表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/71

わたし

 

 生まれたと同時に胃も腸もほとんどすべての臓器が動き始めたの。

 視覚、聴覚、臭覚も全開になったわ。

 そのせいか、とにかく眩しいの。

 薄暗い羊水の中で40週間浮かんでいたわたしにとって、外界の光は強烈すぎるの。

 それに、うるさすぎる。

 やかましいと言い換えてもいいくらいよ。

 それまではボワ~ンとしか聞こえなかったのに、音が大洪水となって飛び込んできたのだから仕方がないんだけど、鼓膜が破れるかと思うくらい強烈だわ。

 何もかも強烈過ぎて怖くなってきたし、そのせいか、体がブルブル震え始めて止まらなくなってきたの。

 でも、ママに抱かれた瞬間、すっと気持ちが落ち着いたのよ。


 あっ、この匂いは……、


 ママの匂いだ。

 絶対間違いない。

 わたしはしっかりママの匂いを覚えていたのよ。

 それから、優しく抱っこしてくれているこの手も。

 いつもお腹を優しく擦ってくれていた手だとわかったわ。


 あっ、聞き慣れた声、


 ママの声だ。

 絶対間違いない。

 わたしにとって世界で一番優しい声だから間違うはずがないわ。

 でも、この声を聞いていたら目がトロンとなってきちゃった。

 安心したせいか、眠くなってきちゃったの。

 もう瞼を開けることはできないみたい。

 夢の中に入っていくわね。

 と思ったら、突然口の中に何かが入ってきたの。


 何? 

 びっくりしたけど思わず吸い付いちゃった。

 それでわかったの。

 ママのオッパイだってことが。

 チューチューすると甘~いものが口の中に入ってきたの。

 とっても美味しいから止められなくなっちゃった。

 だって、お腹は空っぽでペコペコだったからね。

 それに初めてのお乳には大事なものがいっぱい詰まっているっていうから必死になって吸い続けたの。


 いっぱい吸ったからお腹がいっぱいになって、今度こそ夢の中に入ろうと思ったんだけど、なんか気持ちが悪くなってきた。

 というよりも苦しくなってきたし、吐きそうになってきたの。


 ヤバイ、って思った瞬間、背中を優しくさすられたの。

 下から上へと何度もさすられたの。

 すると、体の中から何かが出てきたわ。

 ふ~って出てきたの。

 多分おっぱいと一緒に飲み込んだ空気だと思うわ。

「ゲップ」っていうような音がしたから間違いないわ。

 その途端、気持ち悪さが消えて楽になったの。

 今度こそ眠れそうな気がするわ。

 ではしばらく眠るわね。

 おやすみなさい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ