『行間編ーー機械じかけの君と』
はい。
今回からは役二話連続で贈りますこの作品に良く出現するアンドロイドこと『マイ・ハルノート』編での短編です。
康介「いや、普通なら章事に”人物紹介”がこの作品のセオリーじゃ」
マイ「む?…康介は”無視”し、始まるのです!」
康介「おわっ?」←
人は、広大な世界や大海に足を踏み出したその時からゴールの無い迷路をさ迷うのです。
宇宙歴……制式にはアンゲロイ歴UG139年、極めて原子記号よりも微弱な素粒子。効果測物質を発見。 光より速いとされる物質は全世界共通の常識をひっくり返し、その革命的な粒子発見者。
エリーゼ・ザー・ウォーズバイトの命名に因んで――
「あっのぉ〜…マイちゃん? わざわざの解説はもういいからさぁ、既に発進シークェンスは出ているんだよねぇ。お願いしますよ」
今現在ボクと見つめ会う青髪ショートの美少女が可愛らしく首を傾げた仕草で考え込む。
所詮は知らない誰かに造られたホログラムデータでの端末。その端末に映るキャラクター。
にしてはやけに人間的な仕草なんだよな…全く良く出来てるぜこいつは。
『誠に失礼ですが――マイちゃんとは一体どのような言語でしょうか。解読…アンゲロイ言語68万9千』
未だにボクが見つめる間も特徴ある赤い大きな瞳を細めながら可愛らしく考え込む。
多分……この状態でネットか何かしらにリンクを掛けているのだろう。
この状態でしばし待つ事数分後、真下を向いていた表情を今度は此方に向ける。
『ダメですね、ダライバル言語を探索しても、アンゲロイ言語を探索しても、不可解な暗号です』
『もう一度聞きますが――発進シークェンスがマイちゃんと…』
はぁ…ダメだわこの人。ボクはこの先々自分が置かれたギリギリの立場や、緊迫した状況。
その状況に拍車をかける謎の美少女ことマイちゃんのあどけない表情を覗き、又一つため息を吐く。
そんな無駄な事に時間を暫く費やしたボクの機体が軽い振動の後、勝手に動き出す。
背中のシートに押し付けられる程のGを感じたのも束の間――
略強制的に今現在居る基地から射出されたのだ。
それに気付くのろまな彼女は、後から渋々とした表情でボクを見つめ。
『ごめんなさい――』と。
まぁ、たしかに彼女も彼女だがボクも発進をもたつかせた訳であり、
結果的に痺れを切らした官制塔オペレーターが強制射出したのは言うまでもない。
「まぁ、そんな怪訝そうな顔するなよ、マイが全部悪い訳じゃないから、だからさぁ」
『もういいですよ! どーせあたしはノロマの出来損ないです』
ボクは一体この端末とナニを会話しているのか――
『おらっ!うすノロ佳次はじゃま邪魔っ! そこを退けっての!』
『あらぁ――佳ちゃん、又あの子を口説いてんの? うふふっ? そんな二次元キャラ何かよりさぁ〜、アタイと』
「うるっさいなもぅっ!」
突如間抜け面になるマイことボクのマイ端末を押し込むように、もう既にウザイお馴染みの同僚達の顔が所狭しと端末に映りこむ。
いつもの事だと思うんだが、あーでもないこーでもないと騒がしくなるコンソールでの無駄な通信を遮断。うん。やっと静かになる端末越しのマイの表情が何とか落ち着きを取り戻す。
まぁ今現在何処かしらから持って来たお茶のオブジェを一口含み幸せそうな仕草のコイツも含め――このボクがようやく不況続きのこの土地で見付けた唯一の職場なのだが…。
てかマイいくら外部通信を遮断しているとわ言え、落ち着きすぎだろうっ!
何でも表側は『宇宙海賊とは名ばかりのどんな難問も解決させます』っつ〜ようは便利屋稼業を営む小さな会社なのだが。
ちょいと蓋を開けてみれば、様々な禁止事項での密売やらレアな武器の売買。
かなり危ない橋を渡る事おおありなヤバゲな会社なのではあるのだがな。
まぁ、このご時世――ボクのわがままが通るような甘っちょろい世間じゃないのだ。
とはいえ、ボクが産まれ育ったこの街――そして銀河でもかなり辺境の地と噂されるこの星で生きて行くには仕方がないんだけどねっ!
おっと、詳しい説明はこの話が進んだ後にでも――さてさて、今回での以来にもなる衛星軌道上から急接近する小惑星を監視衛星のレーダーがキャッチしたようだ。
かつてこの星に飛来した先住民達によって、蒸気機関が主流だった科学技術は革命的な開花をえる。
又それは先住民達による星間国家連合の加入と契約。その巨大組織の一部になれとの要求なのだが。
なぁに、如何せん一枚岩じゃないこの広い世界。
この訪れた先住民達だけじゃないのは当り前のようなのだ。
同じくこの世界を二分する別組織。アンゲロイ連邦と呼ばれる星間国家組織との契約も又、この世界に生残る為での手段なのだから。
と、ハイスクールでの現代社会の時間は終わりっ!
さて――
「おい――ノロマ」
『むひゅう…』
「もしも〜しっ! 既に仕事の準備が整っているんですけ?」
『危ないっ! 佳次っ! 4字の方向。役1234……わわわわっ! わぁいいいっぱい高熱源接近』
突如さっきまでムカつく昼寝をぶっこいていたボクのメイン端末ことマイが黄色い声を張り上げ賑やかになる。
ったく、一体どっちがサポート役なのか…と。
そんなあたふたと騒ぐ彼女に突っ込み入れんのは後回しにして。
左斜めから差し迫る無数の高熱源を軽い姿勢制御でギリギリ回避。
そこから一気にバランスを崩す機体を右手に持つマニュピレーターを右に勢い良く倒す。
って!? 今現在この空域を飛んでいるのはまさか、ボクだけって!
『あ〜…えっと、スカーレットとジョンはもう既に落下する隕石を破壊。ミッション終了で帰還……すみませんでした』
「ったく、結局……んじゃこの黒い戦艦みたいな奴は?」
『さあ…多分ジョン達が破壊した隕石に引っ付いていた"ゴミ"かな。えっと、うん。ゴミ掃除も仕事の?』
「内じゃねぇぇっての! お前は黙ってろ、ったく気が散るからっ」
ガツンと頭上にあるキャノピーを無数に差し迫るビームの一つが掠める。
つか、いくらダライバル制とは言え。この旧式の機体じゃボクの反応速度には無理があるんじゃ。
んな事をごちゃごちゃとマイと抗議しながら機体を追尾する無数のビームをジンキング軌道でバラバラと回避する。
「ちっ! 火器官制は! サイドワインダーにある対艦ミサイル2機。ありがたいぜ、こうなったら一か八かやるしか――」
『えっ… えっ? なにっ!? あたし、この若さで死にたく』
「いいから黙ってろっ舌噛つってもお前には舌がないか。悪いっ」
目の前のコンソール端末に映る彼女の膨れっ面をおがみながらボクは機体のスロットルを一気に倒す。
同時にアフターバーナーを掛けながら急上昇をし、一気に引き起こす……
よしっ! あのゴミだっけ? 奴もまんまとボクの策に引っ掛かりやがったな、食い付き成功ってねっ!
そして、まだまだ引き起こしてから――今だっ!
「インメルマンターン! そして。さよならだっ!」
引き起こしから機体を鮮やかにループさせ反転!
今正にボクに全弾ぶちこもうとビームポットらしき物を開閉させる。
その禁断の熱源ポイントにロックオンをかける。 超特大の対艦ミサイルを食わせるんだから、もう奴はたまったもんじゃないだろう。
機体各所から豪快に連続炸裂させながら破片を撒き散らせ墜ちて行く様をキャノピー越しに横目で眺めながら、とりあえずはこれで全部のミッションは終了。
ボクは、マイにさっきの突っ込みやら色々と言いたい文句をはき散らかしながら渋々と本社がある方向に機体を滑らし帰還して行った。
毎回こんな骨の折れる仕事ならいっそのこと配管工でもと。機体の端末を使い転職探しをしていたのは内緒なのだが――
突如飛来した隕石に張りついていたナニか。
そのナニかの残骸を分析した結果。あれが兵器では無く未知の生物だったとの報告を後から知ったのはあのミッションから三日後のことだった。
そう、正しくそれはダライバル――及びアンゲロイ連邦も恐れている危険な第三種との極秘情報も。
そして、ボクとマイ。二人の本当の戦いが今この時から始まる――
次回へ続く。
はい。
今回での主役。圭次くんを含むメンバーは、本編での康介達”ダライバル連合”とは逆の敵側の世界。
”アンゲロイ連邦”での物語で進みます。
てな訳でっ。
康介「はぁ…早く本編に戻?
マイ「次回お楽しみなのです!」←




