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大切なものを失った伯爵が奴隷のダークエルフ少女を買ったら、いつの間にか最強の領地になっていた……  作者: 積と和〝
第2章 王都防衛戦

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灰色の瞳の少女

本日2話目です。

王都の地下。


石造りの通路は湿っていて、暗闇に沈んでいた。

壁のあちこちには古びた魔法の紋章が刻まれ、淡い青白い光を微かに放っている。

水滴が天井から落ちる音が、静寂の中に孤独なリズムを刻む。


奥に進むと、そこは暗い研究室だった。

棚には様々な薬品が整然と並び、試験管や瓶の中で化学反応が小さな光を瞬かせる。

床には古い魔法陣が描かれ、その中心に魔力の波紋が広がっていた。


その奥に、一つの部屋があった。

扉は厚く、外の光は一切届かない。

部屋の中には少女が一人、椅子に座っていた。

目線は遠くをぼんやりと見つめ、まるで過去と未来の狭間を漂っているかのようだった。


少女の髪は淡い金色に光り、肩にかかるたびに柔らかく揺れる。

肌は白く、灰色の瞳は深い湖のように静かで、しかしどこか切なげに揺れ動いていた。


研究者は慎重に記録を書きつける。

「被験体C」

「魔力量安定」

「記憶は依然として不完全」


筆の音が部屋の静寂をわずかに切り裂く。

少女はふと小さく呟いた。

「……クリス」


その声は小鳥のさえずりのように儚く、しかし確かに研究室の冷たい空気に溶けて響いた。


研究者は振り向き、彼女を見下ろす。

「記憶か?」


少女は首を傾げ、言葉に迷いを浮かべる。

「わからない……でも」


胸に手を当て、ゆっくりと呼吸を整える。

「誰かが……待ってる気がする」


その瞬間、遠くで雷が鳴り、冷たい光が部屋の隅を一瞬だけ照らした。

壁に反射した光は、魔法陣の輪郭を鮮やかに浮かび上がらせる。

少女の灰色の瞳も、かすかに光を宿したように揺れた。


研究者の声は冷徹だ。

「ローゼン侯爵の計画が成功すれば、君は王国最強の魔導兵器になる」


少女は静かに、しかし胸に小さな動揺を抱えながら言葉を返す。

「……兵器?」


窓のない部屋の空気は重く、閉ざされた世界のように少女を包んでいた。

しかし、瞳の奥には一筋の光が宿り、無意識に未来の何かを探しているようだった。


その夜、遠く離れた屋敷。

アルフレッドは重厚な窓から外を見上げ、夜空を仰いでいた。

風が頬を撫で、遠雷の余韻が屋敷の壁に微かに響く。

彼の心は静かに、しかし確かに少女のことを思っていた。

「クリスティーナ……」


運命は少しずつ、静かに糸を結び始めている。


父と娘が再び出会う日が、すぐそこまで近づいている――。

夜にもう1話投稿します。

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