87話 アリスちゃんと同じ想いです。
祝勝パーティーの後、ベロンベロンに酔ったミノリとソフィーを家に送り届けて、そのついでに優梨達は町にある温泉施設に来ていた。
「ぷはぁ、気持ちいいべ…お風呂は広いし…最高だぁ…」
「本当ね。温まるわ。」
「お姉ちゃんとお風呂に入るの、なんだかすごく久しぶりに感じるよ。」
「フッフ。今は私よりユリちゃんとの方がいいものね。」
「そんなはっきり言わなくても…」
「照れちゃって。」
「ユリちゃんもそう思うよね…?」
「えっ!あっうん…」
「おまえ、やけに大人しいな?顔真っ赤だし?」
「もしかして、のぼせちゃった?」
「そっそんなことはないです!」
「じゃあ、何だべ?」
「大勢でお風呂に入るの慣れてなくて…」
「そうなの?」
「それに胸の大きいアリスちゃんやスタイルが良いミーナさんを見てると…自分に自信がなくなってくるというか…」
「気にすることないわ。ユリちゃんの体も十分、素敵よ。」
「そうだよ?自信持って。」
「ありがとう…」
「というか、ユリ!」
「なっ何…?」
「オラはスタイル良くなくてわるかったな!」
「ひぃっ!」
クマ子はお仕置きといわんばかりに優梨の体をこちょこちょした!
「あはは、あはは!!くすぐったい!!やめてぇ、やめてぇ!!」
「まだまだ!」
「あらあら。二人とも。お風呂場で暴れちゃ駄目よ?ほかのお客さんが来たら迷惑になるでしょう?」
«ごっごめんなさい…»
「フッフ。仲がいいのは良いことだけどね。」
「それはそうとお前達、いつ魔族退治の旅に出るんだよ?」
«クマ子ちゃん…»
「パーティーの時に聞きそびれちまってたからな…聞かせてくれよ…?」
「そうね。聞かせてくれるかしら。」
「・・・・明日には旅に出ようと思ってるよ…」
「そうか、明日だべか…」
「思ったより早いのね…もう少し後からでもいいんじゃ…?」
「こうしてる間にも魔族の手によって、辛い思いをしている人達が世界中に居るはずだよ…それを考えると居ても立っても居られないの…もう10年前のアタシ達みたいに悲しむ人を出したくないから…」
「アリス…」
「私もアリスちゃんと同じ想いです。」
「ユリちゃん…」
「見守ってやるべ。二人の門出を。」
「そうよね…二人が決めた事だもの…応援してあげなきゃよね。」
「ありがとう…わかってくれて…」
アリスは思わず涙を流した。
「アリスのことよろしく頼むわね。ユリちゃん。」
「はい。全身全霊でアリスちゃんのことを守ってみせます。」
「ありがとう…でもね、ユリちゃん…?」
「はい…?」
「ユリちゃんだってもう私の妹同然なのよ…?
あなたにも何かあったら、私、泣いちゃうんだから…」
「ミーナさん…」
「約束して…?二人とも必ず生きてこの町に帰ってくるって…?」
「約束します。」
「絶対に二人で生きて帰ってくるよ。」
「ええ。約束よ。」
「約束だべ。」
涙目で微笑みながら優梨達は手を重ね合った。
(アイルちゃん。ユリさんを救世主に選んで正解だったよ。)
ちょうどその頃、魔族レア大佐の城にある会議室に数名のロリメイド達が集められて、メグ少佐からある作戦を伝えられていた。
「いいですね、皆さん、今、話した作戦はお姉様に絶対に喋らないでくださいね?」
「いいんですか…?お姉様に相談しないで、独断でやって…?」
「あとで怒られたりするんじゃ…?それはそれでご褒美だけど。」
「確かに〜♡お姉様にだったら怒られたい〜♡」
「オッホン。お静かに。これは決定事項です。あなた方には明日の早朝に冒険者のソノサキユリ、アリスの両名を暗殺に私とリーベルの町に行ってもらいます、よろしいですね?」
«はい!わかりました!»
(待っていなさい、ソノサキユリ、アリス。あなた達をこの城に攻めさせたりしないんだから。)