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媛西電車  作者: Hankyu3058
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㉔金閣寺前/立命館大学前電停「京都って人多いなぁ…」

㉔金閣寺前電停/立命館大学前電停

「みてあれ. バス停に並ぶ人の数.」

「あ~,覚えている. 全然バスに乗れないんだよ.」

「やっぱり渋滞も起きない伊予鉄はいいね~」

「いや混むのは一緒でしょ. ところで,ずっと気になってたんだけど…

綾奈と桜の言う伊予鉄って路面電車って言う意味だよね…」

美波の言葉に3人で首をかしげる.

「あ,別にどうでもいい事なんだけど,綾奈がこっちに来ても伊予鉄伊予鉄っていうから

変だな~と思ってて,伊予鉄と媛鉄,固有名詞は代名詞として使わないでほしいというか…」

んー. さすが美波. たしかに路面電車とか聞いたことあるな.

鉄子ってこういうものなんかな?

「あ~. ごめん変なこといって」

「いや,いいって! 綾にとって伊予鉄=市内電車=路面電車だから!」

みんなで笑ってこの話は終わった.

でもすごい人の量.

こんなに熱い中. 金閣寺の券売機の前には行列が.

「ねぇ. むかしって窓口で人から買ってなかったけ?」

「そんな気もするねぇ」

その今からお寺に入るという感じが修学旅行のときほど

感じなくなっているのはその券売機のせいだろうか.

まるで客の多い無人駅みたいだ.

行列につかれきってようやく入ったものの

背の低い綾は人ごみの後ろから金色の寺が見えない

鳳凰がなんとか見える程度だ.

「桜川だけずるい~」

「そんなこといわれても…」

「スキマを縫って前のほうに行ったら?」

「中学生ならやったけどもう大学生.」

写真撮影のすんだ外国人集団が去った跡地にすばやく入り込んで

ようやく金閣寺が見れた.

とりあえずスマホで写真を撮る.

撮影手段のない桜川は美波に撮ってもらっている.

桜は?固まって金閣寺を見ている. もしかして…感動しとる!?

なんとなく目が輝いとるような

記念で4人で撮りたかったけど自撮棒もつかえないぐらい混んでいるし…

っていうか気付いたら人波に流されてバラバラになっていた!

券売機に並ぶわ,見るのに並ぶわ,出口に並ぶわ,どれだけ並べばいいの!

大変なお寺だ.

茶店にも人が…しかも,ここで売ってるアイスクリーム,非常に高い.高すぎる.

ぼったくりにもほどがある.

「あれ1階部分はなんで金色にしなかったんだろうね」

「お金かかるからでしょ」

「そんな理由が弥生?平安?なんかそんな時代にある?」

「桜ちゃん. 時代がやばいよ室町時代.」

「あ,そんなんだった気がする. それよりそんな理由ある?」

時代考証を吹っ飛ばした…

「金閣寺って確か一度燃えているでしょ」

「ファンが多すぎて?」

「アホですか? 燃えるって行ってるでしょ火災」

「へぇ.こんなすばらしいものが燃えるんだ.ガスコンロでもあるんかな」

「桜川もアホだよな…」

「綾奈に言われたくない気もするけどなぁ」

「何それ」

「うそだってごめんごめん」

思いがけず歴史ネタで盛り上がってしまった.

「それにしても金閣寺の拝観料高くない?」

「高いね. 京都に来たからって浮かれてあちこち回ってたら大変なことになるよ!」

そういいながら土産物を探して金閣寺から右に行く道を進む.

いろんなお店があったけど…

結局いいものが見つからず4人とも何も買わなかった.

「どれもありきたりだよね~」

「中学生のとき無駄遣いした記憶がある」

すると目の前を桃色と白の電車が横切った

あれは媛鉄?

ここからも媛鉄にのれるんだ.

と,目の前に学校らしきものが見える.

「立命館大学だって」

「おい… 関関同立の”立”ってこと?」

「だね.」

「愛媛大学とどっちが上だろう…」

「愛大でしょう. でもこっち私立の上位だよね」

「愛媛県民だから地元魂をここで出す.」

「あ,納得.」

そういいながら大学の中の電停から伊予鉄…じゃなくて路面電車に乗った

「2人とも路面電車って覚えた?」

ジャストタイミングで美波が突っ込んできた

もう伊予鉄=路面電車だから.

美波はそんなこと言ったけど嬉しそう.

「美波.なんかいいことあったの?やけに嬉しそうだけど.」

「もうすぐ媛鉄完全乗車が成し遂げられるから」

「完全乗車? どういう意味? What do you mean?」

「5日前に本線と今治線乗ったでしょ?」

「そして今日.西京線と京都線に乗るでしょう? すると媛鉄で乗っていないのは舞姫線だけになるんよ. 舞姫線だったら神戸からも近いし実現可能だし.たった5日でここま…」

3人とも美波が何言っているのか未だに理解できていない.

美波の電車好きは理解できても美波の口から出る路線名やワードが意味不明.

っと電車が動き出した.

この伊予鉄…じゃなくて路面電車なに?

びっくりしたのは片側1車線の狭い道路をバスのように走ること.

線路が本当に道…車と本当に同じように走るから…

だから前のバスがバス停で止まったら電車も止まるし

この電車が電停に止まれば後ろの車が止まるし…

こんな現象は伊予鉄でも見たことがない.

むしろここで今はじめて見た.

なんか天神の名前がついた交差点を曲がれば普通の路面電車に元通り

車道と車道の真ん中を走る.

そういえばさっき普通に路面電車って思ったな

美波に洗脳されかけている!?

「伊予鉄はいつも見ているし,電車にコレといったものがないから今は超暇」

「前面展望楽しみなよ. 京都の町並み覚えときな」

そうはいっても京都らしい町並みは通らない.

大して松山と変わらないじゃん.

電車も車も多くて,歩いている人は少ない

しかもビルもバンバンあるし.

交差点なんて大街道よりは小さいけど複雑.

だから見る価値はない気がする.

そんな電車は右に急カーブして地下に潜った.

そしてすぐに普通の電車に乗り換えられる.

「もう京都はしばらく来ないだろうね.」

「でも全く観光していないからもっと見たかったな」

「たとえば?」

「神社とかお寺とか」

「具体的なものは全くないの?」

「ない.」

桜ちゃんはくっきりとしている…

日はまだ高く上っているが時間的にはもう夕方.

4人とも結構動いたので疲れたのかいつの間にか寝ていた.

綾は電車の中で何の夢を見ていたんだろう…

まだ西宮についていないのに桜川にたたき起こされた

「痛いな~. もうちょっと優しく起こしてよ」

「いや起きなかったから. 乗り換えるよ~」

「なんで?」

「いや. この電車,梅田(ココ)止まりだから.」

「へぇ~. 12万円出すからこのまま西宮行ってくれないかな~」

「そんなんに12万使わないの! もったいない.」

見慣れない駅を美波先頭に歩いていった.

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