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絶望の仮想世界  作者: ぷらずま
第1部
20/22

空白の異次元

----

目が覚めると、そこは私以外は全て真っ白な、白1色の場所。

空は無い。地平線も無い。地面の存在すら怪しい謎の空間。

そんな場所に、私一人。

そして、足元に1つの真っ白な小さな箱。

なんでこんな場所にいるのかは分からない。

「…………」

とりあえず、箱を開けてみる。

その中には両手で持つことができる程度の大きさの、女の子の人形が入っていた。

でも顔が描かれていない、どこか不気味な人形。

人形を手にした直後、何か色のついた物が視界に入る。

さっきまで何も無かった場所に、ハンマー、ノコギリ、金属の針……等がある。

その付近に『人形を壊せ』の文字。

人形を壊す……?

バラバラにしろとでも言うのだろうか……。

ノコギリなんて使わなくても、こんな腕の細い人形……。

ぶちっ

鈍い音を立てて、左腕を引きちぎる。

引きちぎっても、それは普通の人形だった。

中には綿が詰まっていて、引きちぎった肩と腕から少し綿がはみ出している。

こんな人形を壊したところで、何になるんだろう……。

そう思いつつも、壊せばこの場合から出られるのであればと思い、鋏で両足を切断したり。

胴体に針を刺し串刺しにしたり。

はたまた磔にしたり。

そして、ある程度ボロボロにすると、『ゴミはゴミ箱へ』の文字と共に小さなゴミ箱があることに気付く。

人形をゴミ箱へいれる。

出口があるかどうか周りを見渡すと、さっき開けて放置したはずの小さな箱の蓋が、閉まっていたことに気付いた。

その蓋を開けると……さっきゴミ箱にいれたはずの壊した人形が、再び箱の中に入っていた。

ゴミ箱の中を覗いても、特に変わったことはない。

気味悪さを覚えながらも、人形を壊せの文字に従って、また壊していく。

そして、ある程度人形を壊したらまたゴミ箱にいれる……それを繰り返していった。



ーーーー

5つめの人形を串刺しにし、ライターで火をつけ、それをゴミ箱に放り入れた直後。

そこにあったゴミ箱、人形を壊すのに使っていた道具が消えた。

そして、私の身体が動かなくなった。

頭だけは動かせるが、首から下が動かせない。

そんな状態で辺りを見回す。

道具の付近に書いてあった文字も消え、文字通り私以外に何も無い。


「っぅ!?」

直後、左腕に痛みが走る。

強い力で引っ張られる感覚。

そして間もなく……

ぶぢぃっ

「い゛っ……あああああああああ!!」

左腕が"引きちぎられた"。

真っ白な地面を、鮮血が赤く染める。

意味もなく左肩を押さえようと右手を動かそうとしたが、それも許されず。

その直後、見えない刃物のような物で両足が太股から切断された。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…………っ!!」

激痛で叫ぶが、間髪入れずに何処から出現した槍が私の身体を腹部から貫いた。

「……ごぶっ……げぼっ…………」

血を口から吐き、白かった空間をさらに赤く染め上げる。

ざくっ ぶしゅっ

「………………げほっ……」

右手の掌にも、お腹に刺さっているのと同じような槍が突き刺さった。

「…………」

そして、私の意識は闇に落ちた……。



ーーーー

目が覚めると、そこはさっきまでいたと思われる真っ白な空間だった。

さっき起こった出来事は、鮮明に記憶に残っている。

腕を引き千切られ、脚を切断され、身体を槍で貫かれる……。

その傷と痛みが夢であるかのように、今の私には傷一つ無いし、身体の痛みもどこにもない。

ただ、私に傷をつけたその方法がな

「…………え」

ドスッという鈍い音と共に、身体がびくんと震える。

「……が……はっ…………」

口から血を吐き、同時に言葉にならない激痛が全身に走る。

さっき私の身体を貫いたものより一回り小さい槍が、私の腹部に刺さっている。

ドスドスドスドスドス

「あ゛…………がっ…………」

直後、それと同じような槍が何本も虚空から現れ、私の腹部を貫いた。

槍が空中に浮き、私は直立した状態で貫かれた為、両足は地面に立ち、その脚を伝ってお腹から流れ出た大量の血が、私の足元に血溜まりを作っていた。

普通であれば死んでいるようなこの状況でも、何故か私の意識はまだはっきりとしていた。

意識が吹き飛びそうな激痛が身体を巡り、今にでも頭がおかしくなりそうだ。

ぐい    ドスドスっ

「っ……あ゛っ……い゛っっ…………」

だらんとぶら下げていた両腕が不意に持ち上げられ、両の掌を槍が貫く。

その格好は磔のようになった。

掌が熱い。

動かすことはできないが、痛みだけは変わらず蝕んでくる。

もう楽になりたい。

なんで、致命傷なんていうレベルを超え

「……………………」

ザクッ

…………。

肩で辛うじて息をし、大きく開けていた口に最後の槍が突き刺さった。

痛みと呼べるかどうかすら怪しい、味わったことの無い感覚を覚え、私の意識は再び闇に落ちる。



----

「…………はっ」

気付けば、さっきまでいた部屋とまた同じ部屋。

そしてやはり、息絶えた記憶は残っている。

傷は無い、痛みも無い。

さっき戻ってきた時と同じ状況。

あと、引っかかることがあった。

1回目は腕を引き千切られ、脚を切断され、身体を槍で貫かれる……。

2回目は、何本もの槍で身体を貫かれる。

これは、私がさっきまでいじくっていた1個目と2個目の人形にしたことを、そっくりそのまま私が味わったということ。

そして、3個目の人形に私がしたことは…………。

「うっ!?」

突然、見えない力で身体に強い締め付けがかかる。

巨人に掴まれ、握り潰されるようだ…………。

「あ……あ゛…………」

ギリギリ、ミシミシと身体から嫌な音がする。

そして……

ベギッボキッメギッバリバリバリ

「か……はっ………………」

全身の骨が砕け散る音が響いた。

直後、締め付ける力が無くなり、私は仰向けに床に落とされた。

「ゲボッ…………」

血を吐く。

血を吐いてびくんと震えただけで、全身が痛い。

熱湯の中にでも入ったかのように、全身が熱い。

意識がはっきりしているのに、身体が全く動かせない。

なのに、死なない。

その理由にはもう気付いていた。

やることを全てやらないと死ねないのだろう。

その時、白一面だった天井から、真っ黒く丸い模様が浮き出てきた。

最初は小さな丸が時間が経つにつれ、大きくなってくる。

そして、明るかった部屋も薄暗くなってくる。

丸い模様が、近づいて来ている。

しかしそれは、ただの模様ではなかった。

その丸い模様の正体が、どす黒く巨大な槌であるということに気付いたのは、私がそれに押しつぶされる直前だった。



----

次はすぐに終わるはずだ。

起きてすぐに、両脇に巨大な壁が現れる。

何かを思う前に、その壁は高速で動き、私を押しつぶす。

その壁は押しつぶして肉塊になった私をすり潰し、その肉隗をミンチにした。



----

…………だろう。

私が5体の人形にしたことがそのまま私の身体に返ってくる。

それがこの部屋の仕組み……のはずだ。

これで5回目。

これが終われば、この空間から解放される……はず。

でも…………。

今までと同じように、突然槍が私の足元から現れる。

「がっ……!………………はっ……」

それは、私の身体を縦に、頭の先まで貫いた。

首と同じくらいの太さの槍は、胴体と頭を分断させる。

細い首がその衝撃に耐えられる訳が無かった。

「…………………………」

身体はもちろん動かせないし、声を発することもできない。

それでもまだ、生きていた。

全てが終わるまで私が死ぬことは無い。

でも、その全てが、もうすぐ終わろうとしていた。

直後、部屋の中で爆発が起き、辺りは火の渦に包まれる。

火の熱波と、鉄製の槍が温められ、外と内側から私の身体が焦がされる。


やがてその身体は原型を留めない程黒く焦げ、灰と成り果てる。

その最後まで、莉奈は意識を持ち続けた。

1年以上も放置し、更新が遅くなって本当にすいません!!

お久しぶりです……


気付いて読んでくださった方は本当にありがとうございます。


で、もう一つ謝らなくてはいけないことがあるのですが、あまりにも放置しすぎて設定を忘れてしまったり、これ以上ぐだぐだ続けていても完結が遠のいてしまうと思ったので、本当はもっと長く書くつもりでしたが、この話を含めて残り3話でこの小説を完結とさせていただきます。

これだけ放置していて言うことではないですが……もし、楽しみにしてくださる方がいましたら、本当に申し訳ありません。

僕自身も勢いで書き始めたこの小説をこれだけ書けたこと自体びっくりしてますし、これ以上続けても仕方ないと思ったので……。

別の作品に関しても書きたいとは思っているのですが、アイデアばかりで形にできるようなものに至っていないため、そちらの作品化も正直怪しいです。


色々話が逸れてしまった…

もし、思い出して読んでくださる方がいらっしゃいましたら、本当にありがとうございます!!

あと2話で完結となりますが、そちらも読んでくださると幸いです。

次話は1週間後の7/20 0:00きっかりに投稿したいと考えています。

よろしくお願いします。

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