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暫く放置してしまっていて大変申し訳ありませんでした。
やっと周辺が落ち着きましたのでまた、のんびりと更新していけたらとおもっています。
「・・・落ち着かれましたか?」
「はい、ご迷惑お掛けしてすみません」
いいえ。と、困ったように笑う彼はコーヒーをまた一口、口にしてほぅっと息を吐いた。
あの後錯乱気味の私を宥めながら彼が案内してくれたのは知人の経営するという奥まった場所にあるBARだった。
扉には準備中という札が掛かっていたが、彼は気にする事無く扉を開けると落ち着いた雰囲気の店内を慣れたように進みカウンター席へと私を案内してくれた。
暫くして差し出されたのはミルクのたっぷり入った温かい紅茶。
どうぞ。という言葉にいただきます、と、小さく口にして飲み込めばぐちゃぐちゃと絡まりきった色々なものが次から次に溢れてきて、目からも口からも悲しみが漏れていった―――
私が泣き止むまでコップを磨きながらじっと待っていてくれた彼に気恥しさと感謝を感じる。
「それより、何故あんなところに?先程本家の方で緊急連絡が回って来たのと関係ありますか?」
「・・・えっ、そんな事になっているんですか?」
彼は無言でそっと向けてくれたスマホの画面には緊急連絡、という題だけで深雪お嬢様が行方不明の為各自捜索に当たる様に。又、見付けた場合には即時連絡と保護を。と書かれたメールが表示されていた。
そういえば久世先輩が私の立場は大変なものだと言っていたのを思い出した、でも、あれは彼・・・弟が産まれる前の事な筈。
「取り敢えず、無事だということだけは本家の方に報告して宜しいですか?」
心配そうに伺う彼に少し迷ってから小さく頷く。
「あの、でも・・・ま、まだ帰りたくないんです―――」
「・・・分かりました。それも伝えておきましょう、お嬢様のお気持ちが1番ですからね」
そう言って笑うと、彼は少し電話してきます。と、奥へと姿を消した。
暫くして話し声が聞こえてきたが、どうやら穏やかそうな雰囲気の様子で私もほっと息を吐いた。彼を信じていない訳ではなかったが無理やり連れ帰られて父母や祖父母の前に出された時、私は冷静に対応出来る自信がまだ・・・ない。
「ただいま〜!千景来てんの〜!?」
暫く彼を待っている間、突然扉がガチャリと音を立てて開くと、そんな明るい声を上げながら真っ赤な鬣のような髪に剃りこみとひと目でわかる沢山のピアスの付いた風貌の人が一人、堂々と入店してきた。
「え、あっ」
「んぁ!?誰」
「えっ、えと、い、五辻深雪です!」




