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絶望の仮想世界  作者: ぷらずま
第1部
14/22

最悪の肉塊(挿絵あり)

――

「……げほっ…!ぇ゛ほっ…!」

目が覚めた瞬間、咳き込んだ。

体に異常はない。

でも…痛みを感じる。

向こうの世界とこっちで痛覚が繋がっているの…?

「……ん?」

違和感を感じる。

体の横に、重みが…

「…すぅ……」

「玲奈……」

私によりかかり、玲奈が可愛い寝息をたてながら寝ていた。

「あれ…?」

なにか引っ掛かる。

でもそのなにかの正体が、分からない。

そもそも、なにかが引っ掛っていること自体、曖昧な感じが…

「んぁ……おねーちゃん…?」

「あ…」

玲奈を起こしてしまった。

いきなり体を起こして、大きく咳き込めば起きてしまうだろう。

「……おねーちゃん、大丈夫?」

………え?

「眠たいの?具合悪いの?」

「えっ…あっ…う、ううん、大丈夫だよ」

「…本当に?」

「最近学校でテストたくさんあったから、疲れちゃっただけだよ」

………

「…なら、いいけど。なんか、寝るの早いなーって」

……っ。

やっぱり、あのあと玲奈に見られてた…

「だ、大丈夫だって。もうお姉ちゃん元気だし」

「………」

うっ…

じーっ、と玲奈に見つめられる。

なんでこの子はこんなに感がいいんだろう…

話をそらさないと…

「…里菜ちゃんはもうずっと寝てるんだよ。ほんとに、何しに来たんっ……」

ずきずきと、例の痛み。

また、むこうに…

「え?里菜さんなら、さっき起き……」

「うあ゛っ」

少し玲奈の声を聞いた直後、不意に堪えきれない痛みが私の頭を襲った。

「痛………た……」

「え?おねーちゃん?どうしたの!?」

マズイ…

タイミングが悪すぎる。

いくらなんでも玲奈に不信に思われちゃうだろう。

特定はされなくても、何かおかしいことには気づいてしまうはず。

「…………」

何も考えずに、隣にいる玲奈をぎゅっと抱きしめた。

「…?おねーちゃん…?」

そのまま横になり、また、意識は深い闇へ落ちていった。


「……?また寝ちゃった。…ふぁぁ……私も…」


―――

慣れたような、慣れないような、気分が優れない状態で、私はまたこっちに来る。

「はぁ…」

憂鬱になる。

また、友達の誰かの死を間近に見て、最終的に私も殺される。

それか、散々痛め付けられた挙げ句、死ぬ。

どっちにしろ、私は…


「……あれ? どこだろう、ここ」


………………

「………え?」

聞きなれた声。

その方向に恐る恐る目を向ける。

「えーと…… あ、お姉ちゃん!」

なんで…

「玲奈がここに……」

まさか。

「あれ?お姉ちゃん寝てなかったっけ?っていうか、あれ?ここどこ?お部屋にいたよね?」

玲奈が何か言っている。

でも、全くその言葉は耳に入ってこなかった。

絶望した。

いや、まだしていない。

でも、いずれするだろう。

玲奈がここにいる。

まさか、次の、私が、死を見届ける人は…………

「お姉ちゃん?お姉ちゃーん。おーい?」

「……え、あっ…。ど、どうしたの?」

「えー、それは私の言葉だよ~。それより、ここどこ?」

ここは…

っていうか、その前に。

なんでここに玲奈がいるの?

私自身は、最初は頭にアレを着けて、それ以降は何かしらの要因でこっちにきているとなんとなく想定できる。

でも、玲奈は何故…?

「お姉ちゃん?」

「……え?」

「もー、またぼーっとしてー。なんかおかしいよ?」

「う、ううん、大丈夫… ちょっと疲れてるだけ、ってさっき言ったでしょ」

「…ほんとーかなぁ…?」

「………」

「ほら、黙っちゃって……どうしたの?お姉ちゃん」

玲奈はいつも通り、妙にするどい観察力で私の内心を貫く。

「……だから、なんでもないって…」

とにかく、どうにかして元の世界に戻さないと…

私は玲奈の手をさりげなく繋ぎ、前友達を元の世界に戻せた時のように、念じていた。

しかし、その様子は全くない。

どうすれば…

そもそも、元の世界に戻る方法は他にないのだろうか?

私が念じて戻せたことは少ないし、それ以外で戻れたのは……

「……? お姉ちゃん…なんか、血の臭いがする…」

「え…?」

玲奈が周りをきょろきょろしながら、不意にそんなことを言い出した。

気付けば、私達がいるのは、私が初めて友達の死を目の当たりにした場所…

雪ちゃんが射殺された場所の近くだった。

左には、光の届かないあの森が広がっている。

「うぇっ………ひっ!」

「…玲奈?」

「お、お姉ちゃん……なんか……変なのが………」

玲奈が血の臭いに顔をしかめた直後、表情を戦慄に染める。

その目線の先には、

「なっ…」

私を射殺した、人ではない、人のような奇妙な形をしたそれが、木に寄りかかっていた。

全身を、真っ赤な血で染めて。

森の入り口に近い木に寄りかかっているので、容易に視認できる。

そして、あれの足元に、何かが転がっている。

よく見えないけど、赤く染まった………

「…なっ…なんだろう、あれ… 下に人みたいなのがあるし…」

人みたいなの、という表現はそれが赤いからだろう。

まさかそれが、血で染まった人の死体だなんて、玲奈は欠片も思わないだろう。

「………」

「!? 玲奈っ!」

「えっ…?」

ふらふらと、私の手を離してそっちに歩き始めようとした玲奈を、再び手を握り呼び止める。

「…痛い…お姉ちゃん…」

「! あ、ご、ごめん…」

ちょっと強く握りすぎた…

「ど、どうしたのお姉ちゃん…」

「あ…えと、ダメ」

「え?」

「ここから、絶対に、動いちゃダメ」

「え… でも、あそこになんか…」

「私が、見てくるから。玲奈は絶対にここから動いちゃダメ」

「う、うん、分かった…」

強くそう言い、留まらせる。

「っ……」

………はぁ。

つい私が見てくるって言っちゃったけど…

足が重い。

だって、あそこにあるのは、私を殺したやつと………

1歩1歩、慎重にそこに向かう。

血の臭いが濃い。

私は最近この臭いを何回嗅いでいるんだろう…

何度嗅いでも慣れない臭いに顔を歪め、はっきりと下を覗ける位置まで来る。

私のことを殺したそれが動く気配はなかった。

前はなんか…オーラというか、対象に恐怖を感じさせるような雰囲気を纏っていたけど、今はそんな感じはしない。

そして…

「…………………」

そいつの足元には、私がいた。

具体的に言えば、血で赤く染まった私の死体。

気が滅入る。

分かってはいたけど、もう嫌だ…

私が前撃たれたのは足と頭の2発だけだったと思うけど、体の至るところに穴が空いていて血が噴き出している。

もうあまり出ていないけど。

あのあと更に銃弾を撃ち込まれ、ここまで運ばれてきた…のかな。

……何故?

分からない。

………はぁ…

とにかく、何があったかは分かったわけだし、もう戻ろう…

見たくない…

そう思い、体を玲奈の方に向け、玲奈を見た。

玲奈は、大人しく三角座りをして空を眺めていた。

その、後ろ。


大きな鉄槌を持った巨人が、玲奈の後ろに立っている。


挿絵(By みてみん)


「!!! 玲奈!!」

「…… あ、お姉ちゃん。何があったの?」

私の声に気付き、こちらを見る玲奈。

「後ろ! 上!!」

声は出るが、足が前に出ない。

自分の足が、震えていた。

「……!」

「え?後ろ…?上?」

そう言って、首をぐいっと反らし、空を見る。

「? どしたの?」

「………え…?」

しかし玲奈は特に何も無いように、きょとんと私の方を向いた。

見えて……ない…?

その時、巨人が鉄槌を大きく振りかぶった。

「……!玲奈!逃げて!!」

「?どうしたのお姉ちゃん」

くっ……

玲奈には、背後にいる巨人は見えてない。

なんで…?

「いいから!早く!」

巨人が鉄槌を降り下ろす。

震えている足を無理矢理前に進ませる。

「玲奈!!」

「あれ、お姉ちゃんなんか走り方おかしくない?」


ぱきゃ


「………………………!!」

刹那を何十倍にも引き伸ばしたかのような時間がすぎる。

...ように感じた。

べちゃ、と、グロテスクなものが私の目の前に落ちる。

「……は…………ぁ………………」

巨人が鉄槌を持ち上げ、後ろを向いた。

鉄槌が落とされた場所には、プレスされた肉の塊が

「ああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

散らばっていた。

「玲奈ああああああ!!!!」

絶叫する。

巨人は私には目をくれずに、去っていった。

なんで……こんな……っ

「…ぅ…あぁぁ………玲奈ぁ…」

ゆっくりと、鉄槌が降り下ろされた場所に向かう。

足取りはとてつもなく重く、そこまで遠くはないのに、時が永久に感じられる。

「……玲奈………っ」

そこに妹の死体はない。

潰された肉塊が、周囲に散らばっているだけ。

「…うっ……なんで…」

もう......

訳が分からない...

絶対に……復讐してやる…

玲奈と、今までに死んでいった友達。

仇を、討ってやる…

……………

………


おかしいな、この全ての原因はバグみたいなものなのに。

なんでか、黒幕がいるように感じてくる。

でも、敵がなんにせよ、私がこの手で、終わらせてみせる。

この、悪夢を……


――

「…………」

いつの間にか、寝てしまっていた。

顔は涙の渇いた跡でかぴかぴになって、疲労からか身体を動かすのが怠い。

そして、付近から漂ってくる血の匂い。

ふらふらと、重い体を持ち上げて森の反対側を見据える。

その方向にはかつて私が、訳もわからず拷問された町がある。

はるか遠くにぽつんと見えるだけで、その町以外に見当たるものはない。

全くもって行く気にはならない。

また、同じような目に遭うのは分かってる。

先に進むためには、あの場所に行かなくちゃ......

でも......

.........ダメだ。

やっぱり、行きたくない...

いつもいつも、前に進むたびに苦しい思いをしてきた。

じゃあ、もう、ずっと動かなければ...

疲れて、お腹が空いて、自然に眠るように死んでしまえば苦もなく現実に戻れるんじゃないか...

絶望の淵に立たされ、疲労しきってる身体と頭がそういう結論を出した。

そうすれば、あの嫌な町に行かずとも元の世界に戻れる。

絶望のループを終わらせるためにはあそこに行かなくちゃならないのかもしれない。

でも...

もう...疲れた...

今は、ゆっくり休んで...

休んで...どうしたいんだろう。

....................

もういいや、考えるのも疲れた。

さっき寝たばかりなのに、なんか眠くなってきたし...

ずっと、ここにいれば、何も苦しいことはないよね...

玲奈...ごめんね、少しだけでも、怖い思いをさせちゃって...

もうきっと......大丈夫だから......

「.........寝よう...」


――――

遅れてほんっと申し訳ありません・・・!


6月に上げる、7月にあげると言っといてこの結果です。

本当すいません。


夏休み中に終わるのだろうか・・・


終わらせなくては・・・

受験勉強とかしてられません。

続き書きます。


受験勉強とか辛いですやってらんないです。



追記:8/24

挿絵を頂きました!

ついったー:@hoshii_765 さんより

リア友です!

ありがとう!

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