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最強執事の主観察  作者: 黒白
「久遠」との交流会
11/12

最強な朱鷺


「襲撃!?」


いち早く反応したのは、馨。

珍しく、声を荒げた。


「は、はい!襲撃してきたのは、その…、」

「早く言えっ!」

「ひっ一人ですっ」


二度目の驚愕。



今や、全国No1の族になっている『久遠』に一人で攻めてくる奴なんて、よっぽどのバカか、手練れだろう。

前者か、後者か、おそらくここにいる全員分かっている。


もしただのバカなら、幹部にまで連絡来ない。下っ端たちで、片付けてくれる。

だから、今ここに和が来たということは、後者。

よっぽどの手練れだということだろう。


「おい!おまえら行くぞ!」

「はい!」

「「うん!!」」

「りょーかいっ!」

「ん。」


何とも個性的な被ることのない幹部の返事にアトリは苦笑しながらも、閉まりかけているドアをまた再び開き、外へかけ出た。






外に出ると、アトリたちは絶句した。

ありえない、目の前の状況に。


『久遠』には多くの傘下があるが、それを加えなくても500人はゆうに超える。

その全員が、地面に倒れている。

その中に、たたずむ一人の影。砂埃が舞い、よく姿が見えない。でも誰がいる、ということだけはわかる。

その周りだけ、空気が明らかに違ったからだ。


「…何者ですか、貴方は?」

「……。」

「なんで何も言わないのぉ?」

「……。」

「答えなさい!」

「……。」


しびれを切らした、馨と唯織が立っていた人に向かって襲い掛かった。

一見真逆なこの二人だが意外と息が合い、諜報員の馨だが二人だと十分アトリに匹敵する力になる。


駆け出した風で、少し砂埃が分散した。

その時見えた、人の顔。

それは、アトリが一番よく知っている顔。


「待て!馨!!唯織!!」


ほぼ無意識にアトリが、大声で馨と唯織に静止を掛けた。


ピタっ


ほんの数ミリ。ぎりぎりのところで止まった二人の拳は行き場を失った。


まるで、録画していたテレビを一時停止したようだった。

そしてその、ビデオを再生したのはアトリ。


「朱鷺、なのか?」

「…、はい。」


基本無表情か、にやりとした笑みしか浮かべていない総長がかすれた声で聞く名前。


幹部たちにとっては、初めて聞く名前だった。

だが、総長の知り合いだというのは一目瞭然。


「知、り…い?」


瑠偉が、控えめに聞いた。


「あ、あぁ…。それよりも、どうしてここに?」

「主。気付いておられないのですか?時間、厳守ですよ」

「「「「「主?!」」」」」


幹部たちが驚いているが、二人はスルー。

会話を続ける二人は、ある意味凄いといえる。


「門限は後20分後だろ?」

「何を言っているのですか?もう9時ですよ。」


そう言って、朱鷺はアトリに近づき腕時計を見せた。

その針が指し示すのは、9時。

朱鷺の時計は、電波時計のため間違いがない。

ということは、そういうこと。


「ほんとだ…。悪い、ここの時計がくるってた。」

「そうですか。なら、仕方がないですね。ですが、次はないですよ。」

「悪かった。」

「いえ、私の方もすみません。この人たちを気絶させてしまい…。怪我はしていないですよ。気絶させただけなので。」

「「え?え?ちょっと待ってー。話に追いついていけないんだけど。まず、この人だあれ?」」


このままいくと、何も言わずに帰りそうな雰囲気の中、双子が呼び止めた。

周りの幹部たちも、双子が代表して呼び止めてくれたことにほっとしているようだった。


「あぁ、こいつは俺の専属執事の暁朱鷺だ。俺が小2の時から世話になってる。」

「改めまして、暁朱鷺です。主がお世話になっています。」


朱鷺が胸元に手を添えながら、頭を下げた。

それはとても様になっていた。


「「そういえばそうだねー。服がなんか執事っぽくてかっこいい!!」」

「ば…しょ、服」


3人は、きらきらとした目で朱鷺を見る。


「ありがとうございます。」


なかなか純粋な尊敬の目で見られることがなかった朱鷺にとっては、とても照れ臭かった。

それと同時に、羽汰と羽美と瑠偉には好感が持てた。




「……あの…、」



弱弱しい声で、馨が朱鷺に声を掛けたら否や


「先ほどは申し訳ありませんでした。」

「ごめんなさい。」


唯織と同様、頭を下げた。

さっきまで威勢が良かった二人の背中は、とても小さく見えた。


「構いませんよ。仲間を守るための行動なのですから、ここは私が謝るべき立場です。申し訳ありませんでした」

「え、あ…いや」


予想外すぎるときの行動や言動に戸惑いが隠せない。

そこで、助け舟を出したのがアトリ。


「あー朱鷺。その辺にしてやれ。このままだと、謝罪だらけの会話になる。」

「それも…そうですね。承知いたしました」


朱鷺は、クスリと笑った。


「馨と唯織も、もうこのことは水に流して忘れろ。いいな?」

「はい…。」

「はぁ~い」


馨は、少々強引な結末に納得いっていないようだったが、あえてそこはスルーをするのがアトリである。



「主。私に彼らのことを紹介してくれないのですか?」

「画面上の情報よりも、主の口からどのような人たちなのか知りたいのです。」

「あ、ああ。」


アトリにとって朱鷺に人を紹介するという行為は新鮮なことだった。悔しいところだが朱鷺は常にアトリの1歩2歩先を読み通すため不必要な行為だったからだ。


「あ、じゃあ朱鷺を殴ろうとした黒髪のやつが相良馨で、金髪のほうは源唯織。」

「もうちょっといい紹介の仕方してよぉ」

「そうですよ。」


「次は、そこの双子は右が兄の朝霧羽汰で、左が弟の羽美だ。茶髪のやつは一宮瑠偉だ。」

「ん……。」

「「どーも!じゃあねー定番のどっちでしょうゲームねー」」


双子のどっちでしょうゲームと聞いた瞬間、周りの朱鷺以外がため息をついた。


「僕が羽汰!!」

「僕が羽美!」

「「後ろ向いててねー」」


朱鷺は、薄く微笑み後ろを向いた。


「「もーいーよー」」

「どっちが」

「羽汰でしょー?」


一見全く見分け方がわからないが、朱鷺にとってはこんなもの


「簡単ですよ。右が羽汰様で左が羽美様でしょう?」

「「す、すごーい!!」」

「せーかいだよ!」

「きぃって呼んでもいい?」

「構いませんよ。」


アトリは、さも当たって当然という風だが、他の者はとても驚いていた。

双子と、朱鷺の間で絆を育んでいる間も時間は過ぎていく。


「すみません、羽汰さん、羽美さん。もうそろそろ時間が迫っていますので…。」

「「えぇ~?もう帰っちゃうのー?」」

「さみ、し」


朱鷺たちが帰ることに異議を唱えたのが、三人。

朱鷺は、ニコニコ笑う顔の下で瑠偉のことを密かに愛でていた。


「また、会いましょう?」

「いい、の?」

「はい。」

「じゃ…あ、た」

「明日、ですか…」


朱鷺は、瞬時に脳内スケジュール等を開いた。

明日は、生徒会の仕事があるっちゃあるんだけどまぁ急げば、間に合うな。

主はいつも6時30分には出ているからそれぐらいか。

余裕で、いける。


「構いませんよ。主が良ければ」


執事にとっての最優先は主。

最終的な、決断は主に。


視線がすべて、アトリに集まる。


じぃ――――――――――――――――――――……。


「別に、いい」


その視線にいたたまれなくなったアトリは、そっぽを向きながら了承した。

朱鷺は、心中でガッツポーズ。


「では、皆さん。また明日、ですね」

「はい!」

「待ってるねぇ~」

「「ばいばーい」」

「、た……あし…た」


幹部たちに見送られながら、アトリと朱鷺は帰宅した。










アトリたちが帰ったあと


「ねぇ、下っ端たち、どぉする~?」


幹部たちは、気絶している下っ端の処理に悩みこんでいたとさ。





久しぶりの投稿。疲れました…。

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