る。

「………………そんな馬鹿な」

 私は思わずそう呟いた。

 私は今、夢でも見ているでしょうか。それとも、実はあの時、本の世界に飲み込まれたのでしょうか。『何かの偶然』だと、簡単に片づけることが難しいほど、シルビアさんの素顔は……。


 ――五十嵐まほに似ていた。

「? どうかしました?」

「いえ、なんでもありません」

 髪型はショートヘアで似ても似つかない。ですが、顔のパーツは全くと言っていいほどまほさんにそっくりです。それに、仮面をつけていた時は声がこもって低く聞こえていたのも、取った後の声はまほさんそのものです。

「それで、ロストブルーのことなんですけど、あれって他の物語りの後日談らしいんですね。その物語りの名前は【聡明のアカツキ】らしいです。それにはA~Cの異能が使えるクラスしかほとんど描写されておらず、主人公はAクラスに所属する女の子らしです。そして、更に面白いことにロストブルーも、次の物語りに時系列がひどく飛んでしまうのですが繋がっているみたいなんです」

「ほう。なるほど、小説ではよくある手法ですね。処女作から物語りを繋げていくというのは」

「その物語りでは、聡明のアカツキとロストブルーで登場する人物はほぼ死亡しています。原因は、教師による虐殺」

「……なるほど」

 教師のきな臭さは、私も感じていました。それに、東郷万里も遠回しに私に『本当に糸を引いているのは教師だ』と伝えてきていました。やはり、そういうことだったのでしょう。

「生き残った数名は、逃げ延びるために脱走を試みるのですが生き残るのはどうやら一人のみのようです」




赤耳PANDAとしてYouTubeでも活動しています。そちらのほうではゲーム実況等を行っております。

お暇な方はそちらもチェックしてみてください。

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