第94話 【薬局長】と〖綾部〗の調剤報酬講座 Part 2
【薬局長】
皆様ご機嫌よう!
いつも私達が登場する、この謎の文字列を読んで頂き、感謝申し上げるわ!
〖綾部〗
皆様、お疲れ様です。
いつも御覧下さり誠にありがとうございます。
本日は以前にも開催いたしました『調剤報酬講座』の第2回目となります。
【薬局長】
また宜しくね、綾部さん。
〖綾部〗
宜しくお願い致します。
まさか再びこの白い空間に立つことになるとは思ってもおりませんでした。
早速ですが薬局長様。本日はどのような御話なのですか?
【薬局長】
今回は「お薬手帳」と「ジェネリック医薬品」について御説明するわ!
『綾部』
承知いたしました。お願い致します。
【薬局長】
まずはお薬手帳についてだけれど、綾部さんは勿論知っているわよね?
『綾部』
はい。お薬手帳とは、これまで自分が服用してきた薬の記録です。服用経験のある医薬品名の他、処方を受けた病院や薬を調剤した薬局名などもお薬手帳には記載されています。
【薬局長】
その通りよ! 因みに綾部さんはお薬手帳をお持ちかしら?
〖綾部〗
いえ、持っておりません。滅多に病院に掛かりませんので。
【薬局長】
け、健康なのね。でも、お薬手帳は持っていた方が良いと思うわ!
〖綾部〗
何故ですか?
【薬局長】
お薬手帳に記載されている情報から、アレルギーや副作用の有無について初めて行く病院や薬局でも判断できるからよ。それに薬を服用する本人以外でも、イザというときの管理や対応が可能なの。
〖綾部〗
と、申しますと。
【薬局長】
例えば綾部さんが、お友達と二人で旅行していたとするわ。
だけどお友達が旅先で急に倒れてしまった。
救急車で運ばれて貴女が医師に事情を説明する時、お薬手帳があれば普段飲んでいる薬も分かって、飲み合わせや同一成分の過剰投与を避けることが出来るわ。
〖綾部〗
なるほど納得です。しかし薬局長様。
【薬局長】
あら、なにか質問かしら?
『綾部』
いえ。私には一緒に旅行へ出掛けるような友人など居りませんので、そのような心配は無用なのです。
【薬局長】
……なら今の例え話を「友達」から「翔介」に置き換えて御考えなさい。
〖綾部〗
………はぅ。
【薬局長】
いや、そこで顔を赤くして俯かないで頂戴!?
〖綾部〗
し、失礼いたしました…。
では、私も後ほど薬局長様のお店でお薬手帳を頂きに上がります。
【薬局長】
ええ、是非いらして!
それじゃあ、次は後発医薬品について説明するわね! 後発医薬品については前回もお話ししたけれど、綾部さんは覚えているかしら?
〖綾部〗
はい。先発品と呼ばれる昔からの医薬品を元に、同じ効能で安価に新発売された医薬品のことです。
【薬局長】
ええ、概ね正解よ。本当はもっと複雑なのだけれど此処では省かせて頂くわ!
確か綾部さんは、先発品と後発品なら後発品を選ぶのよね?
〖綾部〗
はい。後発品のほうが、お薬代が安くなる場合が多いので。
【薬局長】
そうね。だけど世の中には「先発品じゃないと嫌だ」と言う人も居るわ。
〖綾部〗
確かにそうですね。以前の薬局長様のお話では、「お店の手作りオニギリ」と「大量生産のオニギリ」くらいの違いがあるというお話しでしたが。
【薬局長】
ええ、そうよ。ここで一つ、今回は実際の薬を例に出すわ。
〖綾部〗
これは……保湿効果や肌荒れに処方されるお薬ですね。小さなお子様から大人の方まで使えるので、当院でも処方されています。
【薬局長】
そうね。この先発品はローション剤形で発売されていて、後発品も同様よ。でも、この2つのローションを実際に塗ってごらんなさい。
〖綾部〗
これは……なんでしょうか。どちらもローション剤なのに、肌に残る感触や、塗った際の伸び方に差異があります。
【薬局長】
そうなのよ。先発品と後発品だから、どちらも主成分は同一で保湿剤としての効果も同等だけれど、添加物や配合成分は違うから、塗り心地や肌への刺激に違いが生じるの。
『綾部』
なるほど。これが薬局長の仰られていた「梅干しオニギリ」の意味なのですね。
【薬局長】
そういうことよ。
専門店で作られた「梅干しオニギリ」と、それを模して販売されたコンビニの「梅干しオニギリ」とでは味も食感も異なるようにね。
綾部さんも体感してもらって分かったと思うけど、同じ主成分でも基材や添加物が異なると使用した感覚が異なるし、場合によっては自分の体質に合わない時もあるわ。
『綾部』
確かに、ここまで差を感じると、薬に不案内な方であれば「同じ薬なのか」と疑ってしまう気持ちも分かります。
【薬局長】
そうよね。それに後発品と比べて先発品は長年使われてきたという信頼と実績があるわ。
『綾部』
実績は分かりますが、信頼というと?
【薬局長】
たとえば先発品に何らかの副作用や欠点が見つかった場合、すぐに回収となって販売中止や改善措置が加えられるはずよ。長年市場に出回っているのは、それだけリスクが少ないという裏返しなの。その最たる例が「漢方薬」よ。
〖綾部〗
そういえば「漢方薬」の後発品は聞いたことがありません。
【薬局長】
当然よ。漢方に先発も後発も無いわ!
〖綾部〗
何故ですか?
【薬局長】
中国4000年の歴史に先も後も無いからよ! ……と、いうのは少々違うけれど、実際のところ漢方薬の作用機序というのはよく分かっていないのよ。
〖綾部〗
そうなのですか?
【薬局長】
ええ。気の流れとか陰陽とか……漢方には、そういう科学的に説明が難しい原理あるの。もちろん漢方のどの成分がどんな効果を発揮するのかは、ちゃんと解明されているけれど。
〖綾部〗
では、そんな曖昧なものが処方されているというわけですか?
【薬局長】
それこそ中国4000年の歴史の賜物ね。長い年月の末にどんな副作用があって、どんな症状に効くのか、実績を積み重ねているから信頼があるのよ。「漢方薬に副作用はない」と豪語する人も居るくらいよ。
〖綾部〗
勉強になります。ところで薬局長様。
【薬局長】
なにかしら? 薬に関することなら、なんでもお聞きなさい!
〖綾部〗
天然タラシと優柔不断に効く薬は御座いますか?
【薬局長】
……バカにつける薬は中国4000年の歴史をもっても存在しないわ。
⦅火野陽登⦆
皆様、お疲れ様です。いつも拙作をご覧くださり誠にありがとうございます。
今回のお話は先発品の信頼と実績を示すような内容となりましたが、私は決して先発品を推奨しているわけではありません。
先発品は確かに信頼性に富みますが、かといって後発品を頭ごなしに疑うわけではありません。
皆様の御事情やお考えの元、納得のいくお薬を選択されるのがベストだと思います。
今回も最後までお読み頂き、有難うございました。
★★★火野陽登は全ての医療従事者様を応援しております☆☆☆




