14話 夢視
夢視とは夢の中で未来を視ることができる人のことである。そして、夢視には2つのパターンがある。1つめは高位魔力の持ち主であるパターン。2つめは夢喰を遣えるパターンである。
夢喰は未来を視たり、人の夢に入り込み悪夢をみせたりと夢に関することならなんでもできる魔法だ。兆候としても現れるため高位魔力の持ち主でなくても、夢喰に適正があることになる。
ー☆ー
「ファベルさんは夢視、なんですか?」
ファベルは振り向き
「どうしてそう思った?」
ファルチェにそう尋ねた。
「さっきファベルさんが言った言葉」
ー3日後には武闘大会があるから。俺のことに気付くのもそこだと思う。なにかあるとしたらその後だろう。
「あの言葉が、予言みたいだって思ったから」
安直かもしれないですけど。ファルチェはそう言った。
(当たらずといえども遠からず、なんだよなぁ)
ファベルはそう思いつつ、口を開いた。
「夢視ってほど確実に視えるわけじゃない。不定期で、しかも断片的に視えるんだ」
「それは高位魔力だから、ですか?それとも」
ファルチェの言葉を遮るようにファベルは
「俺は夢喰は遣えないから、たぶん高位魔力のせいだと思う」
と言った。ファルチェはファベルの言い方に疑問に思った。
(遣える魔法について知られたくないのかしら?)
聞いていいような雰囲気ではない上に、ファベルからも聞いてほしくなさそうな気配を感じた。
「他に聞きたいこと、ある?」
ファベルの問いにファルチェは首を横に振った。それを見たファベルは
「もう少ししたら店を開けるから、俺は下に行くよ。ファルチェは薬草園で世話をお願いね」
そう言ってファベルは店に向かった。ファベルが階段を降りるところファルチェは見送った。
ファルチェ1人になると、見計らったようにドリアイドが具現した。
『ファベルのことが気になるの?』
「気になるというか、なんというか」
歯切れの悪いファルチェにドリアイドは
『どうして魔法が遣えないのか気になるの?』
と聞いた。ファルチェはコクンと頷いた。だって、っと呟いて
「魔法道具が造れて、不定期でも断片的に夢で未来が視えてる人が魔法を遣えないって、おかしくない?」
魔法道具が造れるということは、魔力等級5以上あるということに他ならない。
「さっきファベルさんに見せてもらった腕輪。あれには魔法の意匠が1つもなかった」
それが意味するのは1つしかないようにファルチェは思えた。けれどそれだと矛盾してしまうのだ。
「私を助けてくれて、今まで追っ手がここに来てないってことは、助けてくれたときに魔法で痕跡を消してくれたからだと思う。けどそれって魔法が遣えるってことでしょう?聞いてほしくなさそうだし……」
ドリアイドにファルチェの戸惑いが流れ込んでくる。
「そりゃあ簡単に言えない事情があるのかもしれないけど」
それでも、私にできることがあるなら。
ファルチェの声なき言葉は、ドリアイドにちゃんと伝わっていた。
『役立たずなんかじゃない、それだけは解るわ。だから大丈夫よ』
ドリアイドの言葉にファルチェは
「だといいんだけど」
と返すしかできなかった。
(私は、今の私ができることを全うしよう)
ファルチェはそう思い、薬草園に向かったのだった。




