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『剣と魔法と光線銃って!?』  作者: Ark-Royal(Aircraft carrier)
『入り乱れる天空人達の追憶』
15/35

『静寂に咲くあの花のように』――その3――



さてさて、昨年から数ヶ月ぶりになります今回は。



いよいよあの康介とシルビアによるコンビの始まりです。

スコンに残された名もない小さな命を救うべく、隣国メリクリウスとの国境付近の山脈地帯に。この季節に咲くと言われるある薬草を取りに飛び立ちます。



そんな矢先、以外な人物達によるこれ又以外なドラマが展開し、その場に偶々関与してしまう康介とシルビアは?



そんな訳でっ!

『剣と魔法と光線銃って!?』

始まり始まりっ。

 



 ――死の魔結晶地帯。何時の時代からそう呼ばれているのか。



 ドマーニとメリクリウスの国境地帯に華麗に咲き乱れる結晶(クリスタル)が遥か西側数百キロまで広がる。



 古くからこの星に伝わる伝説に記される餬文書に綴られるが如く。



 "――旅人よ。メルゥーラの導きに己の運命を誘え信じよ、さすれば遠き日のランブータンの天から来たれし者から救われよう――"


 とあるように。神々しい類いが住み着いていると伝えられているのである。



 ある一部の人々は、この地に建てられた祭壇を中心に、アムール総てを司る神。"メルゥーラ"を利用し、訪れる者を襲っては、殺して様々な物を奪い取る罰当たりな、山賊の類も存在するのだが――



 更に、そこから数十キロ南には、国境を越える為には不可欠な人工的な施設は幾つも設置されているのではある。


 しかし、ここ数年前から勃発した戦争により、越えるにはかなり厳しい制限が下されており。 例え皇族か貴族であったとしてもやはり不可能なのである。




     ▲▽




 こじんまりとした空間に時折響く軋み音が耳に触る。断続的に回りを揺さ振る軽い振動を身体に拾い上げる。


 180度周りを囲む密閉式の空間に特徴のある天辺まで突き立てられた赤と金髪の髪が照らされる。

 常に日常茶万事のような仕草で鼻歌を鳴らし。

 軽い手付きで眼前に映り込むコンソールに人差し指をなぞってはか細い首を傾げる。

 狭い密閉式空間の中央に腰を下ろすひょうろうとした男は鈴を鳴らす。



「おひょ? この場所に迷い込む泥棒さん発見〜! 困るんだよなぁ〜。わっちに又々人殺しさせちゃ〜」



 右下付近のサブカメラモニターに映し出された獲物にペロリ――


 と、品性の無い舌なめずりを促しては、血走る眼光をギョロリとさせ…不適な笑みが自然と込み上げる。


「ん〜…6、7、8、むっふふ、わっちの好物の女まで! さて、お頭から頂いた"こいつ"をぶちこんだら一体どんな声で囀るかなぁ〜…焼き肉特盛りセットご案内ってね!」



 左右の操作板から伸びるマニュピュレーターに黒皮の両手袋ごしの手をギュッと握り治す。

 男が現在乗り込む機体と同色な、ドハデな燃え盛る朱色の服装。

 使いふるしたアンゲロイ製パイロットスーツ越しの上半身を乗り出す。

 片耳に付ける鈴を鳴らしながら、ガチャリと前方に、マニュピレータを力任せに倒し混む。



 瞬間的な程よいGを全身に感じながら、狂気にかられた男は久しぶりの獲物を前に、毎踊るのだ!



「さってと。わっちの殺戮ショウの開幕だぁぁ!」





   ▽▲




 一方、何の理由か定かでは無いが、遠回りな国境付近の施設からではなく。 ここ禁断の魔晶地帯をわざと抜けながら、魔晶を削っては強奪しようとする数名の集団の姿が映る。

 前方を歩きまわる護衛用の熟練された兵士達。

 その兵士の後を役数台の大型の馬車が、ガタゴトと無音の結晶に露骨な音を響かせゆっくりと突き進むのだ。



 何処かの商人なのか、時折吹き込む風に茶色のコートを揺らしては、周りで作業をする輩を一舐めする。 貧相の無い。自慢の長髭を油臭い指でなぞる。

 そして暑苦しい顔を不気味に歪めては真後ろにある荷台を気にしては内側から又不気味な笑みを溢す。



「しししっ――大量のこいつを餌に、わしはメリクリウス帝国側に寝返るのじゃ。こんな貧乏くせー街よりも、もっとよい生活を保障される。

 もっともこいつを売れば金は幾らでも入る。こいつで生計を立てもっと人を買い揃えれば」



 正に悪党のような、腹黒い笑みを浮かべる商人。 遥か上方にキラキラと月明かりに照らされる淡い紫の結晶を数名の部下と言うか。汚れた布地を引き摺りながらせっせと馬車の荷台に崩した魔晶の一部分をガチャリと豪快にほおり込む。



「おい…クリップ。禁断のこの地を汚す行為をすれば、この地の神、メルゥーラを信仰する組織。Mountain breeze(山麓なる涼風)の裁きを受けるんじゃ、」



「ジェイ。静かにしろ。そんな迷信なんかより、早くこの資材を運ばないと…又以前の人達みたいに殺られるぞ」



 ひっそりと、ある種の迷信に気にしながら会話を促す。

 この輩は商人に雇われた奴隷達なのか。

 疲れきった足取りの者。はたまた年鱧行かない少年や少女も交じる数名の人物。

 暑苦しい体型を弾ませながら腹黒い表情を浮かべる商人の目の前を行き来する。

 この一人の商人を数名の輩で張り倒すのは簡単な事だろうが。

 彼の周りにガチャリと重苦しい音を響かせる見張り役の武装した護衛兵士が睨みを効かしながら様子を伺うのだ。

 雇われの奴隷らしき人物達は、そんな迷信よりも目の前に仁王立ちをする護衛兵士の背中に掛けてある鋭い長槍の切っ先を気にしながら一つ、又一つと。

 露骨な荷台に、魔晶の欠片を持ち運んではほおり込むのだ。



「オラァッ! クソじじいっ、なぁにぼさっとしてるんだっ。いいから運べっ。ダビデ様はお急ぎだからなぁ!」



 突如、肉を叩きつける嫌な音と共に耳をつんざく罵声が飛び込んで来る。

 一人の疲れきった老人に向け、護衛兵の一人は、分厚い皮の鞭を容赦なく打ち込んでいるのである。



「くそっ…俺達をなんだと思ってるんだっ、もう我慢ならんっクリップ、俺はあのじいさん所行くぜっ」



「ジェイっ! 正気か? お前まで殺されるぞっ」



 目の前で起きている惨劇に絶えられず、その場を飛び出そうとした矢先。このジェイと名乗る青年は気がつけば7メートル上空に吹き飛ばされる。



「まさか――そんなぁ…」


 吹き飛ばされ、身体が重力に引っ張られ…地面に叩きつけられる瞬間眼前に差し迫るナニカに勢い良く引っ掛けられ危機一髪の所救われたのである。




    ▽▲




「――ポイント、A地点を追加した。これより…あのクリスチルが言っていたドマーニと言われる場所の隣国メリクリウスに侵入か」



「――だめ…康介。もっと速度を落として」



 一方。スコン郊外からこの季節に咲くと言われるある種の薬草を収拾する為にメリクリウス国境付近まで飛行する康介達。

 彼が操縦する後座に腰を下ろし、キラキラと月明かりに反射し、眼下に流れる魔晶を眺めるシルビアは、ふと何かしらの違和感に気付く。



「だから康介っ! もっとスピードを落とし?」



「って!? 高出力反応? マジかよ。ナイスシルビアっ! ステルス機能付きって奴が――味方?」



「んな訳きゃねーよなっ! アンゲロイの機体っ。先手必っ…勝ぉぉぉおおおっ!!」



 一瞬シルビアの感の良さに軽く舌なめずりを促しつつ康介は勢い良く操縦桿を乱雑に倒す。左右の操作板から伸びるマニュピレータを素早く掴み取る。



 途端に無重力にも似た感覚を押し殺し、相対速度から一気に減速。忽ち機体を中間形態に可変させるスピットファイア。



 軽くバレル起動を描きながら、左翼付近。下方十字方向に傾け勢い良く落下速度に以降し、容赦なく機体下部分から両翼に突き出した巨大なアームと火器管制用デバイスに接続。



 突き出した右アームが持つ牽制用30ミリバルカンポットが勢い良く火を吹きながら無数の薬筒が虚空にばらまかれる。



 粉々に砕けながら四方に飛び散る魔晶の破片を粉砕しながら朱色に染め上げる未確認機二機が落下する康介に向かい勢い良く飛び出し交差する。



「ちっ! あの起動力。同形の可変機かよっ」



 康介は、眼前の視界に豪快に爆散する魔晶に目を暗ませながら左右のマニュピレータを無理矢理引き戻す。

 機体中央付近から長く伸びた両足と連動するラダーを蹴飛ばしながら地面スレスレを時速420キロでホバリングをし、キャノピー後部を睨み付けながら交差した機体を上空に辞任する。



「あのアンゲロイの野郎。人型に合体しやがって、一機は遠隔操作かよっ」



「だから康介っ! ダメだって」



「シルビアっ。少し黙っててくれないか、今からあの野郎を撃ち落とすっから!」



「だから気付いて康介っ。私が言いたいのは人が! この飛行機に人が引っ掛かってるからっ」


 再びシルビアは今度はマニュピレータを握り、前席に腰を降ろす康介に乗り掛かるように必死に手を掴む。見知らぬ地帯で、いきなりの敵機との遭遇で頭に血が上っていたのか。

 一呼吸し、先程から機体のエアーインテークカバーに設置された装甲に異物感知用センサーが働き。警告音を鳴らしている事に気付くのだ。



「まさかっ、"その事"をさっきから言ってたのか?」


「……もう、少しは冷静になりなさい。この地を罪のない人を殺め、汚す者には裁きが下るから」



 逆に部外者である彼女に軽く痛い一事をいわれ、ふてくされながらも康介は、既に見えなくなった未確認機を諦め機体に引っ掛かる人物の人命救助に意識を切り替える。



 眼下に広がる荒れ果てた魔晶地帯を一舐め促しては、着地地点を右脇のコンソールに指を滑らせ手際よく探す。

 冷静になり、初めて目の前に広がる悲惨な惨劇に、自身の胃の奥からキリキリと痛む感覚を押し殺す。



 何の目的の為にやったのか。先程自身と交差した未確認機の仕業であろうか。 ナパーム弾により、絶え間なく燃え盛る炎の中に見え隠れする名も知らない複数の悲惨な黒焦げになり果てた亡骸が右側にあるコンソール越しの液晶画面に映し出されているのだ。



「ちっ。無差別かよっ」



 康介は、悲惨な惨劇を横目に軽く舌打ちをする。

 そして、数キロ先にある地点に機体を着地させる。 自身の機体に引っ掛かる、未だ息があるかも知れない人物の救助の為。シルビアと共に、機体外に降り立つのだ。



 シルビアは、既に月は消え失せ、東の空に並ぶ山脈を薄っすらとオレンジ色に染まり初めた空を仰いでいた。



 残る時間は、後僅か。果たして康介達は、スコンで帰りを待つとある少年の病を治す薬草を手に入れ、無事に帰還出来るのか。



 更に無理矢理だが、次回へ続くっ!


 〜後書きコーナー〜



康介「つーかこのコーナーも久しぶりだな。所でシルビア、んな場所で一体"ナニ"してるん?」



シルビア「……」



康介「お〜い。シルビアさん。こんな場所で」



シルビア「実験…だからあなたには関係ない……ふふふふふ」



康介「いや――"実験"ってまさか?」




   ▲▽




クリスチル「ふぅ〜…今日の依頼はちとハードだったぜ。まぁ、一っ風呂浴びて……あ?」



┌(┌ ^o^)┐「……」



クリスチル「…な……」



ホモォ〜…┌(┌^o^)┐ホモォ〜…



「――ひ!!?なんじゃこの宇宙生物はぁぁぁ」カチャリッ……パンッ! パパンッ!



「くっ…弾が効かねえっ! 来るなっ! やめっ//そこはっ!?……うぎゃぁぁぁぁ!」



    ▽▲




シルビア「まずは一人目。ふふふふふ」



康介「へww…クリスチルが謎の"モザイク"に(汗)」



シルビア「次回もよろしくっ」ビシッ☆

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