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第二十六話 声優の取材を目にして……鬱になりそう

 近藤からの嬉しいプレゼントもあり、もちろん麗奈に必要なモノはビニール袋にまとめたままローテーブルの上に置いてきた。

 さて……俺は、REONAのことを匂わせていた記事とやらをチェックさせてもらうとするか!

 毎回毎回、人気のアニメキャラクターが表紙を飾っているアニメ雑誌、アニ〇ディア。これも随分と昔から刊行されているようだが、未だに刊行終了ってなることが無いのも、それだけアニメ好きな読者がいるってことだろうか。まあ、俺はREONA関連の取材が掲載されていないと特に興味も無いので毎回購入しているわけではない。が、今回は、とある声優の取材記事の中でREONAとの匂わせ記事が掲載されているというではないか!妹が具合悪そうにしていたものだから本屋にもコンビニにも寄ることが出来ずにいたのだけれど近藤が気を利かしてくれて俺のためにもアニメ雑誌を買って来てくれたらしい。……なんか、近藤ってすげぇ良いヤツなのかも?妹のこともリモートで軽く話した程度だったのにも関わらず、いろいろと必要なモノを買い揃えて来てくれた。……アイツって、一人っ子だったはずだよな。それにしては他人への気配りみたいなモノが上手い。もしくは俺に妹がいるってことを羨ましがっていたりするんだろうか?まあ、素直な妹は良いぞ!具合を悪くして過ごしている麗奈には悪いが、素直にお礼をつげてくる時なんて普段とのギャップがかなりあるものだから、まさにギャップ萌えだ!でも、こんなことは言いつつも麗奈のことはきちんと心配しているから安心しろ。

 昼から飲み始めた薬。夕方になると食欲は出てくるだろうか。まあ食欲が無くてもちょっとでも良いから、一口だけでも良いから何でも食わせて(冷蔵庫にはプリンとかゼリーの類も入っているからな)そして薬を飲ませるつもりだ。せっかく小山先生が処方してくれたものなんだからきちんとある分だけは飲ませないとな!


 俺はアニメ雑誌を抱え、インスタントのコーヒーをまたもや淹れて自分の部屋へと戻った。REONAが出演していないアニメにはあまり詳しくないものだから、今回表紙を飾っているキャラクターも全然分からない。女子ウケが良さそうなイケメン風のキャラクターが表紙を飾っているようだが、一体どんなアニメ作品になっているやら……なんか、最近男の子向けのアニメ、そして反対に女の子向けのアニメに分かれているときがある気がする。春は男の子が食いつきそうな可愛らしい女の子キャラクターが多そうなアニメ。それが一旦放送終了すると次の時期からは女の子たちが好んで観るようなイケメン風のキャラクターばかりが集っているようなアニメ作品が放送されているような……?まあ、直接観たわけじゃないけれど、最近はそんな感じがしているんだよなあ。

 つまり、今回刊行の表紙を飾っているのは女の子たちが食いつきそうなアニメのキャラクターなのではないだろうか。


 ぺらぺら、と静かにページを捲り(一応、内容には全て目を通すようにしている)気にかかっている声優の取材ページというものに『まだか、まだか……』と気持ちが焦る。作品の名前だけを見ていけば、なんとなく俺でも見聞きしたことがあるようなアニメがずらーっと放送予定日、放送時間帯も掲載されていて、如何にもアニメ好きには欠かせない情報が掲載されている。まあ、なんでもかんでもアニメなら観たい!という人であれば、毎日のようにいろいろな放送枠でアニメが放送されているものだから予約とかも大変なんだろうなあ……。

 俺の知り得た情報だとREONAが出演するアニメの放送は、しばらく先となっていたはずだ。だからそろそろ雑誌でもアニメオススメの見どころ!的な見出しのようなものが掲載されていてもおかしくはないはずだが、今のところそれらしい記事は見当たらない。


「んー?……声優の記事は、まだか?」


 アニメ制作会社からだったり、原作者からの見どころといったものでページが埋まれていて、目を通すにもだいぶ時間が掛かってしまっている。まあ、こういう活字自体に目を通すのは苦じゃないから平気だけれどな。なかには、好みのキャラクターが掲載されているページだけを切り抜いて後生大事にマイお宝!のような存在として大切に保管しているようなマニアックもいるらしいが……。まあ気持ちは分からんでもない。俺も似たようなことをしているからな、REONAが担当したキャラクターだけ。


「お。あった……コレか?」


 やっと半ばぐらいまでページを進めただろうか。やっと今回の雑誌の中で特別視されている声優の取材らしき記事が見えてきた。今回取材を受けているのは、どっちかって言うと若手の声優。たぶん、こういう取材も欠かさずにおこなっていくことでアニメの宣伝プラス自分の仕事も増やすようにしているんだろう。最近の声優好きは、声優の素顔っていうのも気にする人が多いもんなあ。だからその声優も素顔の写真(もちろんプロの写真家に撮影されて、ちょっとアングルにも拘っているのか少しでも自分を魅せようとしている笑顔を浮かべている)をいくつか目を通していくと、写真が掲載されている下部には取材のコメントが掲載されていた。あー、ここにREONAと匂わせている記事だかがあるんだろうか。今一度、気合いを入れ直し、ぬるくなったインスタントコーヒーを口に付けつつ記事に目を通していった。


 どうやらこの声優は、今回のアニメで一気に世間様からの注目度がアップしたらしい。もちろんオーディションで役を勝ち取ったというからにはそれなりの演技力もあるのかもしれないが、作品そのものも有名なアニメ制作会社が手掛けているものだし、原作もそれなりに人気が高いものだった。ただ、自分はまだまだ若手のために苦悩することも多いという。こんなアニメ雑誌に取り上げられているんだからもっと自信を持っても良いと思うんだけれどなあ……まあ、声優って毎回毎回オーディションを受けなきゃ役を貰えないだろうし、毎回オーディションに合格出来るってシロモノでも無いわけだから一般的な会社員よりも苦労するところは多いんだろう。

 そのなかで、親身になって相談してくれているというのがどうやら歳が近いとされているREONAらしい。


『作品づくりの中で一番気を付けたところはどういった所だったでしょうか?』


『やっぱり原作ファンを裏切らない演技・表現力ですね。どうしても声が付いてしまって原作と合わない!なんて言われてしまうと、それなりにショックだったりしますし……』


『では、先輩声優にご相談されているのですか?』


『それは、もちろん!それに、今現場には歳が近い方もご一緒されているのでその方とも作品について相談させてもらっています!』


『その方の名前とかって教えてもらうことはできますか?』


『あ、REONAさんです。あまり公式には情報は明かしていないんですが、彼女のアニメに対する熱はかなりのモノですね。なので現場だけではなく、連絡先を交換して現場にいないときでもたまに連絡を取り合って原作の内容だったりアニメについてのご相談をさせてもらってもいますよ』


 こ、コイツかーっ!!!……うっ、鬱になりそうだ……。

 名前を調べてみると……ふむ、デビュー作品になるのは今回取材を受けているアニメ作品らしい。それまでは脇役だったり、所謂名前の無いキャラクターとして声だけは入れている感じだったみたいだな。今回、デビューは、おめでとう……。だがな!REONAとそんなに親身になってんじゃねえよ!REONAを愛しているのは俺だぞ!同じ職場だからって気軽に連絡先の交換なんかしているんじゃねえよ!

 若いせいもあるのか、ニコリと笑った写真だけを見ると声優って感じがあまりしない。そこら辺のモデルとか、タレントといっても差し支えないんじゃないだろうか。あ、そうそう読モとかやっていても似合う感じがする。だが、こんなヤツとREONAは仲良く連絡を取り合っているって言うのか!?許せん!羨まし過ぎる!!!

 最近、アニメ雑誌が本屋で気軽に見られなくなってきたような……付録とかのせい?それとも立ち読みだけで済ませてしまう客のせい!?なんか、ページとかがしっかりと貼り付けられていて中身が分からない!!残念だわ……。


 良ければ『ブックマーク』や『評価』などをしていただけると嬉しいです!もちろん全ての読者様には愛と感謝をお届けしていきますよ!

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