メアの見た過去の夢。
«スゥゥ…スゥゥ…»
「余程、疲れてたんだな、帰ってきたらすぐに寝ちゃったべ。」
「ええ。二人とも今日の模擬戦を頑張ってたもの。」
「だべな。それにしても…明日には旅に出ちまうのか…」
「その暗い表情、やっぱりクマ子ちゃんも寂しかったのね?」
「そりゃな…でも二人には明るく旅に出てもらいたい…だから…」
「そうね。明日は笑顔で二人を見送ってあげましょう。」
「うん。そのつもりだべ。」
二人の寝顔をしばらく見つめた後、そっと静かに部屋の扉を閉めたのだった。
(クマ子さん。ミーナさん。 あなた達の思いはちゃんと私が伝えますよ。ふわぁぁ…そろそろ寝ようかな…)
それからメアは布団に入ってすぐ眠りについた。
「スゥゥ…アイルちゃん…」
そしてメアは再び遠い記憶を夢に見ていた。それは昔、アイルと出会って二年ほど経った時の事…
『えっ…?今なんて…?』
『私って元は天界の住人じゃないんだ。』
『じゃあアイルちゃんは一体どこからやってきたの?』
『氷の国…」
『氷の国…?それってどこにあるの…?』
『私にもよく分からない、住んでた場所がその国だってことしか覚えてないんだ…」
『覚えてない…?』
『女神様から聞かされてるのは…私は前世の記憶を
封印されているから、何も覚えてないらしいの…』
『記憶が封印されてる…?いったい誰に…?どうして…?』
『それもわからない…』
『そっか…』
『ただ…』
『ただ…?』
『記憶はないけど、私は幸せだよ。メアちゃんに出会えたから。』
『アイルちゃん…』
「んっ…あれっ…今のって…」
布団から起き上がったメアは気になり、異世界の地図を広げた。
『氷の国…そんな国はないな…一体、どこにあるんだろう…?』
謎が深まるばかりのメアだった。