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絶望の仮想世界  作者: ぷらずま
第1部
11/22

串刺し

いや、ほんとすいません毎度。


春休みは暇だったけど新学期は忙しくてつい・・・

まぁモチベの問題ですね、すでに。


えーと、この話の後半は自分でもあんま気に入ってません。

ってかなんかおかしいっていうか・・・

とにかくそんな感じです。すいません。


これからもおそらくこんな感じですが、読んでくださる方は気長に待っていてください。

いや、すいませんほんと。

これ書いてる途中でこれあとがきにしたほうがいいんじゃないかとか思ってますがすいませんほんと。

完結だけは絶対にしますんで、ゆっくりしてくださればと思います。

すいません。

――

「……これ?」

「うん、これ。 なんかすごいでしょ!」

「う、うん…」

私達は、羅夢ちゃんが見つけたという床に空いた大きな穴のところに来ていた。

その穴は床にぽっかりと空いていて、中は真っ暗だった。

まるで、何かが落ちたような…

「………」

「……? 憐ちゃんどうしたの?」

「なんか、違和感感じる」

「違和感?」

「うん。 …何がどうなんだかは分からないけどね」

「そ、そっか…」

違和感。

確かに感じる。

なんか、場所的に…

「それよりさ、次どうしよっか! 流石にこの穴に入るわけにはいかないし」

「そうだね… それよりも、ここ、広いね… 他には何かないのかな…」

「うーんとね、さっき私が見たときは特に何も無かったかなー? それより、とても広かった」

「…だよね。 軽く見るくらいじゃ無理だよね…」

私がそう言ったとき。

「…!? ちょ、」

「!? 憐ちゃん!」

穴を覗いていた憐ちゃんが、突然下に落ちた。

その様子は、普通に足を滑らせて落ちたんじゃない。

何かに、引っ張られるように…

「…ッ! あ、しまっ…」

「………え?」

落ちた憐ちゃんを助けようと、羅夢ちゃんが沈んだ手を取る。

しかし、助けも虚しく一緒に下に落ちてしまった。

「…羅夢ちゃん… 憐ちゃん…?」

私は、呆然と見てるしかなかった。

足が動かない。

「…た、助けなきゃ…」

二人を助けるには、少なくとも私も入らなきゃいけない。

ロープを吊るして届く深さじゃないと思う。

怖い。

自然と、足が後ずさる。

しかし…


…ドンッ


背中に、手の感覚。

「…!? きゃ、あ、ああああああ!」

体が、前に押し出される。

後ろに… 誰かいる…!?

慣性に従いながらも、まだ地面の上に足があるうちに必死に体を捻る。

「…っ… え……?」

そのまま体は下に落ちていく。

その前に見えた、後ろの人物。

その人は、私が急に体を捻ったのにビックリしたのか、腕で顔を隠す。

でも、見えた。

肩に乗っかっている程の長さの髪。

一番見慣れた顔。

私が今、一番探している人。

「………里菜…ちゃん……?」


――

ぶにゅっ

「……っ ……何、これ?」

柔らかい。

なんかねばねばしてる。

かなり落ちたはずだけど、これのお陰でなんとか助かった。

それよりも…

「なんで…里菜ちゃんがあんなところに…?」

この世界に来ているのだから、全く不自然な訳じゃない。

けれど…

「なんで私を……」

落とされる直前に見た、腕に隠される前の驚きと焦りの顔。

一体、何をしているの…?

助けてよ……

「莉奈ちゃん? 聞こえてる?」

「え? あ…羅夢ちゃん」

「あ、聞こえてた。 何回も読んでるのに反応してくれないから焦ったよ~」

「う、うん… ごめん…」

「いや、大丈夫。 それよりこれ、何だろうね?」

私達の下にある、ねばねばしてるやつ。

体全体に張り付いて、身動きがとれない。

「うーんやっぱ動けないね。 どうしよっか?」

「どうしようもないね…」

羅夢ちゃんの隣には、憐ちゃんもいた。

二人は何故か、仰向けになっている。

「周りを首だけで見てみたけど、上は高いし、1面ねばねばだらけだし、出口は見当たらない」

「誰かが助けてくれないと無理だね~」

誰か……

「…そ、そういえばさっき、里………」

その時、ずずずず… と、地面が響くような音が聞こえてきた。

「わ、地震?」

若干、下のねばねばがぷるぷる震えているのが分かった。

しかし、その音はすぐに収まった。

「なんだったんだろうね?」

「なんともないなら、大丈夫。 今ので何か変わって出れるようになればいいけど」

「そ、そうだね… でも、ゲームじゃあるまいし…」

ここは、現実ではないけど、ゲームでもない。

不利な状況に、何か転機があるわけじゃない…

とりあえず、二人に里菜ちゃんのことについて話しておかないと…

「……あ… そういえばさっき、里菜………」

その時。


「………がっ…」


「……っ?」

顔にかかる、生暖かい液体。

「……? !! 憐ちゃん!?」

羅夢ちゃんの隣には、さっきまでいたはずの憐ちゃんの姿は無かった。

かわりにそこにあるのは、赤く染まった、鉄の棒。

「な……憐ちゃん!?」

羅夢ちゃんが叫ぶ。

「が……あ゛……… 何……これ…」

え…?

頭上に、お腹を貫通され、口から血を流す憐ちゃんが見えた。

そして、もう1本。

下から生える、先が尖った鉄の棒。


ざくっ


「…がはっ…………だ…」

周りに血が飛び散る。

「……憐…ちゃん……」

また、友達が目の前で死んでしまう。

「大丈夫……大丈夫……痛くは…」

そう。

痛覚は、ないはず。

しかし、

「い゛………だ……ぁ……」

「……なんで……」

憐ちゃんは、激痛を感じている。

「痛みは……感じないはずなのに……」

「莉奈ちゃん!?何言ってんの!?」

「だ、だって……」

前のみんなは、痛みはないと言っていた。

だから、今回も……

と、思っていた。

「……がはっ………」

憐ちゃんが血を吐く。

「…あ……あぁ…」

彼女には、信じられない程の激痛が走っているはず。

「れ、憐ちゃん……」

羅夢ちゃんは目の前の光景を完全に受け入れられてない。

もう、憐ちゃんを助けることは出来ない…

だったら……せめて、羅夢ちゃんだけは……!

「……羅夢ちゃん…! 手を伸ば……」

その直後、視界から羅夢ちゃんの姿が消える。

「!? …あ……」

上を見る。

頭上には、鉄の棒に串刺しにされてるクラスメイトが二人。

「………!? え゛ほっ……」

「…あ、ああぁ……」

「…莉……奈…ちゃん………助…け……」

羅夢ちゃんが助けの声を私にかける。

「…なんで…」

憐ちゃんはぐったりと体を折り曲げている。

既に事切れていた。

「なんで…なんで……なんでなんでなんで……!」

「………莉…奈……ちゃ……」

ただ、見つめることしか出来ない。

友達が死にゆくところを、ただ、下から見ることしか出来ない。

「あああぁ……」

羅夢ちゃんも、もう……

こちらに向かって、手を伸ばしている。

目には涙を溜め、口から血を吐き

「……ぅ………」

その後は、ぐったりと体を重力に任せたきりだった。

「……!! う…あ………ああああああ!!」

なんで…こんな……

………

「…里菜ちゃん!! いるよね!?そこに!! 助けてよ! もう…もう……」

上に向かって思いきり叫ぶ。

何故か憎悪をそっちに向けたくなった。

根拠はない。

突き落とされたからじゃない。

なんとなく……

怒りをぶつけたかった。

「里菜ちゃん!! 里菜ちゃん!!」

何回も何回も叫ぶ。

「里菜ちゃん!!助けてよ!! ねぇ……」

わけがわからない。

「里菜ちゃ……!!」

私の言葉を遮るように、また鉄の棒が出てくる。

それも、何本も。

「……!!」

串刺しにされた死体に、さらに刺さる。

もう二人は、元々人間だったかどうかも分からないくらい原型を留めていなかった。

ぐちゃぐちゃになった肉片が、目の前に落ちてくる。

「……!! あ、ああああああ…!! う…おぇっ……」

とんでもないくらい血の匂いがする。

正直、もう耐えられない。

「んむ………」

誰が、こんなことを……

目を瞑り、口を手で押さえる…

…二人には、何故か痛覚があった。

前に死んでしまったみんなは、痛みは無かったって言ってた。

それなのに、なんで…

ぐちゃ、と音が聞こえる。

二人が感じたのは、お腹を貫通する痛み。

とても耐えられるものじゃない。

「…許せない……」

こんなことをしたやつを、私は絶対に許さない……

……絶対に……!


ざくっ


視点が何故か上に昇っていく。

「………がはっ…」

口から血を吐いた。

「…待っ……な…に……」

下には、地面がある。

そこから、私に向かって伸びる、鉄の棒。

「……がっ………」

二人と同じように、お腹に、貫通していた。

呼吸が出来ない。

「………!!」

私に向かってくる鉄の棒。

先端は、鋭利に尖っている。


「………!!!!」

痛みを感じているのかどうかも分からない。

もう、もたない…

意識が、だんだんと薄れてゆく…


ざくっ


「……がっ…はっ………」

なんで……


――――

「………はぁっ……!! はぁっ……っ…」

お腹に、痛みの感覚が残っている。

痛みを抑えるように、うずくまる。

「……うぅ…」

今回は今までのなかで特に酷かった。

―二人は痛みを感じていたし…

二人分のグロテスクな肉片が私の目の前に落ち…

最終的には、私自身も殺された。

……羅夢ちゃんと憐ちゃんはどうしてるだろう…

二人に会わす顔がない。

また、死んじゃう前に助けられなかった…

「………?」

ふと、里菜ちゃんを横目に見る。

いつもと変わらぬ体勢で、そこに眠っていた。

「確か…里菜ちゃん…………あれ…?」

なんか、あったような気がする。

なんか………

「………っ」

思い出せない…

思いだそうとすると、頭痛に襲われる。

なんか、あった。

向こうの世界で。

…………

「なんか………あったっけ?」

里菜ちゃんに会った気がする……だけど………

会ったかどうかは、覚えてない。

考えれば考えるほど、頭が痛い。

その時、携帯が震えたので、それについて考えることは一旦止めた。

「…はい」

『あ、莉奈ちゃん… 二人、戻ってきたよ』

「そっか…」

『でも、二人にLINEを送っても反応がないんだ… 何か、向こうであった?』

二人。

唐突にフラッシュバックする、肉片。

「……! おえっ……」

『あ、ごめん! それについてはもう触れないよ…』

「う、うん… あ、そういえば… 里菜ちゃんについて、どう?」

『え? いや、こっちには特に何も連絡っぽいのは入ってないよ』

「そっか…… 分かった…」

『うん… 里菜ちゃんも見つけてあげて… どっかで、迷ってるはずだから』

「分かってる…」

『…こっちも、何かわかったら連絡するね。 ………悪いけど、後も頑張って…』

「………」

電話が切れる。

まだ、やることはたくさんある。

あと助けなきゃいけないのは29人…

絶望的な数字。

何人かは私の手で助けられるとしても、確実に目の前で殺されてしまう人の方が多い。

もう誰かが死ぬのは見たくない…

あとは、里菜ちゃんと委員長も見つけ出さなくてはいけない。

まだ私に平穏ないつもの日常が戻るのは、かなり先みたいだった。

………

でも、やっぱり何か引っ掛かる…

前にも、何かこういうことがあったような…

そもそも、向こうの世界と行き来するようになってから、感覚がおかしい。

まぁ、そりゃ非現実的なことをしてるからなんだろうけど…

なんか……

「……っ」

いつものように、頭痛がきた。

すごい耳鳴りがして、頭がくらくらして、だんだん目を開けているのが辛くなる。

そして、声が…


…………声?


何か聞こえる。


《……………ゃ……メ…》


よく聞き取れない。

でも、何か聞こえる。


《…………ち…………だか…》


《……に》


言葉をよく聞こうとする。

しかし、耳鳴りと頭痛のせいで働かない。


「………あ゛…」

そして、私の意識は闇の中に落ちていった…―――

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