86話 優梨にライバル宣言!
《乾杯〜!》
Aランク冒険者の双子姉妹との模擬戦を勝利で飾った優梨とアリスを祝して、その日の夜、ミーナの洋食屋で祝勝パーティーを開いたのだった。
「ヒッグッ。よかった。二人が勝利してくれてぇ。
君達は本当にリーベルの町の誇りだよ。ヒッグッ。」
「おいおい、ミノリ…?おまえもう酔ってるんだべか…?」
「まだまだ酔ってぇなんかないわ。こんなの序の口よ。アハハッハ。」
「オラにはすでに酔っぱらってるようにしか見えねぇべ…?」
«あはは…»
「仕方ないわ。ミノリさんはお願いした側として、二人があの二人に勝てるかどうか、ずっと心配してたから。きっとほっとしてるのよ。」
「そっか…」
「本当によかったね…二人とも…」
「なっ何でソフィーさんは泣いてるんですか!?」
「フッフ。心配ないわ。ソフィーちゃんはね。お酒が入ると、すごく涙脆くなるのよ。」
「なっなるほど…?いわゆる泣き上戸ってやつですか…?」
「可愛いわよね。」
「ミーナママは酒を飲んでもあんまり変化ないんだな?」
「私はお酒強いほうだもの。平気よ。」
「そう何ですね?」
「ミーナちゃん…」
「はいはい。」
ミーナは酔って泣きまくるソフィーを抱きしめて頭を優しく撫でてあげた。
「まるでソフィーママが子供みたいだべ。」
「そうだね。」
「二人の幸せそうな姿を見れて嬉しいな。」
「アリス。」
「これなら安心して旅に出れるよ。」
「そういえばお前達はいつ、この町から旅立つつもりだべ?」
「昨日の夜に二人で話したんだけど…」
すると店の扉をノックされた。
「あら。こんな遅くにどなたかしら?」
「誰だろう?」
「すみません!」
「女の子の声?」
「今、開けますね。」
ミーナが扉を開くとそこにはリンとロンがいた。
「あなた達は確か?」
「夜分遅くにすみません…」
「アリスさんとソノサキユリさんに用があって来たのですが…」
「ええ。いるわよ。どうぞ、店の中に入ってきて。」
「お邪魔してよろしいんですか…?」
「夜の外は寒いでしょう。さぁ。遠慮しないで。」
「じゃじゃあ…」
「お邪魔します…」
二人はミーナに言われるがまま、店の中に入った。
«えっ!?»
「あっあなた達は!」
「この子達。アリスとユリちゃんに用があって来たみたいよ。」
「私達に用…?」
「あんたとの約束通り…勝負に負けたから、そのアリスって子に謝りに来たんだよ…」
「アタシに謝りに…?」
「すまなかったね…町のことわるく言って…」
「リンちゃん…」
「よかったね。」
「それと…」
「ほえっ?」
リンは真っ直ぐな瞳をして、優梨を人差し指で差した。
『ソノサキユリ!今日からあんたを私のライバルに決めたから!今度、再び戦いを申し込むわ!覚悟してなさい!』
「えっ!えっ!」
「以上よ!行くよ、ロン!」
「あはは…お邪魔しました…」
二人は店を出て行った。
「なっ何だったんだべ、あいつら…?」
「すごいよ、優梨ちゃん!!」
「えっ!」
「あのリンちゃんからライバル宣言されるだなんて!」
「そっそう…?」
「あんな有名な人からライバルに認められるなんて並の冒険者じゃありえないことだよ!もっと喜んで!」
「わぁい…?嬉しいな…?」
「アリスおまえ…?やっぱりあの二人のことになるとテンションがおかしいな…?」
ちょうどその頃。専用の馬車が待っている、町の門まで向かっていたリンとロンはというと…
「姉さんもあんな夏苦しいセリフ言ったりするのね?」
「べっべつにいいでしょ!」
「そんな反応もめずらしくない?もしかしてあの子に興味持っちゃった?」
「そっそんなはずないでしょ…」
否定する割にリンは顔を真っ赤にしていた。
(こういう時、姉さんったらわかりやすいんだから。)
「それより私達、模擬戦に負けたし、王都に帰ったらきっとあの副本部長のジジィに怒られるじゃない?やだなー。」
「多分そうなるわね…」
「特にロンは超怒られるんじゃない?戦わないで降参しちゃったもんね?」
「だっだって、姉さんが戦って勝てない相手に私が勝てるわけないじゃん…結果が見えてる戦いはしない主義なのよ…」
「はいはい。いつのもの言い訳ね。」
「言い訳じゃないもん!!」
「あはは。」
それとさらにその頃、スパイとしてリーベルの街に行かせていたメレア大佐の部下であるメイドの二人が城に帰って来ていた。
「なるほどね。ソノサキユリって子はあのAランクの双子姉妹ちゃんを倒せるぐらい強くて、ザクロ大佐から聞いてた通り、不思議な天使の術を使えるわけね。」
「はい!天使の羽が背中に現れるのを観客席からちゃんと見てました!ねっ?」
「うん!すっごく強かったです!」
「お姉様!やはりそのソノサキユリという娘は我々、魔の者に有効な光属性を得意とする、厄介な相手のようです!いつこの城を攻めてくるかわかったもんじゃありません!こちらから奇襲を仕掛けましょう!」
「焦っちゃ駄目よ。」
「でっでも!」
「来たら歓迎してあげればいいのよ。たとえそれが"戦い"であっても。」
「お姉様は落ち着き過ぎですよ…」
「そうかしら?」
「ご要望通り、写真も撮ってきました!」
「まぁ!素晴らしい成果よ!」
「それはよくやりました!」
二人に優梨とアリスが映る写真を渡した。
「この二人がソノサキユリとアリス…確かに双子のようにそっくりですね…?」
「可愛い♡やっぱり私好みだわ♡会える日が楽しみになってきちゃった♡」
「ハァ…お姉様ったら…」
(やはり妹の私が行動するしかないみたいですね…?)
メグ少佐はある決意をした。




