ここはどこわたしはだれ
彼は目覚めると人間になっていた。
ただし彼は記憶を思い出せなかった。
そう、まさしく、ここはどこ、わたしはだれの状態であった。
しかしながら彼は自分の姿に疑問を抱いていた。
自分が別の何かに生まれ変わったような不思議な感覚であった。
長い黒髪、藍色の目、昔はもっと違ったような気がする。
目が覚めた場所は部屋のような空間だった。
窓から差し込んでいる太陽の光とはまた違った
不思議な紫色の明かりが正八角形の石から漏れ出ていた。
寝台から降り、光の方へ近づくとその明かりの下には机があり、書物と手紙のようなものが置かれていた。
「これは…」
記憶はないのに文字は読めるようだった。
まず手紙は
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おはようございます。よく眠れましたでしょうか。
私はこの世界で死と再生を担当しておりますイディリシスと申します。この世界はあなたのいた世界とは違う場所になります。あなたの世界にいらっしゃった神のお願いでこちらの世界に転生することになりました。
記憶を残すか迷ったのですが記憶はいらないとの仰せで現在は記憶がない状態になっております。
何かの拍子に思い出すなんてことがあるかもしれませんが、すこしばかりの祝福とこの世界を学ぶための書物を置いておりますので
この部屋、空間から退出される際は書物をよく読んで学んでからにしていただけると嬉しいです。
退出後戻ってくるときはこの手紙をにぎって帰宅とつぶやいていただけると戻ることが可能です。
それと、その体の持ち主はかつて私に代々仕えた者の末裔でした。その子は末代の男児です。生まれながらに女としてこの家に匿われて育てられていました。どうか第2の人生を楽しいものにしてあげてください。
それではステータスとつぶやいてください。
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「ステータス…?」
すると青白い光が浮かびあがり、文字の形に変化する。
「これは…?」
そこにはいろいろな数字や文字が書かれていた。
ベルーナ・クラーク(男)
19歳
(レベル) 1
(体力) 100
(魔力) 100
(所持金)
金貨10枚
(スキル)
多言語理解
鑑定眼
修復
イディリシスの加護(状態異常無効・老化停止)
(適性)
月属性 火属性 木属性 無属性
刀 弓
これは、どういうことだろうか、
最初のは名前か。この体の持ち主はベルーナ・クラークというのか。
ベルーナは、名前で、クラークは苗字か?
外国の言葉のようだし、多分順番はそっちだろう。
…外国とは、どこの話かは思い出せないが…。
匿われてと書いてあったな。多分苗字は隠しておいた方がいいだろう。
この国ではどうか分からないが、自国は苗字のない人は過去にいた。苗字のある人間は貴族だったような、そんな気がする。
でも、レベルとか、魔力とか、スキルとかはよくわからない。
うーん、と首をひねって考えるがやっぱり理解できなかったので手紙を見返す。
諦めることも、人生には大切な時がありますし。
続きにはこう書かれていた。
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レベルは魔物と呼ばれる生き物を倒したり、魔法や体を使うことで上がります。
体力や魔力は0に近付くと眠気が押し寄せて眠ってしまうので注意です。0にならないように管理はきちんとおねがいしますね。魔力が100の場合はまあだいたい小さめの攻撃魔法10発分くらいでしょうか。
スキルや魔法はイメージが大切です。スキルや魔法を使いたいと思ったらそう念じたらできます。普段から自然とできている場合もあります。
魔術書や世界の仕組みに詳しく載っているのでよく読んでおいてください。
スキルはひとりひとり違うものを持っています。これは新たに獲得するのはかなりむずかしいです。様々なことに挑戦して研鑽を積んだり私たちのような存在から与えられる必要があります。
適性は変わりません。適性のないものはほとんど使えないですし、魔力や体力の消費が大きくなります。適性のあるものを伸ばすとよいでしょう。
お金と武器はは机の横においてある袋の中にはいっています。容量はあなたが2人分くらいだとおもってください。
食料は奥の部屋の保冷室にあるので調理して食べてください。
それではがんばってください。
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『歴史』『地理』『魔術書(上級編)』『世界のしくみ』
という本だった
「あれれ、上級編か」
まぁ、イメージが大切っていってたし、大丈夫かなぁ?
まずは世界のしくみからだな
それからその日は4つの本を読み切ることからはじめた。
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この世界は現在、3つの大陸から形成されているようだ。
今は東の大陸にいるらしい。
ダンジョンと呼ばれる魔物の迷宮があり、そこで魔物を倒してでてきた物や、宝箱からでてきたものを売ることでお金を稼ぐことができるようだ。ダンジョンは敵をすべて倒してもだいたい2日ごとに再度現れるようだ。
またダンジョン以外にも、街の外れでは魔物が出ることがよくあるらしい。
気になっていた適性は
日、月、火、水、木、風、土、無の8つの属性があるようだ。
今いる国の貨幣は
白金貨 大金貨 金貨 銀貨 銅貨 鉄貨があり、
単位はリン
1リン=鉄貨1枚
10リン=銅貨1枚
100リン=銀貨1枚
1000リン=金貨1枚
10000リン=大金貨1枚
100000リン=白金貨1枚ということだ。
つまり今所持金は金貨10枚だから10000リン持っているということだ。
地理には
今どこにいるのかがかかれたページがあった。
とても便利だ。
今はリサンドセム皇国のウォード村とロペス村と呼ばれる村の間にある森にいるようだ。
リサンドセム皇国…聞いた事のない場所。
「うぐっ…、な、頭が…」
一瞬激しい側頭部の痛みに苛まれる。
数秒経つとそれはおさまった。
一体、なんだったのだろうか。
ちなみに権力者の地位は
皇帝 公爵 侯爵 伯爵 子爵 男爵 となっているようだ。
歴史書によると今皇国では権力争いが勃発しているようであった。
魔術の本以外を読み終えたとき、ふと空腹感を覚え、なにもたべていなかったことを思い出す。
保冷室へ続くドアを開けるとふわりと冷たい空気を覚える。
「すごい、こんなに冷たい空気を保てるなんて」
さっきまでいた部屋との寒暖差に驚きつつ中へ入ると大きな肉塊や魚、野菜などがおいてあった。
「あ、まって、僕、これ、料理できるの????」
彼 改め ベルは料理のことも彼は全く覚えていなかった。
なんとなく、火を通して、食べるというのが頭にあるだけだった。
それはそのはず、前世で人の姿になった時料理はしたことがあれど、その記憶は今や皆無なのだから。




