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絶望の仮想世界  作者: ぷらずま
第1部
12/22

謎の洋館

2週間に1回上げられればいいなー・・・とか。

頑張ります。


毎回表現が分かりにくくてすいません。

趣味で始めたものなので高クオリティを求められたら困ります・・・

と、いうわけでよろしくお願いします。

―――

「……う…」

まだ、転送されたときの感覚には慣れない。

まだ、先は長い。

とにかく、早くみんなを助けてあげないと…

「…...あれ、ここは……」

さっきまでいた洋館らしかった。

目の前には…板で打ち付けられ塞がれた、巨大な穴があった場所。

「……っ」

ふいに、頭痛に襲われる。

ここに私達は落ちた。

それは覚えてる。

そして、後方にかすかに見える、下り階段。

あそこから上ってきたことも覚えてる。

その後羅夢ちゃんが回りを見に行ってた記憶もある。

でも…

下に落ちるときに何があったかは覚えてない。

下に落ちる直前だけの記憶がすっぽりと抜けている。

そこを思いだそうとするたびに、頭痛に襲われる。

...もう…考えることは止めよう……

とにかく、今は出口を探そう。

玄関が開かなかったことは覚えてる。

だとしたら...

………死ねば、もとの世界に戻れる。

そして、仮想世界の別の場所に飛ばされて、誰かを助けるチャンスがあるかもしれない。

でも、もう死にたくない…

痛いのは嫌だし、苦しいのも嫌だ……

死というバッドエンドでもとの世界に戻るのは、もう嫌だ。

だからといって…死ぬという行為以外で、もとの世界に戻れる方法は分からない…

今まで、毎回死ぬことによってもとの世界に戻ってたんだから…

でも、死を避けるには嫌でも前に進まなければならないのかもしれない。

......怖い。

今までは、前に進んだら最終的には死んでしまった。

また、今回も死ぬかもしれない…

でも、前に進まなければ良いことなんて絶対に起こらない。

まだ、たった1つの希望が残っているうちに…

このたった一つの希望が闇に染まる前に……私は、絶対にこの絶望の世界から脱出してみせる。


生憎、上ってきて、羅夢ちゃんが回りを見てきて、戻ってきた直後のことは思い出せなかった。

だから、この広い場所にこの穴以外に何があると言っていたかは覚えてない…

自分で奥まで行ってみるしかない。

周囲は暗く、本能的に不安が高まる。

そして、今回は前とは違って一人で探索することになるから…

そのことが、余計に恐怖心を掻き立てる材料となってしまう。

それに、何か…

こういう状況に、既視感を感じる…

なんだろう…


とりあえず、ここの先をちょっと探索しよう…

何かあるかもしれない。

そう思って、歩き出す。

壁を伝って歩くことにした。

…やっぱり、真っ暗ではないけど暗くてよく見えない。

反対方向の壁が見えないから、余計に広く感じるのかもしれない。

それはそうと、ずっと壁を伝って歩いているけど、窓を1つも見かけない。

それに、建物は古くて、壁もかなりボロボロになっているのに、外の風の音とかが全く聞こえない。

…まるで、外の世界と切り離されているような…

そんな感じがした。

聞こえる音といえば、私が足を踏み出すたびにする床のギシギシという音だけ。

他には全く聞こえなかった。

と、思っていると…

「………?」

何かが聞こえたような気がして、歩みを止める。

………

前から、同じように足音と、それに伴って軋む床の音。

…誰か、いる。

何が来るか分からないから、すぐに後ろに逃げられるようにし、耳をすます。

ヒュッという風を切る音と、左の耳に若干の風を感じる。

突然、寒気が全身に走る。

後ろを振り向いた。


目の前に、首の断面が見えた。


「!? ぁ……きゃああああああ!!」

後ろに飛び退き、そのあとすぐに体を前に向けて走り出す。

後ろから、刃物を降り下ろし、床にザクッとささる音が聞こえた。

一瞬見えたそれは、頭が無く、片手に包丁を持っていた。

その見た目から体が赤く染まっていそうだが、暗くて色まで認識できない。

ひたすら逃げる。

……さっきのは…何!?

追ってこられてる感じはしない。

後ろを振り返っても、その姿は見えなかった。

若干安堵して前を向いて逃げようと…


さっきの首無しが目の前にいた。


「!!!! きゃああああああああああああ!!」

何何何何!?

なんなのアレ!?

何が...どうなってっ......!!

追い抜かれる気配も、追われてる気配もしなかった。

…なのに、いつの間にか正面にいた。

方向を180度変え、全速力で逃げる。

前だけを見て。

とりあえず、場所が同じなら階段があの辺りに…

この部屋の上下の直線上の回りをぐるっと囲うように設置されていると思われる階段。

とにかく、そこを目指した。

無駄に広い場所だと、どの方向からもさっきのが来る。

そんな気がして、とにかく狭そうな場所を目指す。

人一人がやっと通れる幅の階段なら、少なくともさっきのが来る方向は2つに絞れる…!

そして、後ろから来てるはずだから、階段を降りれば元の洋館らしい構造の場所に戻るはず…

そうすれば、玄関は出られなくとも、別の場所から脱出出来るかもしれない…

そう考え、ひたすら逃げる。

目的の階段が見え、飛び込むように一気に降りる。

脇目も振らずに……

さっきのが前にいることは絶対にない。

確認はしていないけど…

そう、信じた。


――

「っとと…… はぁっ……はぁっ……!!」

階段を降りきり、洋館の玄関ホールらしき場所に出る。

追ってこられてる気配はしなかった。

でも、さっきのことがあるから…

脱出出来る場所を探しつつ、いざというときに隠れられる場所を探す。

玄関は相変わらず押しても引いてもビクともしなかった。

やっぱり、別の出口を見つけるしかないのかも…

こういう建物に、玄関以外に外に出れるようなところがあるとしたら、窓しか思い付かない。

でも、窓という窓は廊下にはどこにも無かった。

だとしたら、部屋にあるかもしれない…

でも、全ての部屋が板で打ち付けられて開かないようになっていた。

これは羅夢ちゃんに聞いただけだけど…

でも、そうすると他に考えつく脱出口が全く思い浮かばない…

…………

必死になって、1階の廊下を歩きながら考えていた。

と、その時…


ギシ…ギシ…


「……!!」

後ろから、床が軋む音が聞こえた。

偶然目の前にあったトイレに駆け込む。

そして、一番奥の個室へ…

「…………… あ…!」


ガチャ


トイレの扉が開く音が聞こえた。

それよりも…

もう…この場所から

「……逃げられない…」


ガチャ


どこかの個室の扉が開く音。

一番奥の個室に入ってしまったら…

もう、トイレから出られない。


ガチャ


確かこのトイレにあった個室は5個。

最後、ここを開けられたら……

確実に、殺されてしまう。


ガチャ


だんだん音が近づいてくる。

もう…どうすれば……


ガチャ


隣から音が聞こえた。

もう………

……………

.....................

「…………あれ…?」

しばらくたっても、目の前の扉が開けられない。

不意に上を見る。

しかし、そこにも特に何かあるわけではなかった。

「……助かった…かな……」

ゆっくりと...扉を開く。

そこにも、何もいない。

…諦めて帰った、ということはなさそうだけど…

でも、どっかには行ってくれた。

それだけで、今は十分……

少し安心して、トイレを出る。

……そうしようとしたとき。

後ろから…


バンッ


「…!!!!」

私がいたところの隣の部屋の扉が吹き飛び、首無しが出てきた。

慌ててトイレを出ようと、ドアノブを回して外に出る。

......つもりだった。

ガチャガチャガチャガチャ!

「え!? 嘘!? ちょ…開いて!!」

しかし、何故かトイレの扉は開かない。

「待って待って待って待って…!! 開いて!!開いて!!!!」

後ろから、奴が来る。

後ろを振り向く。

「…ひっ…… う、ぁ……ぁ…あ……ああああああ!!」

首無しは包丁を高く振り上げて……

私に向かって、降り下ろした。


ズバンッ


「……!!!! が……ぁ………」

左肩から縦に大きく切断される。

自分の体から噴き出す血で目の前が真っ赤に染まっていく。

「ぁ゛………あ゛……………」

体は動かない。

左半身がどうなったかは分からない。

右に倒れ、壁によりかかる。

いや、よりかかったかどうかなんて分からない。

もう感覚なんてものはなかった。

そして、だんだん意識が遠退いていく……


―――

「はぁっ……!!はぁっ……!!……」

戻ってきて、痛みを感じた。

傷は残ってないが、感覚が吹き飛ぶほどの痛みが、和らいでフィードバックしてくる。

「……ぐっ……が…はぁ…はぁ……」

でも、もう現実世界に戻れた。

これで、あの恐怖は…


ぐちゃ


「………え?…うっ……」

何か変な感触を手に感じ、とてつもない血の匂いが鼻をつんざいてくる。

「….........え……?嘘………」

そこは、今さっき私が殺されたトイレだった。

一面赤いモノで染まっていて、周囲にはぐちゃぐちゃになった肉片が散らばっていた。

現実世界に……戻ってない。

何故か、仮想世界に戻ってきていた。

さっき私を殺した、首無しの姿はなかった。

…とにかく、トイレから出たい…

意識が朦朧とするくらい、血の匂いが酷かった。

すごいグロテスクな匂いがする。

今度はトイレの鍵は開いており、普通に出ることができた。

そこでようやく、私はまともに息をつく。

確か、前にもこんなことが…

殺された場所に、再び来たことがあった。

あのときと、同じ。

でも今度は前とは違い、ここから出なければ恐らく死んでもまた同じ場所に戻ってくる……と思う。

だったら、尚更ここから出なくちゃ…

でなければ……また、首無しに殺される。

............

…この仮想世界のシステムは、未だによく分からない。

毎回毎回、違うことが起きるから。

……私が最終的に、死ぬことを除いて。

死んだあと、現実世界にも10分いられる、ということも、いつもじゃないと思う。

多分、たまにすぐにまたこっちに転送されたりしたこともあったはず…

どうなっているのか、分からない。

……とにかく、今はここから出ることだけを考えないと…

出ない限り、解放はされないと思う。

…なんとか、ここを脱出しよう。


そういえば…この状況……

思い出した気がする。

まるで、ホラーゲームみたいだ。


――

1階を一通り回った。

やっぱり、客室とみられる部屋のドアは板で打ち付けられて開けられなくなっていた。

そして部屋の中には、出口らしき場所はなかった。

とくに怪しいようなところはなかったし、早く出たいという気持ちから建物の大体真ん中に位置する唯一の階段を上り2階へ。

と、階段を上って2階についたとき…

「きゃ!?」

突然、下から激震が響いた。

階段を戻って様子を見に行こうとすると…

「………な…」

階段の半分が、消えていた。

1階から2階への階段の踊り場。

1階からそこまでの階段のあった場所に、おおきな穴が開いていた。

もう…下には戻れない。

建物自体が大きいので、階段もそれなりにある。

助走をつけてとび降りようとしても届かないと思う…

大体、降りたらもう上には戻ってこれないし…

しょんぼりして、途中まで降りた階段を引き返し再び上る。

そして、階段を上っているその時。

ドドドドドドド…

重く走るような足音が聞こえてくる。

ふと上を見上げると、廊下から首無しが包丁を振り上げながら走ってきた。

それは思ったより速く、俊敏に動いている。

「!! …あ……」

びっくりして足を踏み外し、体が宙に浮く。

その私に向かって、首無しは包丁を大きく振り上げ……

私の腹部に突き刺した。

「!!!! ……ぁ゛…がっ……え゛ほっ……」

その直後、後頭部に衝撃が走る。

背中は階段にはぶつけなかった。

…そのすぐあと、視界は暗転して意識は闇に落とされた。

痛みはもう、度を超えていて、何がなんだか分からなかった―――

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