92話 大正解だよ。
日が暮れた頃、メグ少佐達が魔族の城に帰って来ると、城の扉の前にレア大佐がむくれ顔をしながら腕を組んで待っていた。
「お帰りなさい、めぐたん?」
«お姉様!»
「ただいまです…」
「メイドちゃん達を連れて行って、こんな遅くに帰宅するなんて、一体、今までどこで何をしてきたのかしら?」
「そっそれは…」
「メグたん、本当はわかってるわよ?ソノサキユリちゃん達を暗殺しに行ったんでしょう?」
「お姉様にはすべてお見通しですか…」
「そんなの当たり前でしょう。私はあなたの姉なのよ?」
「結果どうなったのかは聞かないんですか…?」
「聞かなくてもわかるわ。上手くいかなかったんでしょう?」
「はっはい…仰る通りです…」
「それ見なさい。」
「相談もせずやったことですから…怒ってますよね…?」
「怒ってるに決まってるじゃない。」
「でっですよね…勝手な行動したんですから、当然です…」
「そうじゃないわ。」
「えっ…?」
レア大佐はそっと抱きしめた。
「心配させたんだから、怒るに決まってるじゃない…」
「お姉様…」
「大事な妹のあなたに何かあったら…私がどれだけ悲しむか考えてちょうだい…」
「すみませんでした…」
レア大佐の涙にメグ少佐は心から反省した。
«レアお姉様〜私達は〜?»
「もちろん。あなた達も大事よ。」
«レアお姉様〜♡»
「それでメグたん。ソノサキユリちゃん達に実際に会ってどう思った?」
「ちゃんと戦ってませんからはっきりとは言えませんが…噂通り、底知れぬ実力はありそうだと感じました。」
「そうなのね。」
「あと…」
「あと?」
「あの…そのですね…」
「モジモジしちゃって?わかった。可愛かったって言いたいんでしょう?」
「違います!!」
「あらら。顔が真っ赤よ?」
「からかわないでください!」
「あはは。やっといつものメグたんに戻ったわね。」
「もう。お姉様ったら…」
そんな二人を二階から切なく見つめるメイドがいた。
「メグ様…いつかレアお姉様みたいに…あなたの特別な存在になれるようになれる日を夢見ています…」
ちょうどその頃、優梨達はというと、サウスまであと数キロの所まで歩いたのだが、すっかり日が暮れて真っ暗になったので、これ以上、夜道を歩くのは危ないと判断して、近くの森でテントを張って野宿をすることにした。
「私、野宿するなんて初めてだよ。」
「アタシは何回かあるよ。ギルドの依頼の時とかで。」
「そうなんだ。」
「でも一人で寝なきゃならなかったから、少し怖かったし。寂しかったな。」
「確かに夜の外に一人って想像すると怖そうだね…」
「でも今はユリちゃんがいるから平気だよ。」
アリスは優梨の肩に寄り添った。
「アリスちゃん…」
「アタシ…わからなくなっちゃった…魔族って悪い奴ばかりじゃないのかな…?」
「どうだろう…私にもわからないかな…」
「アタシは昔、自分の町を魔族に襲撃されたから…魔族は絶対に倒さなきゃならない敵だって強く思ってきたんだ…」
「私もこの世界に召喚された理由が世界を苦しめる魔王と魔族を退治して欲しいって事だったから、悪い奴らばかりだと思ってたよ…」
「でも今回、会った魔族はユリちゃんを助けてくれた…」
「うん…おかげで私は生きてる…」
「そうだよね…」
「アリスちゃん…私、変なこと言ってもいいかな…?」
「いいよ。」
「私、メグ少佐にお礼が言いたい…そしてもう一度、話し合いたい…あの子とだったら仲良くなれる気がするから…」
「ユリちゃん…」
(優梨さん…)
「駄目かな…?」
「アタシが駄目って言うと思ってる?」
「いいよって言ってくれるって信じてる…」
「大正解だよ。アタシもお礼が言いたい。」
「アリスちゃん…ありがとう。」
「照れるよ。」
(メアちゃんはどう…?)
(同じ考えです。正解はきっと一つじゃない。色んな答えがあっていいと思うので。)
(メアちゃんもありがとう…)
「それにしても瀕死だったユリちゃんをどう回復させたんだろうね?」
「私も気になるんだけど。メアちゃんが教えてくれないんだよ?」
「どうして?」
「どうしてかな?」
(そろそろ教えてくれない?)
(あっえっとですね!とにかくすごい力でしたよ!)
(なんかはぐらかそうとしてる…?)
(そっそんなことしませんよ!)
(そう…?)
「まぁ。いいや。」
アリスは隣に座って、肩を寄せた。
「ユリちゃん見て、星があんなに綺麗だよ。」
「本当だ。」
「二人っきりだし。ロマンチックだね。」
「うん…」
「キスしたいな…」
「私も…」
二人はキスをすると、そのまま星を眺め続けた。
「ふわぁぁ…今日は優梨さん達のために夜通し起きるぞ。」




